映画館で観たあとに、心身ともにぐったりして、しばらくその嫌な感じが抜けなかった作品。
しかし、数日間ずっと腹に何かが溜まったような状態でぐるぐると考えていたら、とても素敵な作品だと整理がついた。
「こ>>続きを読む
山に登ると、人の住んでいた跡に出会うことがある。
それは古い道だったり、城跡や墳墓だったりと色々。気付けば嬉しいだけでなく、つい想像してしまう。その時代の人間についての物語を。
その跡を眺め、周囲を見>>続きを読む
とにかくクール、それに尽きる。
どうしようもない人達(ギャングが大半)がやらかす無茶苦茶と、たくさんの四文字言葉。絶妙なタイミングで挿入される音楽。
ここまでノリの良いお洒落映画を作るのに、タランティ>>続きを読む
原作小説では射殺される主人公が、映画では生き延びて、そして荒唐無稽でマッチョなアクション映画の後編が作られていく。そんな現実をも含めて、世界の不条理が刺さる作品。いや、今となっては、という話になってし>>続きを読む
ユーモラスかつ欧州的、とは友人の評。とても楽しい映画体験でした。
予告編などで雰囲気が気に入った人なら、まず間違い無く楽しめる。「頑迷な老人が、風変わりでピュアな変人と関わることで、本当の幸せを取り>>続きを読む
3時間という長めの上映時間。
ポスターや予告編の雰囲気からリリカルセンサーが反応したので、リリカル中年4名で観てきた(そうでなくても岩井監督作品なのだ)。
僕達はナイーヴなので、あえて離れた席に座る。>>続きを読む
子供の頃にTVで繰り返し観た、それだけの記憶なのに、テーマ曲の歌詞を今も覚えている。びっくりするほど無駄知識。
“隣近 妙な感じがするんなら
誰に電話するのかな?
ゴーストバスターズさ!
なんか怪し>>続きを読む
普段は「死後の世界」の存在なんて信じていない日本人が、こと葬式に関わると「ご冥福をお祈りします」とか「成仏」といった物言いをする。しかも、特に抵抗を感じずに。
この日本人のマジョリティな態度はなんなの>>続きを読む
馬鹿馬鹿しさに関しては前作を超えていた印象。
技術的には特撮技術の爛熟期であり、CGはまだ登場していない。コンピュータを一切介さずに作られた世界は、なんとなく温かい。動く女神像から半透明の幽霊まで、ぜ>>続きを読む
ファンタジー好きには特におすすめ。
ディズニー映画などで、ちょっと怖かったり怪しかったりする、あの西洋のおとぎ話の感覚が繰り返し描かれ、結果として魅力的な世界が楽しめる。夜の魅力。
良くできた絵本のよ>>続きを読む
夜の眷属は例外なく強い。賢く美しく、そして儚い。
この作品に登場する、ウイルス禍によって変容した人類の一部もまた同様。従来通りに太陽の下で生きる旧人類に対しては、その身体的制約と、おそらくは優れた知性>>続きを読む
映画の内容よりも、当時の同僚(偶然、映画館で出会った)が放った言葉、「こういう話は、後世に伝えていかないと、ですね。薄れさせてはいけない記憶、歴史ですから」が印象に残っています。
年長者として、もっと>>続きを読む
ボンクラ男子が楽しくオタクらしく旅をする。素敵な、完結した世界だ。それを壊すのは、いつだって女。それも、とびきり美人に決まっている。
じゃあその美女が悪いのかというと、そうでもないのだから人生は厳しい>>続きを読む
年上の友人夫妻から「君にぜひ観てほしい作品だ。感想を教えてくれ。きっと私達とは違う受け取り方をするだろうから」と強く薦められたので急遽映画館へ。そんな珍しいきっかけだったが、とびきり素敵な映画でした。>>続きを読む
なんとも華やかな、どこを取っても素敵という作品でした。
対独戦の終結した夜、当時はまだ王女だったエリザベス女王がお忍びで狂騒のロンドンに繰り出していた、というエピソードを膨らませた作品。
夜の街に>>続きを読む
いやあ、混乱した。
いや、単に自分の想像と違ったことにびっくりしているだけかもしれないが、ともあれなかなか面白い映画だった事は確かです。
日本のアニメ「魔法少女ユキコ」が大好きな白血病少女、失業者の>>続きを読む
おぼろげな記憶だけが残っている。
クリスマス映画らしいクリスマス映画という印象。楽しくて、規範的で、後を引かない感動があって。「シザーハンズ」より、さらに正道を行く作品。
もう二度と観ることは無いだろ>>続きを読む
思い返すと、凄まじい映画だった。
匂いという、他人とは共有しづらい感覚(しかし耳ほど簡単に鼻は塞げない)を軸に描かれる、ノワールな物語。
