TakayukiMonjiさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

黒猫(1934年製作の映画)

3.6

34年作の古典スリラー。
不吉な象徴としての黒猫。夫婦が電車で居合わせた怪しい心理学者と事故にまきこまれ、これまた怪しすぎる洋館に迷い込んでいく展開。洋館に住む男がフランケンシュタインと見間違えるよう
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カラスの飼育(1975年製作の映画)

3.9

75年のスペイン映画。
「ミツバチのささやき」のアナ・トレントが主演。純粋無垢な表情の奥に危うさを感じさせる主人公アナ役を好演。「カラスの飼育」とは、カラスを育てても目をくり抜かれないように気をつけろ
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アアルト(2020年製作の映画)

4.0

美術手帖プレミアム会員限定の試写会へ一般応募して参加。コンパクトにアットホームな試写会でよかった。試写会後に、監督のトークセッション!

タイトルは、アルヴァ•アアルトではなく、「AALTO」。監督曰
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タブウ(1931年製作の映画)

3.7

F•W•ムルナウの遺作となった、31年のサイレント映画。
南太平洋のポリネシア島を舞台に撮影され、現地の島の人たちがそのまま出演しており、ドキュメンタリーの視点も持ち合わせた作品。似ている作品に、「黒
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アトランティック・シティ(1980年製作の映画)

3.5

ルイ•マルのアメリカ作品。
若きスーザン•サランドンが主演。
フレンチノワールっぽさもありつつ、クライムあり、ラブストーリーありの渋めのアメリカ映画って感じ。
主演のバート•ランカスターの哀愁はよかっ
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春画先生(2023年製作の映画)

3.5

試写会参加。
春画の世界に魅せられていく女性と春画研究家の男(春画先生)の偏愛コメディ。
春画の名画が無修正で登場し、春画の深みを探求していくような美術的なアプローチの映画を想像していたけれど、想像と
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火の馬(1964年製作の映画)

3.9

初パラジャーノフ。
「ざくろの色」が有名なのでそちらもそのうち鑑賞する。

イワンとマリチカの悲恋の物語。
民族音楽と不思議な映像が相まって、全体的にとても神々しい空気感。色々な要素が混ざり合いすぎて
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ジャン=リュック・ゴダール 反逆の映画作家(シネアスト)(2022年製作の映画)

3.9

ゴダールドキュメンタリー鑑賞。
ゴダールマラソン中だったので、ちょうどほとんどの作品を鑑賞していたこともあり、おさらいとしても、ゴダール入門としてはわかりやすくて面白いドキュメンタリーだったと思う。
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新ドイツ零年(1991年製作の映画)

3.9

ゴダールマラソン。91年作。

ベルリンの壁崩壊後、新ドイツ零年を描く。
最も印象的な言葉、”人生における龍(ドラゴン)について”と語られるドラゴンのこと。
ドイツの歴史とこれから。社会主義の崩壊を象
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ダゲール街の人々(1976年製作の映画)

3.8

またしてもやられた。U-NEXT配信終了と聞いて急いで鑑賞したが、配信終了日がいつのまにか延長してた。。まあ配信終了詐欺は全然ありがたいんだけど。

アニエス・ヴァルダのドキュメンタリー。
ゲダール通
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ヌーヴェルヴァーグ(1990年製作の映画)

4.0

ゴダールマラソン。
アラン•ドロンがゴダール作品に初出演。
90年代ゴダール突入。

人生の意味を問うような質問と、”男と女”の噛み合わないくだりなど、従来からゴダールで取り上げられてきた台詞が続くが
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ゴダールのリア王(1987年製作の映画)

3.8

ゴダールマラソン。
「リア王」をゴダール流に解釈した、純然たるゴダール作品。思っていたよりも「リア王」の原型をとどめており、少しだけ物語を感じられる作品だった。(そんなことないかも)
わかりやすい方の
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シアター・キャンプ(2023年製作の映画)

3.5

サーチライトピクチャーズ試写会。
モキュメンタリースタイルのコメディ。前情報なしに鑑賞。
感動ミュージカル系を想像してたけど、ひと夏のキャンプ(合宿)を経て演劇公演をするサマーキャンプを題材にした、コ
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右側に気をつけろ(1987年製作の映画)

3.7

ゴダールマラソン。87年作。
相変わらず全然意味わからなくて、映像と音と詩を混ぜ合わせながら楽しむような作品。ゴダール本人が出演していて、映画のフィルムを届ける話ではある。このゴダール扮する白痴伯爵の
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落穂拾い(2000年製作の映画)

3.8

アニエス・ヴァルダのドキュメンタリー。
冒頭、ミレーの「落穂拾い」を取り上げ、そこから現代の”落穂拾い”ともいうべきものを拾う人たちを映した作品。いたってパーソナルな話から、社会問題に通じるようなエピ
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ゴダールの探偵(1985年製作の映画)

3.8

ゴダールマラソン。85年作。
“detective”というタイトルなので、「ロンググッバイ」みたいな作品を期待したら全然違った。さすがゴダール。
何を張り込んでるかわからない探偵らしき人たちは出てくる
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カルメンという名の女(1983年製作の映画)

3.5

ゴダールマラソン。
前作に引き続き、物語の体裁を取ってないのだが、映像と音と台詞の混ざり方、美しさは際立っていた。波の映像とアンダーヘアとオーケストラの演奏が印象的。
本人も登場してやりたい放題やって
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パッション(1982年製作の映画)

3.2

ゴダールマラソン。
80年代ゴダールは難解さの極み。
前作「勝手に逃げろ/人生」から特に強調された映像と音楽の対等な融合(ソニマージュ)が推し進められている。「ゴダール的方法」(平松圭氏著)によると、
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ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)

