63さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

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ゲット・アウト(2017年製作の映画)

3.3

『ゲット・アウト』黒人男性と白人女性のカップル、彼女の実家へ彼氏は愛を持って迎え入れられるが、何やら一家は不穏さを漂わせつつ疑惑の種を蒔き残していき、やがて謎の答えが全て明かされた時には既に遅し、衝撃>>続きを読む

アウトレイジ 最終章(2017年製作の映画)

3.3

『アウトレイジ 最終章』遂に平穏が訪れて悪人共の抗争劇にも終止符が打たれたのかというエンドロール後の余韻。その結末に至るまでは腹の探り合いと絆の裏切りが繰り広げられて全く先の展開など読めず持続される緊>>続きを読む

虐殺器官(2015年製作の映画)

3.4

『虐殺器官』読書時のジョン・ポールのイメージとキャラ造形の差異に慣れるまで時間を要したが、本作の肝となる〝文法〟を扱うという難題を膨大な言葉を駆使する事で成し遂げており、戦地での臨場感はアニメと思えな>>続きを読む

キングコング:髑髏島の巨神(2017年製作の映画)

3.4

『キングコング:髑髏島の巨神』序盤から荒ぶるモンスターとしてコングは派手に登場するも、やはり彼は気が優しくて力持ちなイケメンでした。戦争悪を体現するサミュエルLジャクソンの存在感は怪獣に引けを取らぬ凄>>続きを読む

月夜釜合戦(2018年製作の映画)

3.5

『月夜釜合戦』釜ヶ崎を舞台に映画を撮る意味で16㍉を選んだ監督は正解だった。時代と逆行したフィルムの粗雑な質感から垢も汗も埃も小便も包容する街自体の人間臭さが匂い立つ。1個の釜を巡って極道も浮浪者も泥>>続きを読む

ホドロフスキーの虹泥棒(1990年製作の映画)

3.5

『ホドロフスキーの虹泥棒』監督特有のモチーフ、見世物小屋、小人、動物、占術を織り混ぜて遺産を巡る物語は哀愁を漂わせながらコミカルに展開して友情を問うスペクタクルな結末へ向かう。とにかく地上と下水道を行>>続きを読む

夜は短し歩けよ乙女(2017年製作の映画)

3.5

『夜は短し歩けよ乙女』タイトルは名ばかりで物語は長い夜を全力疾走する。四季折々と一年に渡る原作のエピソード群を僅か一晩で起きた出来事に再構成。上田誠によるスピーディーな改編脚色と湯浅政明によるダイナミ>>続きを読む

不思議惑星キン・ザ・ザ(1986年製作の映画)

3.5

『不思議惑星キン・ザ・ザ』見知らぬ惑星にワープして地球に戻れない設定ながら、クーのお辞儀、気の抜けた音楽、ゆるマッドマックス的世界観(飛行物体のデザイン最高)により危機感など全く感じずホンワカと映画を>>続きを読む

台北ストーリー(1985年製作の映画)

3.5

『台北ストーリー』その時代の都市に翻弄される幼馴染みのアリョンとアジンを描く監督エドワード・ヤンの撮影アングルと編集リズムという演出テクに酔いしれる。特に闇。ネオンを背に戯れる男女と夜を失踪するバイク>>続きを読む

たかが世界の終わり(2016年製作の映画)

3.5

『たかが世界の終わり』曲と音、ファッションとインテリア、ドランの感性が凝縮した映像に浸りながら、表情の接写で紡がれる個性派俳優の演技合戦による会話劇を味わう。テーマは家族。近づこうとすれば離れてしまう>>続きを読む

散歩する侵略者(2017年製作の映画)

3.6

『散歩する侵略者』ベッタベタな〝愛は地球を救う〟というメッセージを斬新な角度からストレートに投げ付けられた。飄々と松田龍平、駄々っ子長澤まさみ、モラルな長谷川博己、全キャストが役にハマり、黒沢清は十八>>続きを読む

ダイ・ビューティフル(2016年製作の映画)

3.6

『ダイ・ビューティフル』急逝したトリシャの半生が振り返られる回想記。映画は〝死〟が起点となり、厳格な父との軋轢も、運命の人との悲恋も、女王の栄冠や親友の存在と同じように、彼女なりの生き方として全肯定す>>続きを読む

