63さんの映画レビュー・感想・評価 - 11ページ目

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14歳の栞(2021年製作の映画)

3.7

『14歳の栞』ある中2のクラスメイトに放課後まで密着して全35名を紹介する無謀な企画の2時間はドキュメントながら軽快なテンポで青春の光と影も生々しく映す。陽キャと調子乗りや大人びたり悲観的な生徒が当時>>続きを読む

THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

3.7

『THE BATMAN-ザ・バットマン-』連続殺人事件の真相をゴードン刑事とのバディで追うミステリーを軸に描くは歴としたヒーロー映画ながら視覚的にも精神的にも圧倒的に闇。セブン的に降り続く雨とSAW風>>続きを読む

ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)

3.7

『ちょっと思い出しただけ』秀逸なタイトル通りに別れた恋人と再会を果たす偶然から映画は進展を避けて回想を続ける。まるで恋愛版メメント。時間の逆行において鍵となるアイテムや人物のさりげない配置が物語を見失>>続きを読む

彼女のいない部屋(2021年製作の映画)

3.7

『彼女のいない部屋』最後まで観なければ全てを理解できない分だけ余韻は深く残り続ける。断片的に散りばめられたシーンは彼女が振り返る記憶であり思い描く妄想。孤独感を漂わせる演出は彼女自身の不在でなく彼女以>>続きを読む

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

3.7

『ベイビー・ブローカー』金目当ての乳児売買が訳アリ実母の登場で赤ちゃんに相応しい里親探しの旅へ。現行犯で逮捕すべく追う〝女〟刑事に本音を語らせた図式が巧い。疑似家族として関係性が大きく転換する洗車場と>>続きを読む

MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない(2022年製作の映画)

3.7

『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』1週間を繰り返してる事実を知る徹夜組部下の一員が会社内序列を弁えて低い役職から順に理解を得る為のプレゼンに奮闘する。カメ止め系の低予>>続きを読む

みんなのヴァカンス(2020年製作の映画)

3.7

『みんなのヴァカンス』サプライズで旅先まで彼女を追う道中の自動車アクシデントから想定外に休暇が延長する。愛して嫉妬して喧嘩して仲直りして子守りして熱唱して恋して夏を謳歌する若者たち。自然な展開と会話が>>続きを読む

ギャング・カルテット 世紀の怪盗アンサンブル(2019年製作の映画)

3.7

『ギャング・カルテット 世紀の怪盗アンサンブル』時代に逆行するかの如くアナログな手口で任務を遂行する彼らに心を鷲摑みにされた。秒単位のリズムで計画を左右する音楽の選曲も抜群でポップに軽やかに作戦が展開>>続きを読む

ふたつの部屋、ふたりの暮らし(2019年製作の映画)

3.8

『ふたつの部屋、ふたりの暮らし』静かな作品と思いきや陰影のコントラストが強い画面と緊迫感を煽る音響と編集のテンポで意外にもサスペンス調で魅せる。同性愛という関係が脳卒中を患った事で秘密に隠し通す必然性>>続きを読む

さかなのこ(2022年製作の映画)

3.8

『さかなのこ』普通?大人?と気にも留めずピュアな心で周囲を巻き込み成長していくミー坊を描いた本作は〝好き〟を全肯定する。学ラン白衣ハコフグ帽を着こなす好演のんも沖田監督の世界観で暴れ回る不良も可愛い。>>続きを読む

PLAN 75(2022年製作の映画)

3.8

『PLAN 75』鑑賞中ため息が何度も漏れた。フィクションながら社会的弱者に対する不寛容な現代と地続きであり国の近い未来を描いた物語だとは否定できない。ヒロインとしての倍賞千恵子の存在感、陰影の強い淡>>続きを読む

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

3.8

『コーダ あいのうた』抗議も罵倒も下ネタも手話は口頭で伝えるより強くメッセージが届くからこそ家族愛もまた一段と心に響く。どんな境遇でルビーが育ったか知った上で聴く彼女の歌声は胸を熱くするも肝心の場面で>>続きを読む

秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)

3.9

『秘密の森の、その向こう』「未来から来たの?」少女は自分と同年齢だった頃の幼い母と出逢う。秘密基地ままごと誕生日会を介して仲良く心を通わせる。異質のタイムリープながらSF色より友情や親子の関係性に重点>>続きを読む

わたしは最悪。(2021年製作の映画)

3.9

『わたしは最悪。』心揺れ動く三十路を迎えたユリヤの恋愛も仕事も家庭も赤裸々に描く。文学的な〝まるで世界の時を止めたよう〟を再現した演出が素敵だ。本編で彼女が取る選択は自己中で最悪に思われかねない。でも>>続きを読む

死刑にいたる病(2022年製作の映画)

4.0

『死刑にいたる病』黒の瞳で犯行動機を穏やかに語る阿部サダヲの話術がサイコスリラーとしての精度を高める。捜査に執着する岡田健史の得体の知れぬ怪演が陰鬱さに拍車をかける。知らぬ間に榛村大和という殺人鬼のペ>>続きを読む

愛なのに(2021年製作の映画)

4.0

『愛なのに』片思いラブレター浮気セフレ等々を絡めた男女関係に笑いを絶妙なバランスで配合する今泉脚本は見事。ちゃんと必然性を持って物語の一部として機能している濡れ場も含めたリアルで丁寧な城定演出は流石。>>続きを読む