気持ちは理解できるが共感はしづらい、そんな主人公の考え方も、妙>>続きを読む
僕よりも、一緒に観たイギリス人夫婦のほうが面白がっていた。とにかく日本的なところ、つまり「悲しいくらいに滑稽で、でも素晴らしく誠実な登場人物たち」が気に入った、とのこと。「愛すべき、不自由なムラ社会」>>続きを読む
タイトルと名場面と名台詞だけ知っているが、きちんと観た記憶が無かった作品。友人から借りて鑑賞。
有名な「考えるな、感じろ(Don’t think. FEEL! )」という台詞、あれは最近では「ロジッ>>続きを読む
犬の世界認識には、過去も未来も無く、現在だけが存在しているのだという。記憶はあるし、もちろん未来だって見越して行動する知恵もある。でも過去があって今が、そしてその先に未来がある、そんな自意識・ひとそろ>>続きを読む
死んだらどうなるか、を真剣に怖がったのは何歳の頃までだっただろうか。いわゆる「あの世」をどうしても認められなかった幼い僕は、死んだ瞬間に世界が終わる(観測者が不在になるため)と気付いた時に、途方も無く>>続きを読む
うひゃあ、この前買った漫画が映画化する。
映画で観たいかというと、どうだろう。期待はしている。
あと3年程で、僕達はこの映画の未来に追いつく事になっている。
まだ、CO₂が足りない。
経済格差が足りない。
治安悪化が足りない。
レプリカントが、まるで足りない。
電気羊の夢は遠い。
飛び抜けて美しいし、圧倒もされる。
あくまでオーソドックスなラブストーリーと、やたらと力の入った巨大構造物としてのタイタニック号の描写、その対比がジェームズ・キャメロン氏の持ち味。
思えば「大きくて誇>>続きを読む
祖母とはあまり映画の話をしなかったが、「国境ものにハズレ無し」という言葉は、よく覚えている。特に米墨国境の作品は好きだった。
麻薬戦争の映画が大嫌いだった彼女も、この映画なら気に入ったのではないか。>>続きを読む
キューブリック監督の遺作にして、愛情と交流の映画。
今まで延々と「断絶」を描いてきた監督が、この2晩の暗く怪しい地獄巡りじみた物語では、小さな希望を見せてくれる。「わからない、でも一緒にいる」という、>>続きを読む
どういう動機で観たのか思い出せない。たぶん、「すれっからしの映画ファンになるためには、こういう作品だっていちおう目を通さねば」くらいの不純な動機だったのだと思う。そういう年齢でした。あの頃は若かった。>>続きを読む
「るろうに剣心」という漫画がある。あれを「嘘の明治時代だ!」と怒る人は少ない。どう見ても痛快で爽快なエンターテインメントだからだ。逆に、あの作品で歴史を知ったつもりになったら、恥をかく。
さて、本作>>続きを読む
まず最初に。
「こんなのゴジラじゃない」とは言わないことにしている。僕の中の「ゴジラ」とは明らかに違うが、まあ他人のゴジラ観なんてそれぞれ知ったことじゃないし、他者の発想を排除するなんて雑なことはした>>続きを読む
今やアベンジャーズといってこの映画を思い出す人も少ないのではないか。かつて「駄作かつオモシロ作品」として語り継がれていた映画。
簡単に言うと、お洒落なイギリスのスパイもの。荒唐無稽の極致であるストーリ>>続きを読む
この監督の作品、例えば「かもめ食堂」も「レンタネコ」もそうなのだけれど、ほっこりした素敵な世界である事は確かなのに、「その世界観を受け入れている人間・その世界に受け入れられた人間」と「そうでない人々」>>続きを読む
大切な人のためにできること。それが自分との別離だったならば、果たしてどれだけの人がその選択をできるだろうか。「死ぬ時は一緒」すら選べない、お互いに想い合う気持ちはそのままに、そんな別離ならば。
この映>>続きを読む
どこを切り取ってもB級映画、でも珍品ではなくしっかり感動もするし、心に残る作品だと思う。
武士道(というか『葉隠』)に心酔する殺し屋が主人公。ごく狭い、限定された要素で生活を営んでいる。
彼が唯一心>>続きを読む
ネタバレ禁止を謳った作品の先駆け。そして、今に至るも色褪せていない。
謎自体は警戒しながら観れば中盤に判明するが、それでも感動は薄れないし、何より2回目以降にはその仕掛けの巧さに感心する。だから他の「>>続きを読む
いわゆる長期監禁からの脱出と、その後を描いた作品。サスペンスから始まりヒューマンドラマへと繋がるような面白いつくりだった。
ただの監禁事件ではない。誘拐された女性は、監禁された小屋(これが『ルーム』だ>>続きを読む