1920年代はまだ、映画として一本完成させれそうなテーマの傾向が、制作者たちも見えてなかったと思う。そんな中で、「亭主関白な夫と、家事に追われる妻」というかなりミニマルなテーマで長編映画を一本完成させ>>続きを読む
人間が理性では見たくないと思っているのに、本能では「これは見ておくべきなんだろうな」と思って、ついつい見てしまう、「不倫」「異文化」「殺人」という三つの要素を混ぜ合わせた、露悪的なエンタメ作品。
ヒッ>>続きを読む
こんな享楽的な映画ばっかり高評価していたら、バカだと思われるかもしれないが、滅茶苦茶面白かった。
1961年にベルリンの壁が建設され、その年に公開された「ベルリンが舞台の映画」だから、当時としてはか>>続きを読む
世界で最も激しい思想のぶつかり合いは、おそらく第二次世界大戦の東部戦線だろう。
「ヒトラー率いるナチスドイツ」「ソ連率いる共産主義陣営」「世界初の一神教を誕生させたユダヤ人」がぶつかり合った。その結果>>続きを読む
「普通に生活してる主人公が、特定の場所に行ってから不穏な出来事に巻き込まれ始める」
という、「サイコ」や「ミッドサマー」といったホラー映画と同じ傾向の作品だった。
途中までは「作品内の謎を解く、ミステ>>続きを読む
そもそも、このタイトルの映画を、自分からわざわざ映画館に見に行っておいて、こんなことを言うのも何だが、「ジャンヌダルクは歴史上の人物として、教養として覚えておくべきか?」と聞かれれば、自分は「全く覚え>>続きを読む
湯浅政明の初監督作品で、自分も同監督作は初鑑賞。
3DCGと2dアニメと、実写を混ぜた映像が素晴らしかった。
ギャグ漫画とかだと、敢えてなのか?作者の画力の問題なのか?は分からないが、写実性から離れ>>続きを読む
「何故、撮影監督の歴史について、体系的にまとめた資料が少ないのか?」と、以前から疑問に思っていたのだが、宮川一夫氏の「キャメラマン一代」や高間賢治氏の「撮影監督って何だ?」といった書籍を読んだことで、>>続きを読む
本作の感想を書く前に、猿の惑星シリーズとは何なのか?について書いていきたい。
猿の惑星シリーズは、原作者であるピエールブール氏が第二次世界大戦中に日本軍の捕虜になった経験を元にして作られたと言われてい>>続きを読む
後のウェスアンダーソンとかに影響を与えたであろう、ミニチュアみたいな映像と、鮮やかな色彩が素晴らしかった。おそらくカラーフィルム、望遠レンズ、パンフォーカスの組み合わせで全編に渡って撮影されているが、>>続きを読む
秒速5センチメートルみたいな、子供の恋愛話から始まる、数十年に渡るすれ違い映画。
これ系のすれ違い映画の割には、主人公達の行動次第でどうとでもなった感がある作りなのが、不思議だった。状況的に2人とも>>続きを読む
「三島事件の当日」「三島由紀夫の生い立ち」「三島文学の映像化」の3つの時間軸を交互に描く映画。
三島由紀夫の金閣寺の映画化作品である「炎上」のレビューにも書いたが、三島作品の映像化は難しいと思う。思>>続きを読む
ある種のネタバレになってしまうが、タイトルから説教くさい映画かと思って見てみたら、割とそのまんまの意味の映画だった。
基本的には、美しい世界に急に緊張が走って、それがまた淀みながらも、美しくなるまで>>続きを読む
日本において「河童」というタイトルの映画があったら、おそらくそれは娯楽映画だろうが、「閻魔大王」というタイトルの映画があったら、東洋思想をベースにした芸術映画の可能性もあるだろう。西洋においても、ゾン>>続きを読む
笑いは何らかの破綻によって成立している事が多いが、映画は巨大な構造物である以上、少しの破綻が命取りになる。よって笑いを目的とした映画は難しい。
これまでに作られてきたコメディ映画は以下の四つに分類で>>続きを読む
濱口竜介監督が東京芸大の修士課程の修了作品として制作した映画。
濱口監督作品は数年前に「偶然と想像」を見たきりで、その時はあまりピンと来なかったが、近所の映画館で本作が再上映されると聞き、鑑賞。
結論>>続きを読む
小津安二郎の遺作とのことで、鑑賞。
相変わらず画面の構図は素晴らしかった。
しかし映像においてもストーリーにおいても、全部これまでの他の小津安二郎の映画で見たパターンばかりで、特に新しい物は無かった>>続きを読む
昨年、タランティーノとロバートロドリゲスが監督を務めた「グラインドハウス」という映画を見て、とても面白かった。本作は、そんなタランティーノが最も好きなエクスプロイテーション映画に挙げていて、興味を持っ>>続きを読む
