おさかなはフィッシュさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

おさかなはフィッシュ

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ロスト・イン・トランスレーション(2003年製作の映画)

3.5

昔読んだ、ルソーの『言語起源論』を思い出した。
最初の言語は情念から生まれたのだという。あれやこれといった指差しからではなく、愛や憐憫、ときには憎しみや怒りを表すために生まれた。 (そもそも指差し行為
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オアシス(2002年製作の映画)

3.5

渋滞する道路で車から降り、ジョンドゥはコンジュを抱え、グルグルと回る。周りの光景は流れ、目に入らない。

コンジュの部屋。花びらを舞わせるインドの子ども、踊る女性、ゾウ、オアシスの光景。現実を映すこと
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ビル・エヴァンス タイム・リメンバード(2015年製作の映画)

3.0

はじめはなんとなく集中できなかった。
短いショットの連続で、画面がどんどん切り替わる。あっさりとした印象で、たまには長回しでじっくり聴かせてくれたらいいのにな、など考えていた。

気づけば徐々に集中が
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ペパーミント・キャンディー(1999年製作の映画)

3.0

主人公ヨンホの情緒に取り残され気味で、はじめのうちは少し焦った。
織田裕二か劇団ひとりに見えた瞬間が幾度か…。そんなこともありつつ、途中からは無事列車に乗れた。



緑の使い方がかなり印象的だっ
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バーニング 劇場版(2018年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

過去、パントマイム、猫、欲望の対象、電話の主、ガールフレンド…。執拗なまでの不在の連続に、半ばホラー映画的な緊張を強いられた。(映画で何かが「無い」のは、何かが現れる前兆であるため。)

スマートフォ
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21世紀の女の子(2018年製作の映画)

3.0

観てからしばらくずっと「女の子とは?」と考えていたけれど、結局ひとつにまとまった答えは出なかった…。
世界の複雑さ、謎は美しさ。



『out of fashion』と『ミューズ』が、自分の持つ「
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ベルリン・天使の詩(1987年製作の映画)

4.5

「遍在」には、「遍く」行きわたる恩寵の感覚がある。
しかし、人々は恩寵に気づかない。そこかしこにいる天使の存在。隣人、同じ電車に乗る他人の声。声は誰かに届くことなく消え、人々は互いに孤立している。
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あの日々の話(2018年製作の映画)

3.5

進撃の一年目、年目の違う女子同士のまるで中身のない会話など、数々の「大学生あるある」にとにかく笑った。
サイトウさんの涙が最高。(GPAは低くても、絶対いい人)

楽しいのは最初の一、二時間だけだと知
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ゴダールの映画史 第3章 映画だけが(1994年製作の映画)

3.0

「2A 映画だけが」まで鑑賞。

目まぐるしさはそれほどなく、詩的な印象。

メモ
・フランスの歴史学に関する本を読む。
・ボードレール「旅」を読む。

北図書館に向かう道すがら、今日も大野池のほとり
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ゴダールの映画史 第1章 すべての歴史(1989年製作の映画)

3.5

「1A すべての歴史」「1B ただ一つの歴史」まで鑑賞。

『イメージの本』を観る前に観ておくと、観たことのある引用が多数登場して、余計な緊張度が下がってよかっただろうなと思った。
その映画で好きだっ
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愛がなんだ(2018年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

ほぼ全篇にわたって近視的なショットが続く。その距離に窒息しそうで、劇場を出て思わず大きく息を吸い込んだ。
こうして見せられるとなかなかに気持ちの悪い象の皮膚の接写を経て、飼育員になってしまったテルコへ
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イメージの本(2018年製作の映画)

4.0

第1章で幾度も表れるイメージ、手。
手=行為、特に暴力、そして映画作りの主体である。
大きな鋏のイメージ。“フィルムを切る”、映画の編集作業。「表象行為は暴力性を内包する」。

映画作りの主体はそのこ
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運び屋(2018年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

初めての仕事の際、麻薬組織のガレージにて説明を受けるシーン。
光の透ける、ガラス玉のような瞳。そのまったき純真さに、感嘆を通り越し、少し怯んだ。
自身の身体イメージを熟知した老練の監督/俳優によって表
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きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)

4.0

老いも若きも石橋静河ちゃんの虜に! なったのではないでしょうか。
クラブで踊るシーンは監督に大感謝。「オリビアを聴きながら」は、頭から離れない日々がしばらく続いた。



映画の中の三角関係なんて、
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映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ(2016年製作の映画)

3.5

今よりもっと若かった頃、人と冬の道を歩いていて、寒冷地における信号機の形状について話し始めてしまったことを思い出した。話すというのは、やっかいだ。

居酒屋で視線を交わして、青い月に予感を覚えて、そう
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モンティ・パイソン/ライフ・オブ・ブライアン(1979年製作の映画)

3.0

Always Look on the Bright Side of Lifeを聴きたいがために鑑賞。
終始ふざけている中、ブライアンが入れられた牢で磔にされていた男が言う「人生で大事なものが分かった」
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