じゅんPさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

じゅんP

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ねこぢる草(2000年製作の映画)

3.4

死からの生。生からの死。

同じようなテーマの『アドベンチャー・タイム』湯浅監督回、「Food Chain」が陽ならこちらは陰。

無限に押し寄せる時間が流れ流され、食って食われて、奪い失う有限の時間
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古の王子と3つの花(2022年製作の映画)

2.6

3つの寓話がそれぞれに質感の異なるアニメーションで描かれる視覚的な楽しさもありつつ、毒のない平和な話で素直に心洗われるんですが…

一本の映画として考えるとエピソード毎にぶつ切りで平坦な印象を受けたの
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サントメール ある被告(2022年製作の映画)

4.6

いきなり『ヒロシマモナムール』に言及するからめちゃくちゃ難解なのでは…と身構えたけど、”シンプルに”おーもしれー!

自らのとった行動を思考と結びつける→思考を言語化する→他者がその言葉を汲み取る、ひ
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ローズの秘密の頁(ページ)(2016年製作の映画)

3.8

宗教×戦争×時代の地獄の掛け合わせ。

とにかく男どもの言い分がうるさいのですが、それでも本作は自分の、自分なりの信仰と愛を糧に生き(ざるを得なかっ)た彼女のこれまでを敬い、その年月にそっと寄り添って
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ペパーミント・キャンディー(1999年製作の映画)

3.4

あの日散らばったペパーミント・キャンディーの行方を僕はもう知れない

彼の人生の岐路に立ち会っては遡るたび、あえて主人公に感情移入させなかった序盤が振りとして、じわじわと効いてくる。
その列車に乗り続
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地球に落ちて来た男(1976年製作の映画)

2.6

ニコラス・ローグ監督は今のところ観たどの作品も、カルト化し損ねた珍作に見えて、個人的にはあまり刺さっていないのですが、今作はもう《まかり間違って地球なんぞに堕ちてきてしまった、デヴィッド・ボウイなるう>>続きを読む

遠いところ(2022年製作の映画)

5.0

主人公のアオイひとりのストーリーというよりも、彼女の中にたくさんの、実在したかもしれない誰かの影を見た。

アオイだけでなく、各登場人物それぞれの境遇が重なり交わる様が、(問題提起のようなある種傲慢な
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デビルズ・メタル(2015年製作の映画)

3.8

《人生がイヤになって孤独で虚しい気分の時 メタルを聴くと救われる 苦しみや怒りを誰かと分かち合えるからなんだ》

「メタルの良さがわからない」と言われた主人公の説くメタルを聴く意義が、この映画の存
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⻘いカフタンの仕立て屋(2022年製作の映画)

4.2

カフタンを仕立てていく過程ひとつ、決して劇的ではないシーンのひとつひとつが丁寧に紡がれていく中で浮かび上がる、何でもない日々の尊さ。

装飾を施していくのと同じように、全体の調和をとりながらも主張し過
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おらおらでひとりいぐも(2020年製作の映画)

3.8

人生は祭りだ、ともに生きよう

だから報われない気持ちも整理して生きていたいの、普通でしょう?

あの3人が何と名付けられ、何を埋めているのか。愛と自由は二律背反などではなく、連綿と続く自分史の、過程
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ジュラシック・ワールド/新たなる支配者(2021年製作の映画)

-

前作の感想で、

《人間のバカな行動に頼って話を転がす、ってのはもっと圧倒的に予算の少ないサメ映画とかがどうしようもなく取る手段であって、あなた方はもっとスマートな見せ場作って下さいよ。ちゃんと恐竜で
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王手(1991年製作の映画)

3.8

人柄が、土地柄が、誰かの止まり木になり、誰かの居場所になる。嘘も見栄もハッタリも、全部呑み込んでは笑い飛ばし、許容し合う懐の深さ。

来るものは拒まず、捨てる神いれば拾う神あり。

誰かの煌めきの一閃
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マッキー/Makkhi(2012年製作の映画)

4.2

S・S・ラージャマウリ映画うま過ぎ。
《とばっちりで殺されたポジティブストーカー男が、ハエに転生→自分を殺した自己評価爆高ナルシストおじさんに猛粘着の末、復讐を遂げる話》が、破綻なくストーリーを追える
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リトル・マーメイド(2023年製作の映画)

3.8

ヒレじゃ遠くへ行けない、の”遠く”に込められた、「今いる場所、置かれた環境の外へ」という渇望をより深化させる改変がそこかしこでなされていて、コンセプトのわかりやすい良リメイク。

同じ葛藤を抱えたもの
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岸辺露伴 ルーヴルへ行く(2023年製作の映画)

3.4

ミステリー要素に、キャラクター深掘りするための過去回想…劇場版としてエピソードを膨らませるにあたっての作り手の「真面目さ」が、必ずしも結実しない例を見た。

序盤で蒔かれた謎・伏線に割と説明がつき、尚
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ダゲレオタイプの女(2016年製作の映画)

3.8

ある対談の中で黒沢監督が「毎回、やろうとしていたいくつかの部分では成功するのですが、反面でいくつかの目論見は失敗して、思うような結果にならないことも多い(笑)」(抜粋)と言っていたけど、撮ることそのも>>続きを読む

雄獅少年/ライオン少年(2021年製作の映画)

3.4

躍動感、水や毛の表現など、アニメーションは本当に流麗で印象的なシーン、心に響くカットもいくつもあった。それだけに内容が…

ヤングケアラーと化して忙殺される主人公、献身的な妻・母像、ルッキズム全開の愛
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ブラフマーストラ(2022年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

情緒おかしくなるわ!