3.5

韓国出張のフライト内で、ちょっと話題になってたこちらを鑑賞。
ラッセル・クロウがエクソシストに扮して、悪魔と対決する悪魔大戦!神父のキャラがたっててよかった。悪魔の秘密など、設定も楽しめた。
「F○c
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福田村事件(2023年製作の映画)

4.1

森達也が劇作品を撮るということで、めちゃくちゃ注目していた作品。
人の善と悪の視点、加害者と被害者の視点、集団心理によって誰しもがそのどちらにもなり得る危うさを見事に描いた傑作だった。
流言飛語が広ま
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ポーラX(1999年製作の映画)

3.9

レオス・カラックス99年作。縁遠かったレオス・カラックスは2本目の鑑賞。
「ポンヌフの恋人」も充分ファンタジー要素はあったけど、ミステリアスな空気感と後半のロックオペラの雰囲気で、一気に退廃的な世界観
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ラルジャン(1983年製作の映画)

4.0

ブレッソン監督の遺作。
ラルジャン=お金。
少年達が軽い気持ちで使った偽札に巻き込まれて、人生が暗転していく男の話。
ブレッソンは「スリ」と「抵抗」の初期しか観てないけど、基本的な作風は全然ブレてない
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勝手に逃げろ/人生(1980年製作の映画)

3.8

ゴダールマラソン。
ゴダールが「ウィークエンド」のあとの政治時期を通過して、久々に商業映画に帰還した、新たなフェーズに入ったであろう作品。「ジェーンからの手紙」から3作ほど実験映画を挟んでいるが、入手
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アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

3.8

紛れもなくウェス・アンダーソン映画のそれだったけど、展開はちょっとだけ今までと違う感じ。まあ、何やっても好きだからいいけど。

相変わらず実写でもストップモーションアニメでも全くブレないクオリティとフ
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欲望の法則(1987年製作の映画)

3.6

アルモドバル87年作。
男と男と男の三角関係を描くミステリー。さらりと明かされるかなり特大の秘密で、マジかと驚く。
アルモドバルの過去作を見れば見るほど、「オールアバウトマイマザー」以降の完成度の高さ
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アル中女の肖像(1979年製作の映画)

4.2

コロナが明けたせいなのか、凄まじい勢いで色々な映像作家の特集が組まれてる。その存在自体も知らなかった、オッティンガー監督特集にて鑑賞。
冒頭のスタッフのポートレートが流れるオープニングからセンス抜群。
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トルテュ島の遭難者たち 4Kレストア(1976年製作の映画)

3.7

ジャック・ロジエ特集。「アデューフィリピーヌ」を観たかったけど、なかなかタイミング合わず、こちらから。

ギヨーム・ブラックが影響を受けまくってるのはわかったんだけど、あまりにも破天荒で無計画な旅の展
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処刑の丘(1976年製作の映画)

4.2

シネマヴェーラの「日常と戦争そして旅 ウクライナ・ジョージア・ソ連映画」特集にて鑑賞。

傑作。76年作だが全編モノクロの戦争映画。
ナチス・ドイツに捕えられたロシアのパルチザン兵士二人の葛藤を描く、
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ひかり(1987年製作の映画)

3.7

リヴェットのファンタジー映画が続いてたけど、たまたま鑑賞したこちらもアフリカンニューシネマと称される、アフリカンファンタジーだった。
聖なる力を持った主人公がその力を使わせまいとして、息子を殺そうとす
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ノロワ(1976年製作の映画)

3.2

「デュエル」に次ぐ、”火の娘”4部作の2作目。4部作は本作をもって終了。
対決する2人の女性を描く設定は同様なのだが、「デュエル」の摩訶不思議ファンタジーを通り越して、奇想天外が過ぎる前衛ファンタジー
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デュエル(1976年製作の映画)

4.0

リヴェット76年作
前情報なしで観たけど、こちらも「セリーヌとジュリー〜」と同様に、摩訶不思議ファンタジーだった。
冒頭からファンタジーの気持ちになってなかったけど、独特の”間”でミステリアスに進んで
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ライブ・フレッシュ(1997年製作の映画)

3.8

アルモドバル97年作。見逃し作。
なかなかのアルモドバル節。多数の人生が交錯して、絡み合う独特の愛憎劇。
アルモドバル映画はストーキングする人多すぎ笑。粘着質な感じなのに、それが“愛”に置き変わってい
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ブルースカイ(1994年製作の映画)

3.5

95年(67回)アカデミー賞主演女優賞をジェシカ・ラングが受賞。

この年はとにかく凄かった。まだNHK BSでアカデミー賞が放送されてて、この時の映像を鮮明に覚えている。
作品賞と主演男優賞は『フォ
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ジェーンへの手紙(1972年製作の映画)

3.6

ゴダールマラソン。
そろそろ政治映画期を抜け出せそう。

前作「万事快調」に主演していたジェーン・フォンダへ宛てたメッセージの体裁をとっている。
ジェーン・フォンダがベトナムを訪問した際の写真を題材に
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エリザベート 1878(2022年製作の映画)

3.5

試写会鑑賞。
オーストリア本国では知らない人はいないであろうエリザベート皇后(通称シシィ)だが、自分は全く持って彼女のことを知らない状態で鑑賞。あとから確認したけど、国の象徴としてマスコットキャラとし
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マリア・ブラウンの結婚(1978年製作の映画)

4.1

ファスビンター特集で、傑作の呼び声高いこちらを初鑑賞。今回の特集にあった「不安は魂を食いつくす」とはまた違ったテイストの強烈なメロドラマ。
全編通して、カメラワークがかっこいい。”夫の帰りを待つ妻”で
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