三度目の殺人(2017年製作の映画)

3.6

『三度目の殺人』法廷サスペンスに挑んだ是枝裕和の新境地。緻密な取材に裏付く忠実な脚本を役者陣の迫真なる演技合戦とエイナウディの耳に響く楽曲が重厚に盛り立てる。写り込みを多用した演出の接見シーンで重盛と>>続きを読む

オン・ザ・ミルキー・ロード(2016年製作の映画)

3.7

『オン・ザ・ミルキー・ロード』愛は戦争に屈しえるかという美談。ロバ、犬、ハヤブサ、蛇、ガチョウ、羊、クマ、新作はアニマルアプローチが最強。監督・脚本・主演もこなすクストリッツァはモニカ・ベルッチとスロ>>続きを読む

スイス・アーミー・マン(2016年製作の映画)

3.7

『スイス・アーミー・マン』遭難した青年が漂着した死体を乗りこなし腐敗ガスの放屁を動力に無人島を脱出するトンデモ展開で始まる。孤独や飢餓を救う十徳死体への恩は次第に友情へと転じていく奇天烈ながら笑あり涙>>続きを読む

美しい星(2017年製作の映画)

3.7

『美しい星』大杉家の4人が各々ある遭遇を切っ掛けに覚醒する。父は温暖化に警鐘を鳴らし、母は美しい水を推奨し、息子は政治の道を志し、娘は金星の子を宿す。火星ポーズと金星ダンスがシュールに炸裂するが、映画>>続きを読む

海辺のリア(2017年製作の映画)

3.8

『海辺のリア』砂浜で裸足の老人は施設から脱走したらしい。かつての栄光かキャリーバッグを引きずり進む。映画は残された家族の軋轢や葛藤や決断も描く。にしても仲代達矢、とにかく仲代達矢、いずれにせよ仲代達矢>>続きを読む

彼らが本気で編むときは、(2017年製作の映画)

3.8

『彼らが本気で編むときは、』直面するハードルにも決して感情を荒げず〝編む〟ことで淑やかに乗り越えていく彼らの姿を応援してやまない。マキオとリンコとトモの関係性を真摯に描く本作が新しい価値観の提示になっ>>続きを読む

ブラインド・マッサージ(2014年製作の映画)

3.9

『ブラインド・マッサージ』目で恋をしない盲人たちの性愛劇をロウ・イエが鮮烈に描いた。見えないからこそ、より艶かしく、より赤裸々に、よりセンセーショナルに響く。欲情も妬みも実らぬ思いも、映画が示すは本物>>続きを読む

メッセージ(2016年製作の映画)

3.9

『メッセージ』姿形、言語、時間の概念、全てが人類と異なる地球外生命体と対峙した際に如何に侵略と捉えず非好戦的にコミュニケーションを図るか。未知なる交信という視覚化に不向きなテーマを実現化し得たデザイン>>続きを読む

ハクソー・リッジ(2016年製作の映画)

3.9

『ハクソー・リッジ』デズモンドが罵られながらも頑に貫いた〝殺さない〟という信念が〝丸腰の衛生兵〟として戦地で大活躍と偉業を成し遂げるカタルシス。あんなにブラもやい結びが重宝するとは。メルギブ流の容赦な>>続きを読む

トッド・ソロンズの子犬物語(2015年製作の映画)

3.9

『トッド・ソロンズの子犬物語』この毒は麻薬的中毒性を秘めている。一見してアメリカナイズされキャッチーだが、その効用は己の道徳観を深くエグる劇薬なり。服毒者の特徴的症状としては、不適な笑みが浮かび、稀に>>続きを読む

ロスト・イン・パリ(2016年製作の映画)

4.0

『ロスト・イン・パリ』色と音と踊と愛に溢れた上質なコメディ。冒頭の吹雪が入り込んだ部屋の荒れ具合で既に心は鷲掴みに。マイムの技術に裏打ちされたアベル&ゴードンの創る〝笑〟はキュンとする。ラスト・タンゴ>>続きを読む

南瓜とマヨネーズ(2017年製作の映画)

4.0

『南瓜とマヨネーズ』精巧なスケッチの如く引き算で描かれた魚喃キリコの余白が冨永昌敬の生々しくも温もりあるアレンジで埋まる。太賀の母性本能くすぐる歌声と臼田あさ美のくしゃくしゃの笑顔に和んだ。失敬、せい>>続きを読む

