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ローリング・サンダーのnowstickのレビュー・感想・評価

ローリング・サンダー(1977年製作の映画)
3.9
昨年、タランティーノとロバートロドリゲスが監督を務めた「グラインドハウス」という映画を見て、とても面白かった。本作は、そんなタランティーノが最も好きなエクスプロイテーション映画に挙げていて、興味を持っていた所、ちょうど名画座にて再上映していることを知り、鑑賞。

久々にフィルム上映で映画を鑑賞したのだが、古いフィルムだった為、褪色が進んでおりセピア色になっていた。こういった場合、本来なら「もっと良い状態のフィルムで見たかった」となるはずだと思うが、個人的には「これが初期のイーストマンカラーに起きる、褪色ってやつか!」となって、割と楽しみながら観てしまった。
そもそもグラインドハウスで上映されていたような映画は、質の悪いフィルムや上映形態、荒いストーリーや映像を、「味」として楽しむことで受け入れられて来たジャンルだろうから、それらも全部ひっくるめて楽しむ映画なんだろう。

ストーリーは、本作の脚本家であるポールシュレイダーが前年に書いた、同じくベトナム帰還兵物の「タクシードライバー」のB級映画版といった内容だった。また、自己満足の復讐物という点では本作が影響を与えたタランティーノの「デスプルーフ」にも似ているし、「時代の雰囲気の中で、考えすぎた結果、訳がわからない行動を取る主人公」という点では、三島由紀夫的とも言える。
そんな本作は、三島由紀夫、ポールシュレイダー、タランティーノがそれぞれ好きだと公言する、東映の任侠映画の影響を受けているらしい。自分は東映の任侠物を、仁義なき戦いシリーズぐらいしか碌に観ていない為、今後見ていこうと思う。

本作は見ていて、かなり面白かったが、「どこまでが作り手が意図した面白さで、また、どこまでを作品それ自体の面白さとするべきか?」がかなり曖昧な作品だった。
ただ、自分がここ最近ハマっていた物が繋がり始めたので、もっとこの辺のテーマを掘っていこうと思う。
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