長内那由多さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語(2023年製作の映画)

5.0

『アステロイド・シティ』からさらに演劇に傾倒し、舞台も映画もやる英国の名優達を招聘。めくるめく場面転換と、アンダーソン節をフル回転させるベネディクト・カンバーバッチの台詞技を見よ!

ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023年製作の映画)

5.0

序盤、大阪で繰り広げられるの真田vsドニー、ドニーvsキアヌのアクション名人戦だけでお腹いっぱい。ドニー・イェン、天才の所業。「ここからまだ2時間近くあるの!?」と驚愕。3人の間に入り込んで霞まないリ>>続きを読む

パリの記憶(2022年製作の映画)

5.0

『裸足の季節』(脚本)『約束の宇宙』を経て、作家としてスケールを増した傑作。2015年のパリ同時多発テロに直面した人々を繋ぎ、時には国境まで超えて街と社会を形成する集合記憶、意識を浮かび上がらせていく>>続きを読む

グランツーリスモ(2023年製作の映画)

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エンジン音にもスピードにも車にも興味のない、ブロムカンプの雇われ仕事。カメラの高さも編集のタイミングも間違っていて、映画のタイヤが暖まるまで随分時間がかかる。クライマックスが同じシチュエーションの『フ>>続きを読む

ニューヨークの巴里夫(2013年製作の映画)

5.0

3部作では1番自分の年齢に近い本作に共感できた。別れた子供と会うため40歳になって新天地NYで独り暮らし、バイト生活の侘びしさ。それでもグザヴィエの周りには魅力的な女性たちがいて、人生悪くないなと思え>>続きを読む

ロシアン・ドールズ(2005年製作の映画)

5.0

ケリー・ライリーの良さが初めてわかった。前作もそうだけど、主人公と同じ年齢で見てたらもっと刺さって、一生ものの映画になったと思う。

オーレリ・デュポン 輝ける一瞬に(2010年製作の映画)

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トップに立っても10歳からやっている基礎稽古は毎朝絶対に欠かさないオーレリ・デュポン。ルーティンを変えないってすごく大事。ダンサーならではの身体との向き合い方をクラピッシュは注視。コンテンポラリー転向>>続きを読む

スパニッシュ・アパートメント(2002年製作の映画)

5.0

初見。少しも色褪せず、愉快な青春ドラマ。こんな体験したら株屋なんかにはなれないよな。

主人公は地元に彼女(オドレイ・トトゥ)を残してきた身でありながら色んな女の子に恋をするんだけど、ロマン・デュリス
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PROSPECT プロスペクト(2018年製作の映画)

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ソフィー・サッチャー祭りくらいのつもりで見始めたらラスアス前のペドロ・パスカルが擬似親子SF旅やってて、ソフィーは『イエロージャケッツ』前に大森林サバイバルやってた。超低予算SFだが、ペドロが出てきて>>続きを読む

ブギーマン(2023年製作の映画)

5.0

ある不幸で傷を負った家族が暗闇に潜む何かと対峙する…というスティーヴン・キング印の正統派ホラー。当初、北米では配信スルーの予定だったが、仕上がりの良さから劇場公開され、スマッシュヒットを記録。プロデュ>>続きを読む

ソウルに帰る(2022年製作の映画)

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主人公を引き寄せ、捕らえ続けるのは韓国に生まれたというアイデンティティだが、映画の磁場になるのはソウルの街と大胆不敵な主演パク・ジミン。物語が始まる!とワクワクさせてくれるオープニングから、鮮やかなタ>>続きを読む

ダンサー イン Paris(2022年製作の映画)

5.0

試写。未だなお若々しいセドリック・クラピッシュ!ケガによって挫折したバレリーナを主人公に、20代後半ならではの人生の変革を瑞々しく描く。それでいて62歳現在の視点にも鮮やかに反転するのだから、思わず泣>>続きを読む

クライムズ・オブ・ザ・フューチャー(2022年製作の映画)

5.0

キモチ良すぎ!!!
痛みを見失い、誰もが自分を切り売りできるようになった時代。クローネンバーグはしきりに咳痰を繰り返す分身モーテンセンに自らの老いを反映させ、なおも衰えた肉体からシグネチャー入りの真な
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マイ・エレメント(2023年製作の映画)

5.0

大作ばかりになってしまったサマーシーズンだが、ひと昔前は必ず恋愛映画のヒット作もあった。『マイ・エレメント』は火と水ほどに性格の違う男女を主人公に、アメリカ映画伝統の人種間カルチャーギャップを折り込ん>>続きを読む

エリザベート 1878(2022年製作の映画)

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試写で見るもよくわからず、自宅で録画してあった1996年宝塚初演版『エリザベート愛と死の輪舞』を見て理解が深まった。日本の配給は上映館の立地と邦題(原題はCorsage)からメインとなる客層の予備知識>>続きを読む

ハート・オブ・ストーン(2023年製作の映画)

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大金をかけたNetflix夏の目玉作品のはずだが、いつものB級の域を出ていない。同じスカイダンスの製作ながら、MIシリーズの下手なモノマネに終始し、逆説的にトムの凄さと『デッドレコニング』の面白さを証>>続きを読む

バービー(2023年製作の映画)

5.0

タイトルを『ケン』にしてもいいくらいケンが重要なキャラクター。終幕あまりにも哀れで思わずウルッと来ちゃうと…あれ、そもそも現実世界では逆の構造か!と色んな事がひっくり返って目の覚める想い。人形にハート>>続きを読む

ふたりのマエストロ(2022年製作の映画)

