どど丼さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

世界の人々:ふたりのおばあちゃん(2023年製作の映画)

4.0

今年のオスカー短編ドキュメンタリー映画賞ノミネート作品。台湾系アメリカ人監督の父方&母方のおばあちゃん二人が、アメリカで仲良く暮らす様子を切り取った映像。一見するとフィルムで撮ったお洒落なホームビデオ>>続きを読む

美しき仕事 4Kレストア版(1999年製作の映画)

3.6

ジブチの広い景色をバックに、重低音の効いた劇伴と統一的な訓練のシーンが生み出すシュールなシークエンスの数々から、人間の深淵に眠る激しい情動がジュクジュクと滲み出ていく様が恐ろしく、身悶えするほど美しい>>続きを読む

けもの(仮題)(2023年製作の映画)

3.9

人間の感情抑制が推進される近未来で、主人公が自身のDNAを"浄化"するために過去にダイブする…というSFサスペンス。「リベリオン」みたいな世界で「エクスマキナ」系のアートSFかな〜と思ってたら、想像の>>続きを読む

FLY!/フライ!(2023年製作の映画)

4.0

「鳥の渡り」を題材に、初の渡りに挑戦するカモたち家族に"新しい事に挑戦する"人間の姿を投影するという、イルミネーションとしては珍しく骨のあるストーリー、面白かった!

色々な鳥たちとの出会いと別れを繰
>>続きを読む

ミニオンの月世界(2024年製作の映画)

3.5

「怪盗グルーの月泥棒」で月に取り残されたベクターが地球に戻ろうとしながらミニオンたちに邪魔されまくる短編。久しぶりにミニオンを観た気がする。

かわちくてダルくてかわちい🍌🍌🍌 宇宙規模の壮大な舞台に
>>続きを読む

SAINT LAURENT/サンローラン(2014年製作の映画)

3.0

伝記映画でここまでアート性重視なのも中々の考えものだが、これほど役者も構図もセットも劇伴もイカしてると2時間半全然観れちゃうな。少なくとも映像面では、YSLが全面協力しているピエール・レネ版より良かっ>>続きを読む

ポゼッサー(2020年製作の映画)

4.3

"ポゼッサー"としての彼女の仕事を追体験する前半部から、トンデモ脳内精神物理バトルに至る後半部まで、どこを取っても未体験な珍味スリラーで堪らん美味さ。パパクローネンバーグ譲りの映像美も去ることながら、>>続きを読む

アーティスト(2011年製作の映画)

4.0

映画愛に溢れた21世紀のサイレント映画(劇伴付き)でとても和んだ。お犬様よ。「バビロン」のせいでこのロマンスの裏側が勝手に脳内で悪い方向に補完されるのチャゼルさんよ???(間違っては無い)

英国王のスピーチ(2010年製作の映画)

3.4

本作でオスカーを授賞した脚本家デヴィッド・サイドラーが今月16日に亡くなっていたそうで、奇しくもこのタイミングでの鑑賞に。伝記映画として真っ直ぐな作品で、脚本家自身も同様に克服経験のある吃音の苦悩がよ>>続きを読む

イツキトミワ(2024年製作の映画)

3.4

福士蒼汰監督作。刹那的でプラトニックな恋愛の顛末。デビュー以来ずっとイケメンでキラキラしたイメージの福士君がどんな作品を撮るんだろうと気になっていたけど、彼の頭の中でこんな世界が考えられていたんだ…と>>続きを読む

せん(2024年製作の映画)

4.5

森崎ウィンの監督作。何も変わらない日常風景を、中尾ミエがミュージカルに乗せながら表現する……映画かと思いきや、終盤でグッとその深みに気づく。特にタイトル「せん」が意味する言葉の一つが思い浮かんだ瞬間が>>続きを読む

ダラス・バイヤーズクラブ(2013年製作の映画)

4.3

伝記作品でありながら現代社会への問題提起でもありつつ、それでいて娯楽性も高いという映画として余りある傑作だ。長らく未見だったが、コロナ禍の特効薬やワクチン、アメリカのオピオイド危機等、皮肉にも今ですら>>続きを読む

