KotaroKinoshitaさんの映画レビュー・感想・評価 - 37ページ目

悪の教典(2012年製作の映画)

4.5

やはり面白い。ショック描写と「これは所詮映画ですよ」の描写の配分が絶妙で、娯楽映画として成立するギリギリのラインの綱渡りをしている気もする。
7年前のレビューは下記。この時とは私の娯楽の倫理観がやはり
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アイアムアヒーロー(2015年製作の映画)

4.1

#Filmarks2016 第9位

日常の変異が街全体に感染していくさまを、主人公の疾走とともに一挙に見せつける序盤の演出が心地よい。先行する、主人公の日常描写にちゃんと時間を割いたのも偉い。
また
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SHARING(2014年製作の映画)

4.9

#Filmarks2016 第1位

震災やテロなどの強大で恐ろしい"現実"を前に、人はもう気楽な"夢"を見れなくなった。それでもなお"夢"の力を信じる篠崎誠は、"白昼夢"という形式を使い"現実"に対
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RED COW(2014年製作の映画)

3.9

予告が超カッコよくて20回くらい見てたため、全く新鮮な気持ちで見れなかったが、それでも目が離せない場面が連続。かといって傑作とは言いたくない(笑)
Vシネ的なノリのような、それだけではないような、珍品
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ボーダーライン(2015年製作の映画)

3.6

全編にわたって緊張を強いられるタイプの映画だが、絶妙に緊張の種類が変化していくので、疲れつつも惹かれていってしまう。よくできた映画である。
ただ、唯一にして最大の不満が、結局最後はベニチオ・デル・トロ
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バット・オンリー・ラブ(2015年製作の映画)

3.7

女の尻にも見えるガスタンクと赤く点滅する警報機がオーバーラップする、テンションの高い序盤。女の絶頂とともに辺り一面が雪原と化し、夫婦間の緊張が画面に満ちていく中盤。18年のブランクを感じさせない佐野演>>続きを読む

蜜のあわれ(2016年製作の映画)

4.4

#Filmarks2016 第8位

石井らしさが随所に散りばめられながらも、演出が確実にアップデートされている。"ツーショットでピン送り"が多用されているんだけど、フィルム撮影(だよね・・・?)がゆ
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リップヴァンウィンクルの花嫁(2016年製作の映画)

3.0

黒木華の賢明かつ懸命な役作りを、軽く圧倒してなぎ倒すCoccoのバケモノ芝居だけは観る価値がある。あとはなんか『紀子の食卓』とかで解決済みの話。
ラスト近くの問題のシークェンスは、AVはAVによってし
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キネマ純情(2016年製作の映画)

3.9

#Filmarks2016 第10位

満足した。今や井口昇だけが真のアイドル映画というものを熟知している。後半ずっと憑依状態が続く上埜すみれだけでご飯何杯かいける。素晴らしい。


演出0.8
人間
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マジカル・ガール(2014年製作の映画)

3.7

奇抜というよりむしろ堅実な作りで、この監督の次回作が楽しみになった。
俳優演出は総じて上手く、ヒロインが"悪魔の顔"を見せる瞬間などはゾクッとした。ただ、画面構成が単調で、シネスコを持て余しているのが
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ヘイトフル・エイト(2015年製作の映画)

4.5

7年前はトランプ政権が始まるタイミングだったこともあって複雑に見すぎていた模様だが、何も考えずに見れば実にシンプルな構図だった。サミュエル・Lの最も優れた仕事の一つ。


演出0.9
人物0.9
構成
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ストリート・オブ・ノー・リターン(1989年製作の映画)

4.1

ぶっちゃけ冒頭の"殴り合い無間地獄"がピークなのだが、セクシーさと亡霊感を兼ね備えたキース・キャラダインの類稀なるキャラクターにより、クライマックスまで一気に見れてしまう。
黒人暴動のテンションとか当
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鉄の子(2015年製作の映画)

3.7

主役の子役2人が素晴らしい。思春期前のこども独特の揺らぎを繊細に捉えていて、会話ややりとりも自然かつ豊かに演出されている。田畑智子ら大人の配役もよく、スギちゃんの芝居も絶妙。
ただ、前半は"離婚作戦"
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裸のキッス(1964年製作の映画)

3.8

スクリーンでは初鑑賞。改めて観ると、ストーリーの大枠自体は明快なのに話運びが無茶苦茶で、展開の唐突さそのものが暴力になっているのがサミュエル・フラーなのだなと。
今日的に見ると、会話劇が退屈だったりし
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スティーブ・ジョブズ(2015年製作の映画)

3.0

そもそもアーロン・ソーキンってそんなに巧いか?同一の2人の過去と現在の会話をテクニカルに並列させた結果、ただの間延びを生んでいるような脚本家を褒めていいのか。
何より、我らがダニー・ボイルがそんな子供
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マリー・アントワネット(2006年製作の映画)

4.0

今さら初見。製作費4000万ドル程度でこれだけ豪華絢爛な画面を作り、それでいて堂々と新世代の物語を語ってしまうのだから、やはりソフィア・コッポラは職人としても作家としても一流である。
民衆の姿を全くモ
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オデッセイ(2015年製作の映画)

3.5

"SF実録路線"という珍品ながら大きな違和感なく観れるのは、やはりリドリー・スコットの演出力を認めるべきなのだろう。半端なファンタジーに突入する『ゼロ・グラビティ』より好感が持てた。
もうちょい突き抜
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スナッチャーズ・フィーバー 喰われた町(2014年製作の映画)

4.0

大変面白かった。"ヤバい顔"の視覚的定義が斬新ではないが新鮮。意外と堅実なサスペンスの組み立て(記憶をめぐるやりとり)もあって侮れない。
古典からトンデモ系まで色々なホラーを研究しているようで、基本的
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(ハル)(1996年製作の映画)

