春とヒコーキ土岡哲朗さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

春とヒコーキ土岡哲朗

春とヒコーキ土岡哲朗

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BLUE GIANT(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

自分の魂ひとつで宇宙に行くために、何度も夜を越える。

才能があった上で、苦しいほどの努力。
3人の若者が、ジャズバンドを結成する。大は3年間ほぼ独学でサックスを吹いてきた。雪祈は4歳からピアノを弾い
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Pearl パール(2022年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

悪い環境が最悪のヒロインを作り出す。

しらじらしく、楽しく明るいフリをするサイコキラー映画。

『サウンド・オブ・ミュージック』のような雰囲気をかもして、動物たちにしゃべりかけるパールの仕草もそれっ
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TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー(2022年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

一回やったら気づけば破滅の、スピード恐怖。

一発目から失敗するのが斬新だった。
憑依のトリップ感を楽しむのが若者の遊びとしてある、という設定がまず斬新。怖いことがまるで怖くないように装ってるのではな
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リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

流れる時に、流されないように。

テンポが早い。
なんとなく、しばらくフリとして各キャラクターを紹介したり、日常パートを20分くらい見せてからループ現象が起こるのかと思っていたら、10分足らずでループ
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マリッジ・ストーリー(2019年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

こんな最悪な争いが「仕方ない」のが、つらい。


ずっと嫌な時間しか流れていない映画。

最初、夫婦が互いのいいところをナレーションして始まる。離婚の話と言えど、相手への尊敬がある二人の話なんだな、と
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101匹わんちゃん(1961年製作の映画)

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かわいい子犬が99匹もいて最高。

ダルメシアンの子犬たちがかわいい。
ディズニーの中でも唯一無二なタッチの絵。細くてスッキリした、オシャレな画風。ダルメシアンたちのスマートさと、クルエラのファッショ
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映画大好きポンポさん(2021年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

幸福よりも魅力的な、創作のよろこび。


作業にこそ創造の心を出す。

編集作業、自分も動画の編集をすることがあるので、編集ソフトでシーンを切る作業の「気が遠くなる具合」に共感した。PC上でシーンが何
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ノマドランド(2020年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

自由に見えても、人間はつながれている。

社会から外れているわけではない自由民。
車上生活をして家をもたないと聞くと、社会の枠組みが肌に合わないと捉えた人がそこから外れたのかなと思ったが、そうではなか
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マダムと奇人と殺人と(2004年製作の映画)

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コメディとサスペンスを、ハジケたフィルターを通して融合。

死体を持ち帰って愛する青年の登場。しかし、こんな異常者でも中心人物じゃないということが、異常。登場人物のクセが強いので、事件や人間模様の部分
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愛に関する短いフィルム(1988年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

屈折してはいるが、純愛。

全体的に切なげなブルーなタッチ。音楽が物静かで、テンポもゆったりしているので、登場人物の心の内側の動きがかえって際立つ。ほとんど主人公の目線で描かれているから、こいつに着目
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ゴーストワールド(2001年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

仕方ないからこそじれったい。

一挙手一投足がどうでもいい感じがコメディとして面白い。ほとんどの登場人物に一貫して言えるうざったさが、笑いどころでもあり、リアルな人間の愚かさや面倒臭さだと思う。初めは
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セブン(1995年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

人間だという時点で逃れられない敗北感。

終わり方は、インパクトで言うのならブラピが護送されるシーンがなかった方がショッキング。でも、全編モーガン・フリーマンの苦悩も盛り込まれていたので、事件終了後に
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ホテル ビーナス(2004年製作の映画)

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人生に迷った人間を見捨てない場所。

出だしから草彅剛が殴られまくるが、意気揚々とした音楽で、暗い映画だとは感じない。画面はセピアな色に包まれ、ホテルビーナスが良くも悪くも「薄い空間」である印象を受け
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時計じかけのオレンジ(1971年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

暴力に満ちた、健全な主張。

いかにも異常そうな少年がこっちをじっと見ている。語り部は言う、「おれがいた。名はアレックス」。不思議な語り口で引き込まれる。
独自の言葉を使い、独自の感覚を持った若者たち
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風の谷のナウシカ(1984年製作の映画)

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圧倒的ヒロイン。

若干グロテスク、過激な描写もありつつ、主人公・ナウシカは、とにかくあらゆるものに愛を示す。ナウシカの圧倒的ヒロイン像。怒りに駆られて人を殺す。それでもこのヒロイン感。
自分の凶暴性
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オール・アバウト・マイ・マザー(1999年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

無償の愛を注ぐ母であり、自らを輝かせ続ける女である。

マヌエラは元恋人=息子の父親と決別しており、息子の人生には、ずっと“半分”が欠けていた。
自分と同じ男を愛した尼僧が死に、彼女の息子を育てるマヌ
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

映像でしか再生できない存在だが、そのとき再び生きる。


【大人しか分からないことをしゃべっている気持ち悪さ。】

子どもにとっては、大人が大人だけの言語でしゃべっているのが、嫌悪感までは抱かないけど
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ザ・ホエール(2022年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

人生に好き勝手の瞬間がないと、自分の心は満たせない。


愛はエゴでしかないし、それでいい。

チャーリーは、超肥満体型だが自分の健康を改善しようとはしない。娘のエリーは自分を捨てたチャーリーへの愛憎
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ザ・ハント(2020年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