川っぺりムコリッタ(2021年製作の映画)

4.0

『川っぺりムコリッタ』壁一枚を隔てた部屋が並ぶハイツに住む落語の長屋噺のような面々。あったかい荻上直子流の人間臭さで「誰しも何らかの過去を背負って生きている」と美味そうな〝食事〟から生きる意味も死との>>続きを読む

エル プラネタ(2021年製作の映画)

4.1

『エル プラネタ』オシャレに着飾って母と娘は一見ほのぼのと暮らすも家庭環境は生活保護の一歩手前で危うい。表層的な現代社会からは見えにくいリアルな実情をモノクロ(翻訳字幕はレモン色)で晒け出すセンス。監>>続きを読む

ヒューマン・ボイス(2020年製作の映画)

4.1

『ヒューマン・ボイス』待ちわびる男へ遂に連絡が繋がり長電話し続ける果てに女が凶行に及ぶまでを計算し尽くす色と音と服で魅せる。ティルダ様による迫真の一人芝居とアルモドバルによる先鋭的な神演出(短編戯曲の>>続きを読む

窓辺にて(2022年製作の映画)

4.1

『窓辺にて』今泉イズムな日常会話のリアル。男女の駆け引きも小難しい理屈も悩みを聞くも打ち明けるも二人の関係に漂う沈黙の間が心地良いリズムの行間を作り出し映画を文学たらしめる。そのシンボルとして稲垣吾郎>>続きを読む

アンデス、ふたりぼっち(2017年製作の映画)

4.2

『アンデス、ふたりぼっち』山岳地帯のポツンと一軒家で慎ましやかに暮らす老夫婦の日常が年齢と天候に勝てず段々と過酷化する。寝食を共にする普段の会話や街へ出たきりな息子の愚痴が台詞を演じて喋るフィクション>>続きを読む

夜明けの夫婦(2021年製作の映画)

4.2

『夜明けの夫婦』孫を欲しがる義母の圧、役に勃たない旦那の性、嫁に魔が差す義父の欲、母になれない私の意義、子作りという切実な問題を二世帯同居家族のモチーフで表面化させた傑作。山内ケンジ流に夢と現が行き来>>続きを読む

神は見返りを求める(2022年製作の映画)

4.3

『神は見返りを求める』キラキラな面もダークな部分もイタさゲスさヤバさに代償や危険性までこんなにもYouTuberの本質を捉えた傑作は無いのでは。再生回数と登録者数アップを目指すピュアな前半から後半は笑>>続きを読む

アフター・ヤン(2021年製作の映画)

4.3

『アフター・ヤン』本作のアンドロイドは人間になろうと望まない。逆に機能停止した事で生きた証を愛された者へと提示する。〝無がなければ有も存在しない〟メモリに残された断片的な記録映像が想い出を甦らせる美し>>続きを読む

MEMORIA メモリア(2021年製作の映画)

4.3

『MEMORIA メモリア』本人にしか聴こえない唐突に響き渡る謎めく轟音の正体を探るほど壮大な精神世界(記憶のチューニング)を巡る旅へと転じる。ウィーラセタクン監督による自然環境の響きを活かす美しい長>>続きを読む

ミスター・ランズベルギス(2021年製作の映画)

4.4

『ミスター・ランズベルギス』団結した熱き民の映像アーカイブと本人が冷静に語る回想インタビューの神編集でリトアニア独立を軸に辿るソ連崩壊までの史実。「我々には我々の憲法がある」軍事介入に屈せず非暴力で成>>続きを読む

犬王(2021年製作の映画)

4.5

『犬王』ハンディキャップを持つ人間が歌踊奏の芸の力で成り上がる反骨的自己肯定絵巻。湯浅政明の動演、野木亜紀子の科白、松本大洋の造形、大友良英の楽曲、森山未來の絶唱、アヴちゃんの声色、異才らの融合で総じ>>続きを読む

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

4.7

『ケイコ 目を澄ませて』聾者の女性ボクサーという感動要素が盛られた設定の小賢しさは序盤のミット打ちの本気度で払拭される傑作ボクシング映画。実際は聴こえないだろう環境音を強調や字幕が必要な場面か否かの判>>続きを読む

フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

4.7

『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イブニング・サン別冊』雑誌が映画だ。特集記事(芸術・政治・食)に見立てた3つの物語を索引付のオムニバスで綴る。拘り抜いた映像、言葉巧みな台詞、遊び満載>>続きを読む

さがす(2022年製作の映画)

4.7

『さがす』失踪した父を捜索して見付けた男が同名の別人だった後の展開は誰も予測できない。無慈悲さに伏線回収や笑いを織り混ぜるサジ加減がお見事。空虚なDMを隠喩するピン球のラリーから娘の「やっと見付けた」>>続きを読む

カモン カモン(2021年製作の映画)

4.8

『カモン カモン』甥っ子の面倒を見ながら仕事で街を転々とする共同生活。おんぶ読み聞かせ迷子は通過儀礼として互いに向き合い打ち解ける心。インタビューでの大人びた発言も素直な感情表現の子供っぽさも許容する>>続きを読む

トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

4.8

『トップガン マーヴェリック』ガチンコパイロットクラブの言葉「それで遺族は納得するのか」で彼に惚れた。前作を観ずとも写真や回想で察するに〝死して続く友情〟が〝必ず生かす使命〟に転じた絆の物語として胸が>>続きを読む