3.5

今見ると意外と古びてないというか、1対1であればネット上のコミュニケーションってさほど変わっていないのかなと。
ただ、デジタル文字そのもの(あのフォント)が新鮮だった時代なので、文字だけの画面が本編の
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丑三つの村(1983年製作の映画)

5.0

「ここの女は寂しがり屋や」「男かて寂しいんや!」

真に優れた映画はいつの時代に上映されても、その時代の痛みに寄り添うことができる。その時代の怒りを体現することもできる。犬丸継男は永遠不滅である。
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真夜中の妖精(1973年製作の映画)

3.2

田中登と風間杜夫の組み合わせは本当に素晴らしいですね。小心者♂の純潔と狂気。
全体としてはチグハグでイメージの濃度も薄め。ラスト周辺が特に雑であったなぁ。


演出0.6
人間0.8
驚き0.6
社会
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蜜の味 テイスト オブ マネー(2012年製作の映画)

3.3

冗長だし、大して面白いこと起きないし、母親もあまりコワくない。ただ、キム・ガンウの面構えもしくは肉体がどこか魅力的で、最後まで見れてしまうという。
豪邸が本当に豪邸なのはさすが。フィリピン人の感じとか
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悪魔の秘め事(2013年製作の映画)

2.4

72分とコンパクトだなと思ったら、20分で済む話を延々伸ばしてるだけだった。
ロザムンド・パイクが優れた女優であることは伝わった。あと若きジェニロレがエロい。

青山シアターで鑑賞。


演出0.5
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アフリクテッド(2013年製作の映画)

4.0

現代的POVの一つの決定版ではないか。FPSゲームを参照しているものの、人を吹っ飛ばしたり超跳躍したりのアクションを、実写で体感できる"ヤッホー!感"は映画ならでは。警官が落ちていくとことなど、映像的>>続きを読む

鬼談百景(2015年製作の映画)

4.1

※20.5.17
再見。一部修正。

※16.2.2
10話中、半分満足、半分不満。一点、「続きをしよう」がずば抜けてたのでこの点数。


・中村義洋「追い越し」☆☆
一ネタ勝負にしてはショボい。監督
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世紀の光(2006年製作の映画)

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イメフォで気持ちよく寝ました。やっぱ、アピチャッポンは映画というよりインスタレーションなんですよねぇ・・・
例によってエンディング曲がよかったです。

※爆睡につきスコア判定不能

残穢 住んではいけない部屋(2016年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

音がコワい、写真がコワい、物語がコワい。では映画としてコワいのか?というと、やはり物足りなさが残る。「冒頭に登場する部屋が再登場、実はその奥にも部屋が・・・」というあたりは映画的だったけど、そこまで盛>>続きを読む

昼下りの情事 変身(1972年製作の映画)

3.8

ヒロインの青山美代子は悪くないのだが「変身」を演じるには表現力が不足。それに対し、女という性に戸惑う青年を風間杜夫が好演していて、ラストの急展開にも説得力を持たせた。
紙飛行機が部屋の中から飛び出して
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夜汽車の女(1972年製作の映画)

3.7

田中登はイメージに流れすぎる傾向があって、本作はその典型。「夜汽車があるわ」で見事に転換、夜汽車の場面になるのだけど、ここだけ単に浮いていて、物語上うまく機能していなかったりする。
他にも、イメージ先
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イヌミチ(2013年製作の映画)

3.9

こういう"関係性エロ"はある種SFに近いところがあり、どう<現実>にフィードバックしていくかがキモなので、そこをしっかり押さえた脚本(伊藤理絵)がよい。この内容をこのモードで映像化できてしまう万田邦敏>>続きを読む

バレンタインナイトメア(2015年製作の映画)

2.4

"人が死ぬ瞬間"や"死後の世界"にあまり興味がない監督って実は結構いて、日本だと是枝裕和とかその典型だと思ってるんですが、この監督もまた然り。それが悪いとも限らないけど、これホラーだからなぁ!
スプラ
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少女は異世界で戦った(2014年製作の映画)

4.0

信頼の金子修介印!アイドル映画としてもアクション映画としても一級品。アクション女優ではない加弥乃ですらアクションがキマってて妙に感激した。あと百合属性の清野菜名が尋常じゃなく可愛い。
殺風景な林、白黒
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グッドナイト・マミー(2014年製作の映画)

2.4

このレビューはネタバレを含みます

「お母さんが変だ!」と「子供が邪悪!」という家庭内ホラーの2大ベタを同時にやってみたというだけで、結局はベタな作品。もう少し、家の外に広がりを持たせたら違う印象になったのでは。拷問描写もあまりオリジナ>>続きを読む

天使の欲望(2013年製作の映画)

4.1

最近の美学校生の中でも群を抜いてアクションがうまい。人がピタッと止まる気持ちよさを分かっている。
俳優のキャスティングもよい。少女たちもよいが、男たちの"主張しないがキャラの違いの判別はつく"という加
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パラドクス(2014年製作の映画)

3.3

無限回廊"演出は色々な映画でやり尽くしてると思うけど、それ一本で勝負してしまうというのと、"ブツがたまりまくる"という設定を足してるのが新鮮。これ応用すれば色んな場所でできるし、ハリウッドリメイクは確>>続きを読む

ボクソール★ライドショー 恐怖の廃校脱出!(2016年製作の映画)

1.6

企画開発の時間がなかったんだろうけど、白石晃士作品としてはあまりに新味に欠ける。これなら「コワすぎ!」の花子さん回をそのまま4DX化すればよかったのではないか。
敵役の造形がいつになく雑だし、3人のヒ
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