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試写で。このレベルのヒューマンドラマ映画(88分という尺だけは素晴らしい)で本国公開の翌年には日本で劇場公開されるのだから、まだフランス映画は機能していると思う。ハリウッド映画は傑作でも大ヒット作でも>>続きを読む

インスペクション ここで生きる(2022年製作の映画)

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力強い私映画。ゲイであることから実の母親に捨てられた主人公が、海兵隊に志願する。所謂“新兵モノ”だが、過酷な訓練を耐え抜いても「(肉親として)愛しているけど、受け入れられない」という悲痛な現実からは救>>続きを読む

エグゼクティブ・デシジョン(1996年製作の映画)

5.0

『ハイジャック』を見ていたら急に見返したくなって20年ぶりくらいに再見。今見てもすごく面白い。昔は134分でちゃんと娯楽作がまとまっていた。監督のスチュアート・ベアードは編集者として近年もダニエル・ク>>続きを読む

ビーニー・バブル(2023年製作の映画)

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ty社製ビーニー人形が高額転売された90年代“ビーニーバブル”を描く。前半は同時期を舞台にした『テトリス』『AIR』のようなビジネス秘話としての面白さがあるものの、男女関係に収束することで先行作ほどの>>続きを読む

ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023年製作の映画)

5.0

アクションシークエンスが先で脚本は後という製作スタイルはご存知の通り。これまで以上の突貫ぶりで、ドラマパートは明らかにシーンやカットが繋がっていない箇所があり、登場人物が霊的な何かについて説明台詞を繰>>続きを読む

ボイリング・ポイント/沸騰(2021年製作の映画)

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『The Bear』からの流れで見た。ディナータイムを90分ワンショットで撮影したレストラン映画。ボストンの食堂に比べるとキャパも大きければ単価も高くて、やけにノンビリしてるなぁと感じてしまった。沸点>>続きを読む

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

5.0

『君たちはどう生きるか』の“君”に少なくとも僕のような老人は入ってない。『アクロス・ザ・スパイダーバース』もそう。大人は終わりを嘆いてもしょうがない。子供が小さければ映画館へ連れて行くのだ。1人で行け>>続きを読む

To Leslie トゥ・レスリー(2022年製作の映画)

5.0

さながらソウルに電話ができなかったウェンディが主役の“アルバカーキの片隅で”。『ベター・コール・ソウル』マイケル・モリスの引き算と行間の演出。人間のどうしようもない愚かさと、口には出さない優しさの機微>>続きを読む

戦慄の絆(1988年製作の映画)

5.0

TVシリーズ版に合わせて再見。ぜんぜん覚えてなかった。わかり易く演じ分けているレイチェル・ワイズに対し、ジェレミー・アイアンズの双子は繊細なグラデーションで、観客は次第に見分けが付かなくなるがそれでも>>続きを読む

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

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試写。『グランド・ブダペスト・ホテル』以後、自分が間に合わなかった時代への果てなき想いを綴り続けているアンダーソンが今度は1955年、核実験場とNYの演劇を借景。映画もアメリカもここが最後の旧き良き時>>続きを読む

インディ・ジョーンズと運命のダイヤル(2023年製作の映画)

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いったいどうしてこんな事になった。
80年代全盛期のハリソン・フォードが老人の声で話す冒頭に「嫌な予感がするぜ」と(←映画が違う)。モロッコを過ぎる頃には映画はほとんど駆動すらしておらず、マンゴールド
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ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)

5.0

10代の時に見たら人生が狂っちゃう映画。カニバリズムは青春の孤独の見立てであり、『WE ARE WHO WE ARE』同様、若者に向けられている。若いうちに食べちゃいたいくらい好きな人と出会って、出来>>続きを読む

ラン・ラビット・ラン(2023年製作の映画)

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継承争いに負けてオーストラリアに引き籠もったシヴが、両親と姉妹の呪縛に苦しめられるホラー映画(←ちょっと違う)。ここでも兄妹ゆえに起こる確執がリアルで、哀しい怪談でもある。『サクセッション』組はみんな>>続きを読む

ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り(2023年製作の映画)

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しばらく見ない間に(『ワイルド・スピード』は2で止まっている)ミシェル・ロドリゲスが貫禄たっぷりで、『ガールファイト』から見てきた身としては随分立派なスターになったなぁと感慨深かった。ソフィア・リリス>>続きを読む

タイラー・レイク 命の奪還2(2022年製作の映画)

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今回もあの手この手のアクションが盛り沢山。前半約20分間の疑似ワンカットによるシークエンスは力が入っているものの、只アクロバットなだけではTVゲームっぽさが増すばかりで、それほど興奮しなかった。ヘムズ>>続きを読む

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023年製作の映画)

5.0

『スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース』と『ザ・フラッシュ』を続けて見るとほとんど同じ話である事にビックリ。MCUは未だセコセコとマルチバースの拡大を続けているが、DCもスパイダーバースもヒ>>続きを読む

ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)

5.0

愉快痛快!予想以上にギャグ盛り沢山、1人でボケもツッコミもやる二馬力エズラ・ミラーの奮闘が映画のチャームを担っている。マルチバース設定にあくせくしているMCUを尻目に、ワーナー×DCの歴史を総括し、ジ>>続きを読む

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

5.0

成熟した人生洞察。11歳の夏休みの断片的な記憶を通じて、若くして子を持った父親の深い愛情、底知れない孤独と耐え難い無力感を浮かび上がらせていく。背中で全てを見せたポール・メスカルの繊細をよくぞハリウッ>>続きを読む