9642さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

春原さんのうた(2021年製作の映画)

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文芸作品を読んでいるような。あるいは、誰かの日常を垣間見ているような。徹底的に非説明的で、物語性は必要最低限。台詞も最少限。それよりも生活を映画にすることに細心の注意が払われている、そんな一本でした。>>続きを読む

機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島(2022年製作の映画)

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『ポケ戦』に連なる大傑作の誕生、と言ってしまって過言では無いと思う。やっぱりガンダムは戦争映画で反戦映画であると、改めて実感。そしてMS戦闘が涙が出るほど格好良いのです、動く動く、ほんと怖いくらいに。>>続きを読む

犬王(2021年製作の映画)

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期待以上。音楽も良かったけど、犬王のアニメーション(特に前半)が良かった。異形の躍動感というか、生命力というか。アヴちゃんも森山未來も、ベストキャスティングだったと思う。そして、足利の二引き両が憎い。>>続きを読む

浜の朝日の嘘つきどもと(2021年製作の映画)

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大久保佳代子って、こんなに良い役者だったのか! それを知れただけでも満足。あと、柳家喬太郎も普通に良かったなあ。派手ではまったく無いけれど、記憶の隅に残り続ける気がする。そして、映画館に行きたくなる。>>続きを読む

さがす(2022年製作の映画)

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衝撃。こういう作品が海外へ積極的に輸出されて欲しい。日本映画やるやん、最高やん! となります。小説で読んでも極上の物語であるものを、最初から映像で見られる贅沢さもあり。そして森田望智の「厭」演は至高。>>続きを読む

すばらしき世界(2021年製作の映画)

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良いことと、悪いことと。禍福は両面でのしかかってくる。社会から滑り落ちてしまうことは、そんなに特別なことだとは思わないし思えない。キムラ緑子の「シャバの空は広いと言いますよ」が、ずっと胸に残っている。>>続きを読む

こんにちは、私のお母さん(2021年製作の映画)

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ギャン泣き、マスクべしゃべしゃ。母と娘の愛情を描くベタな作劇ではあると思う、それでも泣いた。人生は悲劇だけでもなければ、喜劇だけでもない。原題も含めて、母親にフルネームで呼びかけるシーンは印象に残る。>>続きを読む

シチリアを征服したクマ王国の物語(2019年製作の映画)

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良かった……。物語の主筋は日本昔ばなしのようなシンプルさなれど、クマたちが生き生きいていて可愛くて。アニメーション表現の楽しさと豊かさを堪能できる作品。あと、どうしても『ぽんぽこ』を思い出してしまう。>>続きを読む

ノマドランド(2020年製作の映画)

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家も家族も定職も無くて可哀想な人達の物語……ではない。ノマドという生き方で、タフにしぶとく生きる人達のライフドラマで、なんだろう、すごく元気をもらえた気がする。人間はどうやったって、生きていけるのだ。>>続きを読む

ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)

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トランプ政権下で分断されたアメリカ(および世界)のカリカチュア。清々しいまでのクズがたくさん出てくるし、アメリカという国のどうしようもなさを、端的に克明に描いてもいる。おじさんディカプリオ、好きです。>>続きを読む

悪なき殺人(2019年製作の映画)

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邦題がミスリードでは。ごく自分勝手な人間たちによる、ピタゴラ装置的というかバタフライ効果的なサスペンスを楽しむ作品……だとは思うし、よくできてはいるのだけど。「上手いことやった!」が前面に出すぎかも。>>続きを読む

アメリカン・ユートピア(2020年製作の映画)

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「絶対に劇場で観た方が良い!」という声に押されて、トーキング・ヘッズのこともデイヴィッド・バーンのことも全く知らずに行ったけれど。ジャネール・モネイのプロテストソングのカバーは鳥肌が立ちました。圧巻。>>続きを読む

ラストナイト・イン・ソーホー(2021年製作の映画)

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思ってたのとちょい違った……。幽霊譚と郷愁譚と上京物語のバランスが上手くとれていない気が。60年代ロンドンの雰囲気はとても良かったし、主題としてやろうとしていることはわかるのだけど、それでも消化不良。>>続きを読む