12モンキーズ(1995年製作の映画)

4.0

タイムトラベル物としての娯楽性とテリー・ギリアム特有のアート性が融合した、これぞな映画。

「未来世紀ブラジル」のダクトだらけの近未来世界や、「ゼロの未来」の現代アート的な前衛性に比べるとカメラワーク
>>続きを読む

リベリオン(2002年製作の映画)

4.5

「1984」を8割方パク…オマージュしたSF世界観だが、それゆえ社会派エッセンスがあるストーリーや洗練された美術の数々、そして一度見たら忘れないガンカタアクション……!! これまで観たSF映画でも5本>>続きを読む

12日の殺人(2022年製作の映画)

3.5

超傑作ミステリー映画「悪なき殺人」のドミニク・モル監督の最新作で、昨年のセザール賞受賞作品。ちゃっかり公開されていたし2000円でオンライン配信もされていたので速攻観れた、小中規模映画のこのマーケ手法>>続きを読む

オーメン(1976年製作の映画)

4.2

これがオーメンか。キリスト教の恐怖面に一直線なシナリオに、暗に政治批判的な要素も込められていて面白い……! 血の気が多い上にホラー演出もガンギマっていてずっと怖い、恐怖をこれでもかと掻き立てるカメラワ>>続きを読む

インソムニア(2002年製作の映画)

4.3

今のノーラン作品ほど映画の中の現象が複雑なレイヤーに被われてはおらず、主人公の善悪観念や正義感・世間体といった人間的な内面性の複雑さとその正当性を問い掛ける点に注視していて、実に面白い(ガリレオ並感)>>続きを読む

ゴーストバスターズ/アフターライフ(2021年製作の映画)

3.4

オリジナル2本の直接の続編とあってエモいプロットだし、何せ前作監督の息子が撮ってるのは流石に激アツ。肝心の映画本編は過去作に比べるとかなり地味な印象、VFX主体に変わり映像も暗めで上品過ぎる。ウォルマ>>続きを読む

撮影/鏑木真一(2024年製作の映画)

3.8

これ仲里依紗が撮ったんか……!? 低予算ドラマのような導入から衝撃的な本格スリラーに変貌する展開、しっかり怖い!

ちょいちょい闇を見せてくる仲里依紗の内面性が巧く出ている作品だと思うし、「週刊誌」が
>>続きを読む

ハルモニア(2024年製作の映画)

3.8

千葉雄大が紡ぐ何気ない人生の尊い1ページ、そこに特別な物は何もなくて、けれども大切な物は沢山あって。今泉力哉や根本宗子の色味を感じて、でも世界観はしっかり千葉雄大。前作「あんた」も良かったし、いつか長>>続きを読む

恋わずらいのエリー(2024年製作の映画)

3.6

松竹恒例ティーンラブコメ邦画枠、今回も笑いとキュンの波状攻撃で見事にハマった……!

まず宮世琉弥の顔面が天才なのだが、そんなビジュアル目当ての観客を嘲笑うかのように、恋愛関係の成立要因の中心が外見か
>>続きを読む

ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)

4.1

ネタバレ厳禁という情報のみ頭の中に引っ提げて向かったら、期待通りの痛烈サスペンスだった!

サイコパスな役柄が似合いすぎる岡田将生と、若くして最早キャリアを掛けた(⁉︎)演技を見せつける羽村仁成の手に
>>続きを読む

π(1997年製作の映画)

4.7

A24による4Kリマスター版が今日から日本公開という事だが、劇場で観れる自信が無くて自宅鑑賞。圧倒された、、

理論と実証のギャップが滲み出す底知れぬ好奇心の沼、そして絶対的な真理を求める行為が神の意
>>続きを読む

映画 マイホームヒーロー(2024年製作の映画)

3.4

前半はドラマとして地上波&サブスクで展開、後半は映画として劇場でロードショーする国内映像コンテンツの展開手法には良くも悪くも見慣れたが、この手の商業性&娯楽性全振りの大衆映画もあって良いよな〜と思う。>>続きを読む