本作と同じく、夢枕獏氏が原作の2017年の映画「空海」は、日本での評判はすこぶる悪かったが、海外での評判は上々だったし、個人的にも普通に見てて面白かった。
また、本作の監督は「ゴジラ−1」の山崎貴監督>>続きを読む
三島由紀夫原作の金閣寺の映画化。監督は市川崑で、撮影は羅生門等で有名な宮川一夫。
原作は既読。
他の人達が三島由紀夫をどう面白がっているのかは分からないが、少なくとも自分にとっては、三島由紀夫とは「>>続きを読む
チャンドラー小説、初の映画化作品とのことで鑑賞。原作も既読。
おそらく、1941年に「マルタの鷹」が公開されたことで、ハードボイルド小説の映画化ブームが起き、それに乗じて制作された作品。
ストーリー展>>続きを読む
ホラー映画は怖いという先入観から、あまり見てこなかったのだが、再上映をやっていた事から映画館にて鑑賞。
結論、全く怖くはなかった。そもそも、「ホラー映画が何故怖いのか?」がよく分からなくなってしまっ>>続きを読む
ゴダールやトリュフォー、スコセッシといった後の映画監督に影響を与えた溝口健二が、自身のワンシーンワンカットのスタイルを始めた最初期の作品とのことで鑑賞。
ワンシーンワンカットって、もっと舞台みたいな>>続きを読む
芸術系の映画がよく分からないと前々から思っていたので、芸術映画の原点と言われるカールテオドアドライヤーの作品を見ようと思い、本作を鑑賞。
映像の芸術性はあまり分からなかったが、サイレント時代に、これ>>続きを読む
チャップリンが自身のスタジオを作った事によって映画制作において主導権を握り、スタイルを確立した最初の映画とのことで鑑賞。
本作より後に作られた、チャップリン初の長編映画「キッド」を先に見てしまった自分>>続きを読む
何年か前に市民ケーンを見て、その当時は面白さが理解できなかった。
しかし、宇野維正氏の「ハリウッド映画の終焉」という本で本作が紹介されていたのと、牧野武文氏の「火星人襲来と市民ケーン」という本を読んだ>>続きを読む
「前衛的」「衝撃的」という触れ込みを聞いて見たのだが、かなり肩透かしを食らってしまった。確かに映画の中で起きている出来事は「衝撃的」だったかもしれないが、「映画それ自体」は衝撃的でも前衛的でもなく、割>>続きを読む
A24の初期の傑作とのことで鑑賞。
脚本も映像も及第点に達してはいるのだろうが、何もない映画だった。
変わった作品を作ろうとしているのに、ある程度ヒットを狙おうとしたせいで、結局、表面上は変わってい>>続きを読む
フリッツラング監督の1927年公開のサイレント映画「メトロポリス」という作品にインスパイアされて、手塚治虫が描いた1949年の漫画「メトロポリス」を題材に、「AKIRA」でお馴染みの大友克洋が脚本を描>>続きを読む
ウェスアンダーソンのデビュー作。
まだ、ウェスアンダーソン独特のスタイルが確立される前の作品で、正直どこを面白がっていいのかが分からなかった。同氏の作品は、結構前に「グランドブダペストホテル」と「犬ヶ>>続きを読む
ノーラン作品は難解な映画だとよく言われるが、例えば前作のテネットと本作では難解の方向性が全然違うと思う。
まず、テネットやメメントの難解さはノーラン自身が作った設定を観客が理解できるか否かの問題で、そ>>続きを読む
コーエン兄弟の初監督作品。
誰か特定の人物のストーリーを描くと言うよりも、神の視点から複数の人物を見ているような作品。
脚本家が書いてる途中に思いつくような、「次、こういう展開にしたら面白いだろうなあ>>続きを読む
ウッディアレンは大衆的なコメディ映画の人だと思っていたが、おそらくフェリーニやベルイマンの流れを汲む、芸術映画の系譜なんだろう。
ベルイマンやフェリーニ映画をまともに通ってきていない自分としては、あま>>続きを読む
女性監督だと知ってて見たからかもしれないが、大してフェミニズム映画でもないのに、女性監督にしか描けないような内容だと感じられて、とても良かった。
ある種の加害から始まる恋愛描写を、ここまで魅力的で前向>>続きを読む
ヒッチコックの遺作で、同氏のコミカルな変化球作品の中では最も面白かった。
DWグリフィスのラストミニッツレスキューをクライマックスだけでなく、全編に渡って引き伸ばしたような構成で、カットバックのカメラ>>続きを読む
再上映で鑑賞したが、とても素晴らしい映画だった。劇場では所々、笑いも起きていたが、コメディ映画でもない、60年以上前の作品で、観客にウケているのは、本当に凄いことだと思う。
映画序盤は晩春同様、家父>>続きを読む