sasaさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

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裏窓(1954年製作の映画)

4.0

断片的で主観的な情報を一方的に享受できる安全圏からの感情移入。第三の壁を超えて迫る魔の手。予定調和のサスペンスをメタ的に掻き回す手法が見事。

ニュースの天才(2003年製作の映画)

3.5

大統領御用達の政治誌で起こった大規模な捏造事件を映画化。野心家の青年の悪事が次々に暴かれていく過程を、暴くスリルと暴かれるスリルの2点から描く構造がサスペンスフル。ラストの喝采を浴びるシーンのカットバ>>続きを読む

ハーヴェイ・ミルク(1984年製作の映画)

3.8

力なき者たちのために精力的に活動し、暴力によって命を奪われたハーヴェイ・ミルクの生涯を追ったドキュメンタリー。いまも孤独に闘う彼らに勇気を与えられるのは、我々の行動ひとつであると問いかける。

猿楽町で会いましょう(2019年製作の映画)

3.7

自分の感情に正直であるがゆえに嘘を重ね、自覚なく他人を傷つけ続けてしまうユカの姿が痛々しい。共感はできないが感情移入させてしまう石川瑠華のオーラと演技力が良い。

アメリカン・グラフィティ(1973年製作の映画)

3.8

カリフォルニアの夜の街をゆく若者たちの群像劇。望まぬ出会いも運命の出会いも、いつもと違う何かが自分の人生の軌道にそっと手を添えてくれるような、見えないが温かい何かを感じる作品。

孤独な天使たち(2012年製作の映画)

3.7

孤独を愛する少年と、人生をやり直したい少女。デヴィッド・ボウイの音楽に乗せて、苦悩を抱えるジュブナイルの繊細な感情を描く。「アルマジロウォーク」や「壁になる」といった象徴的なワードが用いられるが、抽象>>続きを読む

スプリング・ブレイカーズ(2012年製作の映画)

3.3

大学の春休み=スプリング・ブレイクでハメを外しすぎた女子大生たちの顛末を描いたバイオレンスな青春劇。エロと暴力が終始過激で、トリップしているような非現実感が常に漂う。内容的に特別おもしろくもつまらなく>>続きを読む

リヴァプール、最後の恋(2017年製作の映画)

3.2

大病を抱えた20歳以上年上の女優との大恋愛。事実に基づく物語とはいえ、設定がピーキーすぎて感情移入しづらく、客観的な伝記として観るのが吉なのだが、ラブストーリーを全面的に押し出した邦題に引っ張られてそ>>続きを読む

遠い空の向こうに(1999年製作の映画)

3.6

炭鉱夫になるのが当たり前、という村の"重力"から抜け出そうと、少年たちはロケットを飛ばす。サイエンスの真髄が詰まった作品。

世界残酷物語(1962年製作の映画)

3.3

胡散臭さ100%のドキュメンタリー。本気で嘘をついてるのかモキュメンタリーのつもりなのか判断がつかないレベルの胡散臭さ。「未開の文明なら有り得るな……」という直感を極限まで希釈しているという点では、">>続きを読む

荒野の千鳥足(1971年製作の映画)

3.8

1人の男が酒に溺れ、有り金を失い、文字通りメチャクチャになっていく狂乱の一部始終。スローではなく目の動きを使ったテクニックや、衝撃的なビジュアルの幻覚などなど、撮るの楽しかっただろうなと思わされる。

獲物の分け前(1966年製作の映画)

3.5

夫を利用しようとして全てを失う女の末路。悪女らしい悪女でないだけに、少し感情移入してしまう。うらぶれていく美女のギャップや、印象的な緑、官能的な鏡の使い方が見事。

みんなのヴァカンス(2020年製作の映画)

4.7

ひと夏のバカンス、人が出会い何かを得ていくように、観るものの心に何かを残す会話劇。BGMがなく、人と人とのふれあいに心地よくフォーカスしていて、出会いによって生まれる感情やドラマを愛おしさに満ちた眼差>>続きを読む

お引越し(1993年製作の映画)

3.5

父母の別居に戸惑う少女の心情を瑞々しく描く。直情的な前半と抽象的な後半でレンの精神的成長を表現しつつ、ませた立ち回りをしようとする少女の姿をコミカルに描いている。

絵の中のぼくの村 Village of Dreams(1996年製作の映画)

3.3

双子の絵本作家が幼少期を過ごした、高知のとある村の記憶。閉鎖的なムラの嫌な出来事も美化せず自然体に描きながら、ふるさと、そして母への愛をノスタルジックに綴る。

ブレックファスト・クラブ(1985年製作の映画)

4.2

スポーツマン、お嬢様、ガリ勉、不思議ちゃん、不良……補講に集められた全く違う5人の、反目、協調、衝突、そして和解。日本人には想像もつかないスクールカーストの壁を乗り越えて友情を結び合う。マリファナをや>>続きを読む

遊星からの物体X(1982年製作の映画)

4.5

後世に多大な影響を与えたクローズドサークルのエイリアンパニックSF。クリーチャーの造形や、閉鎖空間で疑心暗鬼に陥る心理戦がとにかく最高。インパクトのある映像のオンパレード。大名作。