オマージュ(2021年製作の映画)

5.0

アーカイブとしての映画。
昔仕事で、古い映画やドラマのフィルムが大量に保管されたどデカ倉庫に入った際、そこに残されたものの多くが、何かきっかけがない限り日の目を見ないであろうことにクラクラしたのを思い
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アワ・ボディ(2018年製作の映画)

4.6

鬱屈とした生きづらさの包囲網から”自分を解き放つ”チャンスと、それを逃さず追いかけるための”自分と向き合う”力と。

引き上げる/引き上げられるの関係性が互いを高め合うのとは対照的に、誰かの足を引っ張
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ある過去の行方(2013年製作の映画)

3.8

事実と認識の錯誤が幾重にも重なって出来上がった地獄。
「事実を見極め→間違った認識は改める」、この至極真っ当な手順を、ちゃんと踏めない人のどれほど多いことか。

それでもガッチガチに雁字搦めだった状況
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The Witch/魔女(2018年製作の映画)

3.0

最初からパート1な事は知っていたし、「目覚めるまで」の物語でも全然いいんだけど、にしても背景とか個々のキャラクターとか、”それっぽい”ばかりであんまり中身なかったような…

頭良いけど頭悪いマッドな科
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エリザのために(2016年製作の映画)

4.2

他責他責他責他責他責イィ!
自己正当化と保身、逃げの態度が身に染み付いてしまった、それでいて自分中心ですべてを把握・コントロールしないと気が済まない主人公の、「良かれと思って」と「〇〇のために」が加速
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リトル・マーメイド(1989年製作の映画)

3.4

海中での動きを中心としたアニメーションの気持ち良さ、そして曲がかかるとしっかりブーストするあたりはディズニー屋のさすがの名人芸。

ディズニールネッサンス1作目として、能動的なプリンセス像を打ち出して
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高速道路家族(2022年製作の映画)

2.6

なんだろう、食材も調味料も『パラサイト 半地下の家族』と同系統なんだけど、こっちは随分と雑な味付けのジャンクフードだったなー。

この後味に覚えがあって、記憶たどったら『フロリダ・プロジェクト 真夏の
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聖なる復讐者(2022年製作の映画)

3.4

弟を殺した犯人探し、少年院内でのやるかやられるかバイオレンス、濫立する社会問題トピック…と詰め込みに詰め込んだ意欲作。
ただそれが奏功しているかというと、どっちつかずでとっ散らかってしまった印象。
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7番房の奇跡(2013年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

早い段階で、話のリアリティラインを明るくぶっ壊してくれるので、フィクショナルな脚色は良い意味でどうでもよくなり、信用に足る御伽噺として同房に迎え入れられたかのように楽しく観られた。

やりきれない結末
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ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3(2023年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーという母体と、個々のならず者たちの別れと旅立ち、新たな歩みをウェット過ぎない引き際で魅せつつ、(そしてそこにMCUとジェームズ・ガンの影も見つつ、)各キャラクターの関>>続きを読む

小公女(2017年製作の映画)

4.2

生きていくうえでの、わたしのわたしによるわたしのための優先順位。

かつての仲間たちの現在地を知り、その生活に入り込むことで見えてくる自分のこころ。

金、見栄、将来への不安、世間体、親の期待、諦め、
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小さき麦の花(2022年製作の映画)

3.4

他者の手前勝手な価値基準によるジャッジがいかに無意味かと、清貧の限界を思い知らされ、ぐるぐる巡る。

善い人間であろうとか、徳を積むとかそんな意識すら感じさせない純然たる生。
ただ互いを思いやり、自然
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聖地には蜘蛛が巣を張る(2022年製作の映画)

3.8

蔑視が当たり前のものとしてそこに蔓延る現実と、それを維持したい奴らが支払うあまりにも安価な代償。
クソみたいな思考とクソみたいな信仰の元、クソみたいな構造が、再生産&継承✨されていく地獄の大局をちゃん
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みかんの丘(2013年製作の映画)

4.2

何が人と人とを分け隔て、思考を凝り固まらせ、その手に引き金を弾かせるのか。

ジョージアとアブハジア。みかん箱と棺。
何が違うのか、何が間違っているのかがどんなに明確でも、感情や理由に囚われて人は簡単
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ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(2023年製作の映画)

3.8

キャラクター重視でストーリーはまあ…なのは通常運転のイルミネーションなのだけど、ゲームのやり込み要素をなぞった修行シーンや、マリオカートのMADな差し込み方がいちいちマンマミーア。

なかなか強引な大
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アルプス(2011年製作の映画)

2.6

何者かを演じている自分も紛れもない自分自身。他者で自分を埋めようという目論見は、常に歪で傲慢で自分勝手。

役割に溺れ、縛られ、求めるものと現実との乖離が暴力やら変なダンスになって溢れるあたりが絶妙に
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皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ(2015年製作の映画)

3.8

「大いなる力には、大いなる責任が伴う」meetsド底辺どん詰まりおじさん。

最初から利他の心で動いたとは到底思えない平々凡々な主人公が、きっかけはともかくとして自らの持てる力を誰かのため、何かのため
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妖獣奇譚 ニンジャVSシャーク(2022年製作の映画)

4.2

R15+のトンデモヒーローショー。

ついに、ついに”面白いサメ映画”の区分に邦画が食い込んできた。
ニンジャ(忍術)、サメ、血飛沫、生首、呪術、ネクロマンサー、デカいサメ(!)…詰め込みに詰め込んだ
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