映画男さんの映画レビュー・感想・評価

映画男

映画男

脱獄の掟(1948年製作の映画)

4.6

不意にこんな傑作と巡り合ってしまうから、U-NEXTやめられへん。撮影監督のジョン・アルトン。覚えました、追いかけます。

恋愛寫眞 Collage of Our Life(2003年製作の映画)

3.4

堤幸彦は徹底的に嫌いで、一刻も早く映画界から追放されて映画史から消滅しろと心の奥底から願っているけど、この映画は嫌いじゃない。広末涼子の妖艶なビッチ感と松田龍平のアンニュイなカッコよさが惜しげもなく発>>続きを読む

じゃ、また。(2023年製作の映画)

3.0

死んだはずの友人が現れるという設定は黒沢清かぶれなのか知らんがシネフィルのだるい側面が見えてうんざりしたが、後半で主人公(監督)の過去作品を見るくだりで不覚にも引き込まれた。死んだ(つまり未完)映像を>>続きを読む

アデュー・フィリピーヌ(1962年製作の映画)

3.5

なかなか観る機会がなく、期待値が爆上がりしていたゆえに実際に鑑賞して多少の落差があった事実は認めざるをえない。「はなればなれに」のような無条件に心踊らされしかも余韻の残る映画を心のどこかで期待していた>>続きを読む

バルドー/ゴダール 2Kレストア(1963年製作の映画)

3.0

貴重な資料である。欲を言えば映像が物足りない。事情はあったろうがカプリ島だけではなく全編通して掘り下げてくれたらもっとよかった。これじゃ、ゴダールもロジェのこともそんなにわからない。バルドーがすこぶる>>続きを読む

パパラッツィ 2Kレストア(1963年製作の映画)

3.5

どう転んでもパパラッチが悪い奴らである事実は拭えないがここまで親身にパパラッチ目線で描かれると、パパラッチも大変やな、かわいそうやな。とおもえてしまう、編集の恐ろしさ。

墓場なき野郎ども(1960年製作の映画)

3.5

逃避行こそ映画の醍醐味やとおもうくらいこの手の映画が好きなんやが、 まあ満足した。最初は、緊迫感のある場面がありながらも真にしびれることもなく、おっ?そこまでの映画じゃないのかもとおもったりもしたのだ>>続きを読む

インフィニティ・プール(2023年製作の映画)

3.0

おもろかったけども、なんか惜しい。語り口が違うった気がする。そもそも(主人公は金髪の男で良しとして)ミア・ゴス目線で描かれるべきだったんじゃないか。まず嫁のヒモになってるスランプのイケメン作家にそこま>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.0

偏見があるのは承知で皮肉混ぜて言わせてもらうならそもそもノーランという監督は一貫して演出がダメというか出来ない人でセリフに深みを持たせるとか動きながらの芝居させるとかはほとんど感心させられない。たとえ>>続きを読む

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

4.0

おれは好き。序盤のこの世の終わりみたいなカオスの街中やアパートでの怪奇がたまらんくらい好きやった。全身刺青上裸スキンヘッド男が炊き出しのスープ受け取って、「熱い!」って投げ捨てるのとか、風呂の上に張り>>続きを読む

キラー・ナマケモノ(2023年製作の映画)

3.5

ぜんぜん好き。SNS闇時代ならではの、ゆるホラー映画。夜中映画館でボーッと観るのにちょうどいい。もっとこういう、チープなアメリカ映画配給してほしい。

恐怖の背景(1943年製作の映画)

3.5

多くの方が感想に挙げているが、やはり展開の速さが尋常じゃない。たとえるなら予告編の速さであると思う。矢継ぎ早に、いいとこ取りで美味しい場面がテンポよく流れてくるあの感じがずっと続く。特に列車のシーンの>>続きを読む

果てなき船路(1940年製作の映画)

3.5

酒を浴びて騒ぎまくる男たちの馬鹿らしさと切なさ、大波にさらされる船上の男たちの意地と悲哀。「学びしかない…」と映画作家志望の青年がぼやいていました。

青春(2023年製作の映画)

4.0

NHKで三和ゴッドのドキュメンタリーを見たことがあるが、その彼らと同じように、出稼ぎで、底辺の裁縫工場で働く若者たちの映画。ここではナレーションやインタビューは一切なく、ただただ彼らの労働と生活が映さ>>続きを読む

辰巳(2023年製作の映画)

4.0

無論傑作ではないが、大手の金やコネを借りずに自主でここまでこだわって拵えられた、作り手の熱意がこれほどかというまで伝わる日本映画があることは多くの人に伝わってほしい。猫も杓子も遠藤雄弥ら筆頭に役者たち>>続きを読む

悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.0

水の綺麗な田舎町でレジャー施設を造る計画が持ち上がる。運営母体は芸能事務所。国の補助金欲しさに計画されたのは見え見えで、芸能事務所は怪しげなコンサルタントの言いなりになり、計画はでっち上げられ、ずさん>>続きを読む

