公開当時ですら、ちょっと懐かしい感じだった仮想現実とSNS、そしてインターネットの諸設定。田舎のお盆休み描写も、「フィクション的にリアル」。
そんな作り物じみた理想の夏休みが、しかし魅力的でもある。突>>続きを読む
きちんと作られてるなあ、と感心した作品。
例えば主人公(盗賊)を追う騎馬隊、彼らは追跡中に無駄口を叩かない。「いたぞ、回り込め!」なんて言わずに、無言で視界から消え、次の場面では先回りしている。
高い>>続きを読む
ゾンダーコマンド、直訳すると「特殊部隊」。ナチスドイツ時代に軍で乱立された、非正規の、あるいは新機軸のテスト的な組織。便利なお役所言葉、だったと何かで読んだ。
強制収容所においては「収容者による“運営>>続きを読む
老いた名探偵、あのシャーロック・ホームズ氏の晩年、人生最後であろう「事件」を描いたお話。本作のホームズ氏は90代。仲間も家族も世を去り、田舎で養蜂をして過ごしている。すっかり老けて、身体も、そして脳も>>続きを読む
現在、シネコンで上映している映画としては、質も上映時間も最重量級な作品。
実在した人物、ヒュー・グラス氏の脅威のサバイバル行を、大胆に脚色した作品。氏の名前は知らなくとも、「熊の毛皮を被った罠猟師」の>>続きを読む
世界が有限であっても、情報は無限である、と誰かが言っていた。世界が終わるその寸前を、情報はいくらでも細分できる。最後に「最初に戻る」とか「そして永遠に続きます」と書き添えれば、それで無限すら構築できる>>続きを読む
スタイリッシュB級映画の筆頭。
当時ですら懐かしい趣の「管理社会」や、みんな大好き「ガン・カタ」、その他諸々まとめて全部、ボンクラ中学生が喜びそうな内容。それがリベリオン。まどマギだって影響を受けた。>>続きを読む
お年寄りしか言わなくなったが、「漫画みたい」という評価がある。「漫画チック」なんて言い方は、僕が子供の頃には存在した。荒唐無稽で作り物じみている、という感じか。多くの場合、感情移入できなかった、という>>続きを読む
喘息持ちで、ピアスとヘッドホンで武装した女の子が、イギリスの片田舎で素朴な従兄弟達と交流を深めるうちにいつしか本当の自分に…という前半は、本当に“さわり”だったとすぐわかる。遠くの国で起こっている戦争>>続きを読む
ここ数年間の「事実を元にした映画」のなかでは一番かもしれない。静かな興奮の余韻が、今も残っている。
真面目一辺倒ではなく、小気味良い台詞や美しい映像、群像劇が素晴らしい作品でもあった。
ボストン>>続きを読む
原作漫画から引き継いだ特徴として、意味ありげなディテールが満載の作品。有意義なメッセージを読み説くような鑑賞姿勢で、果たして楽しめるのだろうか。外連味は外連味として味わえば、それで十分。深み、とか大人>>続きを読む
大好きな作品。
ただし、今からもう一度楽しめるかというと、ちょっと無理かもしれない。
思い返すに、脚本も、出演者も、もちろん監督も若く、熱い。テレビ局が今よりずっと元気だった時代の熱さを引き継いだよう>>続きを読む
わざと「わけがわからなく」してるのかな、と訝しんでしまう変な演出が目立つ。前衛っぽいというか。意図的ならば、ずいぶん下品な作為。でも面白い。
普通にハートフル・コメディー映画だと思って鑑賞すれば、そ>>続きを読む
理想を掲げ、ある程度まではそれを成し遂げた人間の、若かった頃の話。同名の著作が原作。
といっても革命を直接ほのめかすシーンはほとんど無い。ただ、友人と、街や荒野を、ひたすらバイクで走る。その風景に、>>続きを読む
映画好きならば(教養として)観ておかねば、みたいな気分で挑むと、眠くなる。
現代美術の作品、くらいの気分で眺めると、美しいし、面白い。
それに、格好いい。1周回って格好良い、のではなくて、独立したそれ>>続きを読む
「あの第9地区の」と前置きされる監督の、その次の作品。
出演者も舞台もずいぶん豪華になった。社会的な格差を描くのは同じだが、視点は違う。
よく言えば楽しみやすい、悪く言えば普通のSFアクション。
心に>>続きを読む
良し悪しではなく(と最初に断り書きしておく)、意表を突かれた作品。
一連の「はやぶさ」のサンプルリターンに至る艱難辛苦は、いわゆる「知的感動」のカテゴリーに属するものだと僕は考えていた。この映画では、>>続きを読む
老いを感じる年代となるもなお美しく、しかし憂いは隠せない女性「キャロル」と、彼女に心惹かれた年若き「テレーズ」の、情と愛の物語。