痛快アクションだが、何も信じられない恐怖に包まれる。


序盤のワクワクさせる話運びが最高。

金持ちたちが人を狩ることを楽しんでいるメールのやりとりから、飛行機のシーンへ。最初はこの飛行機に乗って喋
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ファーザー(2020年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

いつか来るかもしれない恐怖の映像体験。


認知症の人に見えている世界を描いた斬新な映像。

おじいさん目線で、娘の顔が別人に見えたり、時系列がごちゃごちゃだったりするのを、なだらかにひと繋ぎで見せら
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ゴジラvsコング(2021年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

モンスターバースは、キングコングが面白さで王者。

人間パートは、ただ深刻に喋っているだけの専門用語・科学的な言い回しが続いて、ストーリーがどう動いてるのか分からなくて難しい。ミリー・ボビー・ブラウン
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天使にラブ・ソングを…(1992年製作の映画)

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自分が気持ちよく歌ってることが聴く者を気持ちよくさせる。

歌の話になるまでが、思ってたより長かった。修道院にかくまってもらうまでが長く、修道院に行ってからも歌の指導をし始めるまでが長い。観る前の期待
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ブラック・ウィドウ(2021年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

人知れず、一番過酷な戦いをしてきたヒーロー。

マーベルで一番ダークで痛々しい作品。
イレーナが「いつもの決めポーズ、あれ何?人に見せる用だよね」と言うセリフがあるが、たしかに今回は表のヒーローとは違
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タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら(2010年製作の映画)

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イケているヤツらの主人公気分は凶器。

不潔な男が殺人鬼と勘違いされるホラーコメディ。イケているヤツらは、自分たちが主人公のホラー映画が進行しているつもりになっている。イケているヤツらは主人公感覚とい
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ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル(2017年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

現状維持で隠れたら、取り残されてしまう。

リアルと逆の自分になる主人公たち。
ゲームの中に入った高校生4人は、オタクがマッチョに、マッチョが知識だけが武器の学者に。地味な女の子がセクシーに、外見ばか
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イージー★ライダー(1969年製作の映画)

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若者が、新たな時代に向かい、自由を切り開こうとした。

バイクで旅路を走り抜ける爽快なシーンで、毎回ロックが流れる演出に、自由を求める前向きな精神を感じる。
新しいものを受け入れるのには思い切りが必要
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ブルーベルベット(1986年製作の映画)

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美しくもあり、陰鬱でもある“青”。

壊れかけた感情とショッキングな演出が織り交ぜられ、終盤では、ミステリーとしての伏線回収もされていく。
主人公の父親が倒れ、犬は水をがぶ飲み、赤ん坊が歩いてくる、意
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蛇イチゴ(2003年製作の映画)

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本当と嘘、汚いのはどっち?

嘘つきで、お調子者で、香典泥棒の兄。
それと正反対で、嘘や自己中を嫌う妹。

果たして、愚かなのは嘘しか言わないヤツなのか、嘘を毛嫌いして他人を追い込むヤツなのか。

AIR/エア(2023年製作の映画)

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カリスマに頼らず、カリスマと仕事した男。

信じた人に全ベットして動く力。
主人公のソニーは、新人マイケル・ジョーダンが必ずスターになると信じてNIKEと専属契約してもらおうと動き出す。正直、ジョーダ
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⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

落ち込むくらいむごい話だけど、観てよかった。

日本の怪異ミステリーを堪能できた。
昭和の村社会を舞台にした、人間の悪意と怪異の入り混じった気持ち悪さのホラー。「ひぐらしのなく頃に」と同じ雰囲気で、昭
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福田村事件(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

見ていて苦しいけど、「見ていて」はいけない。

内容的に「面白い」と言ってしまうのははばかられるけど、作りがあまりに面白くて引き込まれた。実在の事件が元という情報だけで、惨劇になることは分かっていた。
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バイオレント・ナイト(2022年製作の映画)

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律儀にバイオレンス。

どう見ても子ども向けじゃないのに、ファミリー映画の質感で作ってるのが面白い。
衣装・セットや撮り方、映像のタッチなど、ビジュアルが子ども向け映画っぽい。ストーリーも、小さな女の
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タクシードライバー(1976年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

人間はバグっている。
 
主人公は街の人間を蔑視しているが、彼も愚か者である。自分に必要なのはきっかけで、自分は今くすぶっているだけだと考え、知ったかぶりをする、うざい変態感。大統領候補に「街の悪を一
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お熱いのがお好き(1959年製作の映画)

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コメディ映画と言われたらこんなのが観たい、をくれる映画。

 マリリン・モンローって大人の女なイメージだったけど、ここでは女の子って感じ。「I wana be loved by you」を歌うシーンは
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アマルフィ 女神の報酬(2009年製作の映画)

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織田裕二演じるヒーローが、優雅な町で事件に挑む。

「邦人を守る外交官」としての強い信念を持つ人間として描かれた黒田という、織田裕二の新たな正義キャラがカッコ良い。「踊る」の青島が純粋なのに対し、黒田
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インソムニア(2002年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

闇が訪れない白夜の町では、罪悪感が眠らない。

サブリミナルのようなフラッシュバックを多用した映画。刑事が捜査する少女殺人事件だけでなく、その刑事が隠蔽しようとする事件、二つの事件が同時進行。オープニ
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