日本で一番悪い奴ら(2016年製作の映画)

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綾野剛がひたすら……上手い。新米から成り上がり、悪徳警官になって落ちぶれるまで。30年にわたる男の半生を気持ち良く見事に演じ切っている。やっぱり綾野剛は良い意味で「荒れて」「崩れて」いるのが好きだな。>>続きを読む

秋立ちぬ(1960年製作の映画)

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ちょっとこう、秀男ちゃんが可哀想過ぎるというか、なんというか。救いがない。空が広く、道路は未舗装、ライダーは誰もヘルメットをかぶっていなくて、信号機もない1960年の東京・銀座は、まるで異世界のよう。>>続きを読む

浅草キッド(2021年製作の映画)

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「芸人だよ馬鹿野郎」の台詞が頭から離れない。劇中で千春が言うように「恥ずかしいぐらい青春」している映画であり、そしてその終わりを描く作品でもありました。みんな上手いんだけど、特に、洋ちゃん。最高だよ。>>続きを読む

そこのみにて光輝く(2013年製作の映画)

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すごくシンプルな筋立てだけど、そのぶん、主演の綾野剛・池脇千鶴・菅田将暉がたっぷりじっくり楽しめる良作です。ぬるくゆるく見えるかもしれないけれど、たしかにある、生活の地獄。それでも光輝くものはあって。>>続きを読む

みかんの丘(2013年製作の映画)

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戦場の農村、敵同士の負傷兵、殺人を許さない老人、奇妙な共同生活。とてもシンプルな作品だけど、その分、戦争の非道さが過飾なく表現されている。緊張と緩和の演出もみごと。老人・イヴォのように生きていけたら。>>続きを読む

仁義なき戦い 完結篇(1974年製作の映画)

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ひとまず完結編。前作も本作も、広能さんたちが前線に出てこないことの物足りなさはあるが、まあ仕方ないのかな。松方弘樹周りのシーンと、踏切前の襲撃シーンは良かったなあ。襲撃犯に、肩書が旅人という人がいた。>>続きを読む

仁義なき戦い 頂上作戦(1974年製作の映画)

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ここへきて一気に警察屋さんたちの登場。そして、いわゆるヤクザ映画感は、前作までと比べて増した気も。小林旭の武田がカッコ良すぎて。文太さんと並んで仁義なき世界の仁義を守る任侠です。山守と打本は死すべし。>>続きを読む

息もできない(2008年製作の映画)

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徹頭徹尾「痛み」を描いた映画だった。殴る痛み、言葉で傷つける痛み、惹かれ合う痛み、エトセトラ。サンフンとヨニの関係を、普通の男女恋愛では捉えたくない。何か別の、そうではない名前をつけたい気持ちになる。>>続きを読む

薬の神じゃない!(2018年製作の映画)

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「病気、薬」と対比させる演出なのか、印象的な食事シーンがとても多い。特に火鍋のところと蜜柑を巡るやりとりが好き。全体的な絵面は地味だけど、撮り方が丁寧なので美しい画の多い作品。眼鏡の王伝君を推したい。>>続きを読む

仁義なき戦い 代理戦争(1973年製作の映画)

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抗争劇にタテ構造が入ることで物語の複雑性が一気に増した、仁義三作目。既に一作目の文太さんが懐かしい……あの頃に戻りたい。若々しい渡瀬恒彦の好演は勿論良いのだが、一瞬だけ出てくる丹波哲郎の貫禄もすごい。>>続きを読む

孤狼の血(2018年製作の映画)

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『仁義』への限りないリスペクトとオマージュ。勿論それだけではなく、暴力描写はより陰惨に詳細に。そして銀次さん、ピエール瀧を激しく推したい。こういう真面目でチョイ抜けヤバい奴をやらせたときの輝きは至高。>>続きを読む

仁義なき戦い 広島死闘篇(1973年製作の映画)

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一作目とは打って変わって、ウエットというかニューシネマ的というか。暴力や流血を賛美するのではなく、きちんと陰惨に描くこと。そして極道たちをヒーローにしていないこと。それぞれとても丁寧で瞠目させられる。