マッドマックス/サンダードーム(1985年製作の映画)

3.5

シリーズ3作で予算が変わった分、ここまで作風も変わるって相当面白い。途中から「デューン」になったと思いきや、やっぱり「マッドマックス」だった。子供も楽しめそうなテーマパーク映画と化してはいるが、「支配>>続きを読む

マッドマックス2(1981年製作の映画)

4.3

ガソリンが欲しかっただけなのに

1作目から格段に予算が上がった事でとんでもねえ傑作が爆誕してしまった事が分かる至高の一本だった、90分でこの熱量はエグい、そりゃ「北斗の拳」も生まれる、最高……! な
>>続きを読む

マッドマックス(1979年製作の映画)

3.8

「怒りのデスロード」は何回も観てるのに、過去シリーズは初見。よくこんな公道貸し切って撮るな……。オリジナルは現代寄り(というかほぼ現代)で良くも悪くも大仰だが、低予算映画でここまで出来ちゃうと「怒りの>>続きを読む

Mr.&Mrs. スミス(2005年製作の映画)

3.8

楽しみにしていたアカデミー賞授賞式が大炎上して気落ちしている中接種、最高すぎ。こういうので良いんだよ。炎上するのは、映画の中の車と建物と愛だけで良い。

ピアノ・レッスン(1993年製作の映画)

4.4

自由を奪われた女性が限られた条件下での自由を求めるフェミニズム映画でありながら、彼女の娘や周囲の男性達にも同情してしまうほど、どの人物も行き場が無い中で解放を求めている。これほど巧く人間の解放とその限>>続きを読む

ラスト・リペア・ショップ(2023年製作の映画)

3.7

第96回アカデミー短編ドキュメンタリー映画賞受賞ということで鑑賞🎊 ロサンゼルスの公立学校の生徒向けに楽器を無償修理する人々と、楽器を使う子供たちを追った短編ドキュメンタリー。

社会に揉まれながら逆
>>続きを読む

虎を仕留めるために(2022年製作の映画)

4.4

本日授賞式、第96回アカデミー長編ドキュメンタリー映画賞ノミネート作品。インドのある村で集団性暴力を受けた13歳の娘を守るため、裁判に挑む父親とその支援団体に密着したNetflixドキュメンタリー映画>>続きを読む

ヴァル・キルマー/映画に⼈⽣を捧げた男(2021年製作の映画)

3.7

A24製ドキュメンタリー。一昨年「トップガン マーヴェリック」でアイスマンを再演して話題になったヴァル・キルマーのこれまでと現在地。咽頭癌を患ってからの苦労を描いたものと思っていたら、邦題通り氏の俳優>>続きを読む

日本沈没(1973年製作の映画)

4.0

パニック特撮としても社会派作品としても完成度が高くて面白かった、「シン・ゴジラ」の原型なのでは。主人公の立ち位置を公共と民間の狭間に置いたのが上手い。絶妙にリアルで怖いのは、何と言っても特撮レベルの高>>続きを読む

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.7

没入……! 壮大な前振りとも言えよう前作の凋落展開から一転し、アトレイデス陣営の残党とフレメンの連帯、そして再起を描く後半戦。とにかくIMAX前提の大迫力の映像に圧倒される……!

砂漠映えするシッ
>>続きを読む

博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか(1964年製作の映画)

4.3

あと1時間後ぐらいにNHK BSで放送らしいので皆様ぜひ。。

-----
冷戦期の混乱と最悪のシナリオがたった90分で纏まっている上に、それを茶化したブラックコメディになってるの、控えめに言ってヤバ
>>続きを読む

流転の地球/さまよえる地球(2019年製作の映画)

3.5

「三体」作者の短編小説が原作&今月続編が劇場公開という事で鑑賞。

話は「妖星ゴラス」から「アルマゲドン」、「2001年宇宙の旅」まで、往年のSF映画の諸要素をヒューマンドラマ込みで闇鍋化したような荒
>>続きを読む