東南角部屋二階の女(2008年製作の映画)

3.4

時間の流れが止まったような世界の中の、陽だまりで微睡むような日々。閉ざされた201号室の秘密が、共同生活を送る3人に踏み出すきっかけを与える。ノイズのようなエフェクトをかけているのもあり、映像の中に取>>続きを読む

凱里ブルース(2015年製作の映画)

4.6

夢とも現実ともつかぬ旅。視界の端が歪み揺れるチープな広角レンズの長回しが、かえってその夢の記録でもあるようで心地良い。まさに胡蝶の夢。中国ロードムービーの大傑作。

あぜ道のダンディ(2010年製作の映画)

3.5

プライドの高い父親、父の心など知らず会話すらまともにしない兄妹の姿をコミカルに描きながらも、別れを前にしてやっと愛情を言葉にしていく家族の姿を描いたハートフルなヒューマンドラマ。石井監督らしいすっとぼ>>続きを読む

夜は短し歩けよ乙女(2017年製作の映画)

3.8

森見登美彦の原作をそっくりそのまま映像化したような、怒涛のように押し寄せる詭弁の乱痴気騒ぎ。ここまで忠実に再現するアニメはなかなかない。童貞少年の声が星野源なのも良い。

あの頃ペニー・レインと(2000年製作の映画)

4.0

10代で音楽ジャーナリストとして活躍した少年の青春と成長を、時代を彩った音楽たちと共に描く。音楽への愛、世代を超えた友情が尊い。ペニー・レインのミステリアスな美しさ……!

グリーンマイル(1999年製作の映画)

4.3

3時間超えの大作、ほとんどが牢獄の中で展開するにもかかわらず中弛みしない、感情の機微をしっかり捉えつつ奥行きと深い後味の残るストーリー。スティーブン・キングの構成力と、それを見事に映像化してみせたフラ>>続きを読む

小さな世界はワンダーランド(2014年製作の映画)

3.0

BBCとPixirのタッグで実現した、厳しい自然を生きる2つの小さな生命にフォーカスした作品。リアルさ、美しさに疑いはないのだが、そこはかとなくCG感・つくりもの感が漂っていて没入感に欠ける。

アメリカの影(1959年製作の映画)

4.4

即興演出でつくり上げられた、言葉なき黒人差別に抗う兄妹の姿を力強く映し出す群像劇。かの時代を生きた人々の息遣いが感じられる、魂の具現化としてのジャズ。強引なジャンプカットや視点のスイッチにより力尽くの>>続きを読む

少女が大人に変わる夏(2013年製作の映画)

3.3

友情、恋愛、家庭という3つの問題に取り囲まれ苛まれる少女の姿を描いた青春ドラマ。主人公たちの行動に筋が通っていて、この手の映画にありがちな不安定情緒による強引な転もなく、序盤のやりとりを回収する良いエ>>続きを読む

たかが世界の終わり(2016年製作の映画)

3.7

理解し合うことのできない居心地の悪さ、それでいて終生我が身から切り離すことのできない『家族』という存在を繊細に描いた、実にグザヴィエ・ドランらしい作品。オープニングで歌われる"家は希望の港じゃない"と>>続きを読む

キース・ヘリング〜ストリート・アート・ボーイ〜(2020年製作の映画)

3.6

地下鉄の落書きから世界へ。シンプルだがバイタリティ溢れるイラストで芸術界に新風をもたらし、庶民のための芸術を体現しながら早逝した稀代のアーティスト、キース・ヘリングのドキュメンタリー。キース本人の意志>>続きを読む

モデル連続殺人!(1963年製作の映画)

3.8

覆面の殺人鬼。恐怖を演出する静寂、殺人劇を脳裏に焼き付ける真紅。不気味な音楽やエロティックで古風な劇伴と、緊迫シーンにおける絶対的な静寂。そして赤。ドラマティックな対比。

dot the i ドット・ジ・アイ(2003年製作の映画)

4.3

独身最後の夜"ヘン・ナイト"、結婚前夜の運命的な出会いが生んだ危険な三角関係。サスペンスフルな恋愛ゲーム……と思いきやラスト30分で物語は鮮やかに急展開する。
途中まで某映画を匂わせるような展開を見せ
>>続きを読む

キーパー ある兵士の奇跡(2018年製作の映画)

3.9

戦争捕虜として囚えられたかつての敵国イギリスで、ゴールキーパーとして英雄となった元兵士の物語。史実を元にしているらしいが、ストーリーが小綺麗すぎるので多分に脚色されていると思われる。しかしながらサッカ>>続きを読む

宇宙からのツタンカーメン(1982年製作の映画)

1.5

トンデモB級SFなので破茶滅茶な設定なのはもう良さですらあるからいいとして、邦題で1番面白いはずのシーンをネタバレしているという愚かさ……何の脈絡もなくあのオチを見せられたら絶対に爆笑していただけにも>>続きを読む

台風クラブ(1985年製作の映画)

3.8

清らかな恋心の先にある、肉感を伴った大人の世界。それが今の自分と地続きであること、いずれ自らもそこに到達することに抵抗する男子と、扉を開くことを禁じられ反発する女子。台風の接近とともに爆発する感情の狂>>続きを読む