1950年代のアメリカという時代もあって、彼女達の未来はどうしようもな>>続きを読む
かっこいいお婆さん映画。
閉じた狭い世界が舞台、のようでどんどんスケールが拡がるし、コメディな雰囲気なのに最終的には感動する。
そんな、いつの間にかの転換が楽しかった。
なぜ主役(?)のロボットが丸いのか、がきちんと説明されていて良かった。正しく伝統的なジュブナイルものを作ろう、という気概に溢れた作品。
見終わったあとに、中学生の時のことを思い出した。
卒業式での、校長先生の言葉。要約すると、こんな感じ。
「美談を信じてはいけない。喜ぶのは教師と親だけだ。自身の心にすっと入るような話ばかり信じている>>続きを読む
妙ちきりんな設定(とメインビジュアル)そのままに、楽しみながら思考は深まってしまう、という不思議な作品。
人間には意識や無意識、心があって、それが認識や動作の主体になっている、自分というものを形作っ>>続きを読む
元来、こういう「煙に巻く」展開の連作は、もう少し(いや、できれば可及的速やかに)次の作品を発表して欲しいのだが、ともあれ。
全編を通して閉塞感が強調されている。世界も人も、状況すべてがぎりぎりの状態>>続きを読む
カタカナのタイトルがめっぽう格好悪い。
ぐるぐると自意識をこね回していた原作は、典型的なループ物のライトノベルだったが(面白かった)、そこはハリウッド、きちんと派手で楽しい娯楽映画に仕立ててある。こ>>続きを読む
賑やかというかガチャガチャしているというか、化物と人間と亜人間が盛りだくさんの暗い戦争が続いて、眠くなってしまった。殺伐もいいけれど、もう少しめりはりが欲しい。
でも最後まで鑑賞すると、それなりに心>>続きを読む
もう10作以上は作られているであろう、「スティーブ・ジョブズ」氏を描いた作品。本作は公式の伝記本が(いちおうの)原作。
とりあえずWikipediaの「Apple」や「スティーブ・ジョブズ」の項目くら>>続きを読む
情報としては、雑誌の特集やムック、それにコーヒーに関する書籍にはかなわない。いわゆるサードウェーブ・コーヒーのお話。
でもやはり映像の力というべきか、絶対にコーヒーが飲みたくなる。
そんな状態なのに>>続きを読む
伝記映画が好きで、しかしこの作品はまるで伝記ではなかった。
本人の手記を映像化したような、彼の詩的なイメージを映画という形にまとめたような、不思議な映画。それが妙に面白かった。
余命数ヶ月、っていうとそれだけで安っぽく思えてしまうし、実際そういう陳腐さは否めない。しかし死に近い者と死に惹かれる者がこういう風になるのは共感できるし、普遍的な物語なのだとも考えている。それに、いく>>続きを読む
5〜6分の短編が立て続けに、という形式だからだろうか。
パリという街とそこでの愛が、からっとした雰囲気で描かれている。同じ都会でも、例えばニューヨークを題材にしたものとは、ずいぶん違う印象。
くすっと>>続きを読む
天才が全力以上のものを注ぎ込んだ、それが愛ゆえに、という感じが伝わってくるバランスの悪さ。素晴らしい。ゴダール監督の惚気映画。
ずいぶん昔の映画なのに、今でもキュートでポップ、興を削がれないのだから>>続きを読む
強い思い入れが無い土地に滞在する、例えばそれが一人旅だったり、旅先で単独行動があったりすると、どうにも押さえようの無い孤独に向き合わざるを得ない。そんな状況は僕にもある。旅の醍醐味の一部、でもその時に>>続きを読む
戦争映画としてあまりにも有名。
ただし追求したのはリアルではなく、ちょっと無茶なくらいに非対称な近代戦、アメリカ側から見たベトナム戦争を舞台にした、「地獄巡り」なのだと思っている。
日本でいうところの>>続きを読む
とても素敵な作品。
思わず鑑賞後にパンフレットを買ってしまったくらいに気に入った(人生でたぶん3度目、10年ぶりくらい)。
ちなみにポスターも気に入ってしまったため、なんとしても手に入れたい。
ポスタ>>続きを読む
ジブリ美術館で鑑賞。
とびきり手のこんだ、アニメらしいアニメ。楽しい習作、という印象。
僕は存分に楽しんだけれど、隣の席にいたスウェーデン人の母子が混乱していた。「ミズグモ」とは何か、から知らなかっ>>続きを読む
絵が綺麗。
ストーリーに組み込まれた謎は、ややこしく考えると混乱するかもしれない。ただ、作中の出来事を辿っていくだけで良い気がする。あーそういうことかー、程度の重要度。幽霊物の謎解きじゃないので。
児>>続きを読む