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)

4.1

『ラ・ラ・ランド』夢追い人の男と女を描く極上のミュージカル。ただひたすら色彩と楽曲に陶酔できる神演出。タイトル前の数分間とエンドロール前の数分間で沸き立つ鳥肌。名作映画をインスパイアした場面が幾つも見>>続きを読む

人生タクシー(2015年製作の映画)

4.1

『人生タクシー』国から映画製作を禁じられたパナヒ監督は自らがタクシー運転手に扮し乗客を数台の搭載カメラで撮って作品に仕上げるという奥の手を使う。緻密な計算で偶然を装った風の車内で物語るはウィットに富ん>>続きを読む

哭声 コクソン(2016年製作の映画)

4.2

『哭声/コクソン』コミカルに始まった猟奇犯罪ミステリーは次第にオカルト色を強め韓日祈祷バトルやゾンビパニックを経て親子愛に満ちた結末で着地するかの安心感を裏切って大ドンデン返した上に怪奇映画的トラウマ>>続きを読む

ベイビー・ドライバー(2017年製作の映画)

4.3

『ベイビー・ドライバー』まるで歌わないクライムミュージカル。逃がし屋ベイビーの華麗なるドライビングテクとiPodからのBGMチョイスに惚れたら最後。予測できない彼の運命に時間を忘れてスクリーンに釘付け>>続きを読む

ムーンライト(2016年製作の映画)

4.4

『ムーンライト』少年、青年、成人と一人の男を描いた成長譚であり友情を凌駕した恋情の物語。フアン役を演じるマハーシャラ・アリはアカデミー助演男優賞受賞も納得の佇まい。淡々と説明を抑えた演出ながら何故こん>>続きを読む

新感染 ファイナル・エクスプレス(2016年製作の映画)

4.6

『新感染 ファイナル・エクスプレス』特急列車の如くノンストップパニックホラーかと思いきや意外とガッツリ泣かせにくるヒューマンドラマ。如何に逃げ切るかのゾンビ映画と違って敢えて群がる場所へ知恵と度胸で立>>続きを読む

ダンケルク(2017年製作の映画)

4.6

『ダンケルク』陸・海・空の異なる時間をミクスチャーする実験的演出ながら1本の救出作戦大作として成立している凄さ。徹底したクオリティーの追求からなる画と音は説得力を誇示して物語性よりも状況下へと観客を没>>続きを読む

At the terrace テラスにて(2016年製作の映画)

4.8

『At the terrace テラスにて』面識の薄い人達でぎこちなく始まった会話のキャッチボールは、転調しながら牽制や暴投を交えて球速を高め、終盤へ近付くほど隠し球に次ぐ隠し球で延長へ突入し、劇的な>>続きを読む

牯嶺街少年殺人事件(1991年製作の映画)

4.8

『牯嶺街少年殺人事件』アウトレイジさながらな不良グループの抗争劇も犯した過ちも若さゆえの青春として包括される瑞々しさがスクリーンに焼き付いていた。光と影、闇と灯を駆使した完璧な構図によるシークエンスの>>続きを読む

エンドレス・ポエトリー(2016年製作の映画)

4.8

『エンドレス・ポエトリー』洪水の如く溢れ出る色彩と言葉はアートとポエムに昇華して力強く胸を打ち続けた。自伝として己の青春期を映画化する上で父との確執に赦しを与えて過去も浄化させる優しきホド翁。観客へ「>>続きを読む

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017年製作の映画)

3.2

『聖なる鹿殺し』医療ミスで父を亡くした青年(恐ろしきバリー・コーガン)からの復讐めいた忠告の不条理さを暗喩すべく奇を衒いまくるカメラワークとSEにより不気味に神経を逆撫でされながら禊の顛末まで見届けた>>続きを読む

ザ・スクエア 思いやりの聖域(2017年製作の映画)

3.2

『ザ・スクエア 思いやりの聖域』地面に創られた正方形は〝このスクエア内では誰しも平等〟とする美術作品。その展示を設けた美術館長の身にメッセージは綺麗事という現実が災難として襲いかかる不条理劇。表現の自>>続きを読む