パリでかくれんぼ(1995年製作の映画)

4.0

中盤でちゃんと寝た。気持ちよく寝られる映画はいい映画。たぶん。

秋立ちぬ(1960年製作の映画)

4.5

トリュフォーの「大人は判ってくれない」が日本公開された同年に、成瀬も子供を主人公にして映画を撮っていた。多摩川の土手で川泳ぎができて、春海ふ頭が何もない更地だった頃の東京。それでも田舎から出てきた子供>>続きを読む

女はコワイです/恋する男(1962年製作の映画)

3.5

主人公がそもそもは女に興味のない男だとわかるように演出するとき、雑誌のグラビアを切り抜いて、その裏ページの天文学のグラフを壁に貼り付けるところめちゃくちゃ上手いなとおもった。次カットで部屋の全景が見え>>続きを読む

何がジェーンに起ったか?(1962年製作の映画)

2.5

ブランチは監禁されているとわかるなり叫ぶとか、窓から手紙だけではなくもっとモノを投げるとか、SOSを求めることができたはずで、なぜもっと抵抗しなかったのか、それがすこぶるもどかしくて物語に集中できなか>>続きを読む

エクソシスト(1973年製作の映画)

3.5

初鑑賞。昨夜は涼しかったから部屋の窓を開けていたが、強風でガラスがカタカタと鳴るわ、枯れ木がカサカサ揺れる音が聞こえるわで恐怖演出倍増しになって勘弁してくれよって感じだったが、それを抜いてもこの映画、>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

2.5

フェミニズムがどうだ、とかエログロとかそういう描写は何も抵抗がないしむしろ好物ですらあるが、どういうわけか興奮しないし、いい意味でも悪い意味でも嫌悪感がなく、あっけらかんと性器や乳房が映し出されて、む>>続きを読む

北国の帝王(1973年製作の映画)

4.0

無賃乗車の客を徹底的に潰す車掌と、何があっても無賃乗車を試みる、おっさん同士の白熱のバトル。これで映画に成立させる根性がすごい。公開当時は興業的に振るわなかったそうだが、それはまあ頷ける。それでもこう>>続きを読む

ロンゲスト・ヤード(1974年製作の映画)

4.5

爆裂におもしろかった。蓮見氏も指摘している通り、「攻撃」「特攻大作戦」といったアルドリッチ過去作品を想起させる、既視感のあるシチュエーションや配役はたくさんある。(そして本作もまた、その後のカリフォル>>続きを読む

女医の盗撮日記(1992年製作の映画)

2.0

医者夫婦が盗撮するピンク映画。体位も撮り方も凡庸でエロスは感じにくい。当時のフィルムカメラ、ビデオカメラがたっぷり見れたのは地味に良かった。

逆さ吊し縛り縄(1985年製作の映画)

3.0

狂っていて愛おしい。「飾りじゃないのよ涙は」ほぼフルで流して、最後、工場につながり破茶滅茶あって終わる後味非常に良し。

Bico(2004年製作の映画)

3.0

街とそこに暮らす人々を静々と描くだけでここまで作家性を出せるのはどうしてなのか。カメラの置き場所、人物の表情、ショットの長さ。わずかな違いで世界は変わる

Valimo(2007年製作の映画)

3.5

おっちゃんたちのどの顔にも、人生の刹那が刻まれていて、もはや台詞を要しない圧倒的な説得力があった。

破局(1961年製作の映画)

3.0

写真ちぎったらええやんに気づいてしまったら手紙書けないギャグが冴えて見えない。とはいえラストはグイッと持っていかれた。

the Memory Lane(2022年製作の映画)

3.0

なんか令和って感じで良い。マイメンとつるんで夜な夜な遊ぶみたいな生活送ってこなかったから羨望まじりで観た。ドラマとして、校舎が閉鎖→夜の校舎で遊びまわり、至る所にスナップ写真を貼っていく→この先がもう>>続きを読む

光る女(1987年製作の映画)

2.5

単純に好きにならへんかった。鈴木清順や寺山修司あたりのATG感が漂うがどうも何かと履き違えたチグハグな印象。スーツを着て相撲を取り、まわしをつけてオフィス出社するようなというか何と言えばいいのか、ひょ>>続きを読む

二人の息子(1961年製作の映画)

3.0

親父が仕事をクビになり、一家に貯金もなく、負の連鎖で崩壊していく貧しい家庭の悲痛なドラマ。無情にも程がある。黒澤明の天国と地獄が63年だから、当時こういう格差問題は結構当たり前にあり、なかなか深刻だっ>>続きを読む

沈丁花(1966年製作の映画)

3.5

調子の良い台詞回し、京マチ子と司葉子の豊かで溌剌とした芝居に感服。

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

2.8

カラオケルーム、合唱会場、団地、教室、車中といった閉鎖的な空間のみで物語が進むから窮屈感は否めない。たぶんコロナ禍で制限があったのだろうが、やっぱりもどかしい。屋上でなんとか開放感を演出しようとしたの>>続きを読む

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