3104さんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

3104

3104

映画(722)
ドラマ(0)
アニメ(0)

下女(1960年製作の映画)

3.9

なるほど『パラサイト』につながる要素あり〼。
そこを考えずとも“上と下”や“内と外”、登場人物の解せぬ心理描写など見どころ/ツッコミどころに事欠かず。
主演の女優はいわゆる“正統派美人”ではないが妙に
>>続きを読む

007/消されたライセンス(1989年製作の映画)

3.2

前作『リビング・デイライツ』に続き、タフで女っ気少なめ、怒りをあらわにするダルトンボンド。今作は「友の復讐」という、更にこれまでのボンドらしくない要素が加わる。まるで90年代以降のハリウッドマナーな映>>続きを読む

氾濫(1959年製作の映画)

3.7

近い時期に制作・公開された『闇を横切れ』『巨人と玩具』に似たテーマ/要素を持った作品。しかしその2作のような切れ味やパンチ(の威力、重さ)はやや後退し、相対的に登場人物のゲスさがより浮き彫りに。相変わ>>続きを読む

007/リビング・デイライツ(1987年製作の映画)

3.8

4代目ボンド登場。

初代の優雅さや3代目のユーモアな部分をほぼ削ぎ落とした、シリアス路線のタフなボンド。そういう意味では2代目に近いのか。

ひさびさにソ連がガッツリ絡み、ひさびさにアストンが登場。
>>続きを読む

007/美しき獲物たち(1985年製作の映画)

2.8

ムーアボンド最終作。
さすがに老いは隠せず、本人のアクションもスローモー(スタント使用シーンはパワフル。時代が進んで少しずつ“今のアクション”に近づいてきた模様)。

70年代の007のようなどこかの
>>続きを読む

007/オクトパシー(1983年製作の映画)

3.2

『私を愛したスパイ』『ムーンレイカー』のお気楽ゴージャス路線からの揺り戻しでシリアスかつ骨太だった前作『ユア・アイズ・オンリー』。
そこからまた再度の揺り戻しで、お気楽かつ美女多め(当然「唐突にベッド
>>続きを読む

007/ユア・アイズ・オンリー(1981年製作の映画)

3.6

前作・前々作のゴージャス路線からの揺り戻しか、一転シリアスで原点回帰となった一作。
正確には原点回帰ではない。特にアクションシーン。ゴージャス路線以前の諸作で見られたどこか優雅かつユーモラス風味なそれ
>>続きを読む

ミッドサマー(2019年製作の映画)

3.8

カルトだ、カルトだという声が聞こえてきたのでそれを期待して観に行くも肩透かし。
なんだこれはまっとうなホラーではないか。それはそれでよろしい。
舞台は白日の下でも、なかなかにまっとうで“親切”なホラー
>>続きを読む

乱菊物語(1956年製作の映画)

2.9

公開当時でもすでに古かったのではないか?と思わせるくらい、主演の池部良が「昔の剣劇モノの主人公」然としていた(≒させられていた)のが最初から最後までの違和感。
八千草薫はむろん美しい。

何かいいことないか子猫チャン(1965年製作の映画)

3.1

とっ散らかってるなぁ。
ところどころいい絵面はあったが総じて散漫。ピーター・オトゥールの青い瞳はいつ見ても素敵なれど、彼と女性たちの結論など出ぬやりとりの繰り返しだけでは飽きてしまうのが残念。ピーター
>>続きを読む

悪魔の往く町(1947年製作の映画)

3.7

野心を抱いて悪事(やそれに類する行動)を起こして成功を掴むが、欲を出し過ぎたがため過ちを犯し、そこから転落してゆく・・。

フィルムノワールものにありがちなパターンなのだが、そこに「ひとひねり」を加え
>>続きを読む

邪魔者は殺せ(1947年製作の映画)

3.3

影を活かしたショットやダッチアングルなど、のちの『第三の男』などで観られる要素はここで既に効果的に用いられている。

ただ、長い。
序盤~中盤はソツなく進むものの、それ以降がダレて退屈になる。後半に出
>>続きを読む

All This Panic(原題)(2017年製作の映画)

3.7

終映後のトークショー。異なる世代の登壇者おふたりによる劇中印象的だった言葉のチョイス「若い時の2、3年という時間」「“なにものか”になりたくない」は、すなわち作品をどちらから観るかの違いなんだよなと、>>続きを読む

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

3.8

どことなくウェス・アンダーソンを思わせる構図や色遣い、過剰に動かない話の展開などは観やすさ、(特に普段“そのテ”の作品を好む層への)受け入れられやすさに溢れている。

軽やかかつビターブラックなコメデ
>>続きを読む

イチかバチか(1963年製作の映画)

3.6

日活を出てからの東宝時代の川島作品はほとんど観たことがなかった。今回のシネ・ヌーヴォでの川島特集でそれらのいくつかを観ることができ、その面白さを享受できたのは誠に収穫だったといえよう。

さてその東宝
>>続きを読む

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

4.2

あらすじなどの事前情報は意味を成さない。ジャンルの定義も意味を成さない。『ジョーカー』『万引き家族』等との共通点やテーマの比較も意味を成さない。

僕は「喜劇(≠コメディ)」と受け取った。テンポよく進
>>続きを読む

特急にっぽん(1961年製作の映画)

3.4

コメディ寄りの作品はいつも戦前のサイレント~トーキー初期のドタバタ喜劇のテイストを(作品により分量の多寡はあれど)引用したり匂わせたりする川島雄三。今作でもそれはキッチリと伺うことができ、狭い密室であ>>続きを読む

マリッジ・ストーリー(2019年製作の映画)

3.8

冒頭の「互いの長所の供述」から心が持っていかれる。ありきたりで幸せそうな夫婦生活を短いカットで観せていき、一見この幸せが続く・続いているかと思いきや、かぶせられるランディ・ニューマンによるやや過剰な音>>続きを読む

人も歩けば(1960年製作の映画)

3.9

『貸間あり』や『幕末太陽傳』等を思わせるドタバタ風喜劇。ナレーションベースのオープニングのテンポの良さや洒脱さ、いいところで挿まれる格言、フランキー堺が逃げたり巻き込まれたりするところなど共通項も多し>>続きを読む

接吻泥棒(1960年製作の映画)

3.3

赤色と青色(ボクシングのコーナーがモチーフ)に導かれて、物語の主人公2人の様子が交互に描かれるアバン~週刊の表紙を象ったタイトル画面までの流れが小気味よい。
作品自体もそこから終始テンポよく進むが、結
>>続きを読む

グラマ島の誘惑(1959年製作の映画)

3.0

いやー、とっ散らかってるなぁ。

いろいろ詰め込もうとし過ぎて全体としても細部においても乱調子で破綻している。カオスな怪作、と一言で片付けてしまえるくらいの〜当時の邦画としても川島雄三作品としても凡庸
>>続きを読む

暖簾(1958年製作の映画)

3.8

東北出身東京育ちの川島雄三だが、こういう「上方」を描かせても上手い。
山崎豊子の原作のなせる業か、地域差によらぬ“共通項”のようなものを掴んでいるからなのかはわからぬが、今作は中村鴈治郎の演技や佇まい
>>続きを読む

ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)

3.8

静謐な世界、親切な描写。

前作より技術は格段に進歩したのに前作より肌触りが古いのはなぜか?エッジの度合いが足りないのは是なのか非なのか?
ヴィルヌーヴ色をふんだんに出しつつ、リドリー・スコットの紡い
>>続きを読む

アフリカの光(1975年製作の映画)

4.0

詩情あふれるタイトルとは裏腹に、広く狭苦しい北の町で男二人は行き場を失い、のたうち回り、遠い地を夢見たり見なかったりしながらやがて去ってゆく。
どんずまりの二人の情けなさがいっとう素晴らしい。ラフに撮
>>続きを読む

くちづけ(1957年製作の映画)

3.8

増村デビュー作。
以降の作品より少し速度感で劣るが既にテンポがいい。
らしい展開、らしい科白の数々。江の島や都内の地名が出てくるものの、そこに広がる景色は、吹く風はまるで南フランスの港町かイタリアの青
>>続きを読む

スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け(2019年製作の映画)

3.7

はるか昔、ルーカスが9部作の構想を表明した時からスター・ウォーズシリーズの苦闘は始まった。一時はその構想は果たされぬと思われたが、周知の通り〜紆余曲折の末〜プリクエル、シークエルと作られ続け、ここに「>>続きを読む

銀座二十四帖(1955年製作の映画)

3.9

銀座を舞台に様々な登場人物の様子を縦糸に、イニシャルG.Mの正体探しを横糸に絡めて川島調で進むのか・・と思っていたら(おおむねその通りではあったが)後半まさかのノワールに変貌。予想外の展開に面食らった>>続きを読む

若草物語(1964年製作の映画)

3.4

オルコットの小説とは無関係。小説ならば「細雪」の四姉妹ぽいか。しかしあちらの流暢な関西弁(厳密にはあれは「船場言葉」か)に対し、こちらの四姉妹は関西出身という設定なれど皆一様にイントネーションがおかし>>続きを読む

ドクター・スリープ(2019年製作の映画)

4.0

原作である小説へのこだわりも、“原典”たるキューブリック版への思い入れも、そのどちら満たせたかい?満たせているだろう?と問われているよう。答えは「丁寧にそして見事に満たしている」。
かたや前作の監督は
>>続きを読む

地図職人の恋人(1987年製作の映画)

3.4

反語や反復はこの頃からお手のもの。階段を使うのもこの頃からお好きなようで。
貧乏ゆすりの女神に翻弄される地図職人。

キッド(1984年製作の映画)

3.8

何処へでも行ける/何処にも行けない。

さすがにまだ稚拙ではあるが処女作から既にハル・ハートリー 。青さや言葉の配置や“間”や哲学めいた科白や概念の羅列や情けなさやあれやこれやは基本的には変わらない。
>>続きを読む

還って来た男(1944年製作の映画)

3.7

さほど期待していなかったが意外にしっかりとしていたと言っては失礼か。さすがに後年の作品で見せる切れ味や毒っ気は薄く、全体的におとなしめな筆致ではあるものの、デビュー作から既に「川島雄三」だった。

>>続きを読む

パフューム ある人殺しの物語(2006年製作の映画)

3.0

原作未読。
終盤手前あたりまでは着実な構成だったが最終盤であー・・となる。

シャイニング(1980年製作の映画)

4.0

仕事ばかりで遊ばない、ジャックは今に気が狂う。

・・この訳がとにかくいい。都々逸を思わせる軽やかなリズムと、実際のシーン(でのシェリー・デュヴァルの反応)とのコントラスト。繰り返し繰り返し打たれる原
>>続きを読む