Osamuさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

Osamu

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渚のシンドバッド(1995年製作の映画)

4.2

こういう映画を観たかった。

高校生たちの自分とアイツの物語。

高校生の頃、他人のことなんて果てしなく分からなかった。この物語の高校生たちもそうなんだろう。

他人の存在に気が付いた描写に泣いた。

タリナイ(2018年製作の映画)

3.6

思いには共感するものの、映画としては何かタリナイように感じた。残念。

太平洋戦争中、マーシャル諸島で戦死した父親に会いに行く息子・勉さんを映すドキュメンタリー。

死因は飢餓。死の直前まで日記を書い
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僕の帰る場所(2017年製作の映画)

4.0

映画の未知のおもしろさを発見できるかもって思った。

ミャンマーを逃れ日本に来た家族の物語。

母国で暮らせなくなり、逃れた先の国でも難民申請を受理されない。そこで生きる人間を拒絶する国という存在は何
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なみのこえ 気仙沼(2013年製作の映画)

4.0

東日本大震災で津波を経験した人びとの対話のドキュメンタリー。これも前2作と同じ形式。

これは未来を見つめる話が多かったかな。
笑いが多く、人間に対する絶対的信頼を感じた。どん底を経験した後、信じない
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なみのこえ 新地町(2013年製作の映画)

4.0

東日本大震災で津波を経験した人びとの対話のドキュメンタリー。『なみのおと』同様の形式。

福島の原発に近い新地町だから、震災後の未来の話が、より重い。

震災後に心の有り様が変わって行ったという話もあ
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なみのおと(2011年製作の映画)

4.0

スクリーンに映っているものが何なのか、暫く分からず退屈に感じたけれど、分かってからはとてもおもしろかった。

東日本大震災で津波を体験した人びとの対話を映すドキュメンタリー。

被災の現場がリアルに語
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黙ってピアノを弾いてくれ(2018年製作の映画)

4.2

ハミ出し者を観て大いに失笑した先に、不意打ちのような感動があった。

強烈な個性のミュージシャン、チリー・ゴンザレスを映すドキュメンタリー。

メチャクチャやっているけれど、そこに人生の哲学が見えた時
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少女は自転車にのって(2012年製作の映画)

4.0

清々しい気分になった。

自転車を手に入れて近所の男の子と競争がしたい少女の話。今年、映画館が解禁されたサウジアラビアの映画。

映画館が禁止されていたのは、男女が長い間同じ空間にいることが宗教的に許
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若おかみは小学生!(2018年製作の映画)

4.2

子ども向けのアニメだと舐めてかかったらボロ泣きした。

小学生が両親と離れて、おばあちゃんの旅館で若女将として働く話。

旅館でのおもてなしの話であり、若女将だけに見える幽霊たちとの対話の話でもある。
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愛しのアイリーン(2018年製作の映画)

4.2

笑って、もがいて、泣いた。

40過ぎの男がフィリピンから嫁を連れて来たことで巻き起こる日本の田舎町での物語。

ボコボコに殴られた感じ。
やられ過ぎて爽快でもある。

暴力の物語だ。

何が何だか分
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PASSION(2008年製作の映画)

4.3

メチャクチャおもしろかった。

自己と他者との会話劇、ってことかな。

本音しか言ってはいけないゲームはサイコーにおもしろかった。こんな表現方法を考えつくなんて天才だと思う。これは発明だよ。

『寝て
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幕が上がる(2015年製作の映画)

4.3

心を鷲掴みされた。

高校演劇部の話。

演劇への愛と人生の肯定であふれている。
全然嘘くさくない。

父母たちのキャスティングは、やり過ぎだと思う。

プーと大人になった僕(2018年製作の映画)

3.8

100エーカーの森の生き物の世界がおもしろかった。

大人になって変わってしまったクリストファー・ロビンがプーと再会する話。

話としては王道だけど、ぬいぐるみ的なキャラクターたちを実写に持ってきたと
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美しい夏キリシマ(2002年製作の映画)

4.0

戦争はイヤだ。

終戦間近、霧島を望む農村の人びとの話。

死が身近にあった時代に、生と死の間で苦しんだ人びとが描かれている。

美しいものに惹かれるのと同じように、神聖なものに人は惹かれる、というセ
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71フラグメンツ(1994年製作の映画)

4.2

テレビのニュースで流れる世界の断片。その断片の全てを集めてつなぎ合わせても世界は出来上がらない。人間の存在は断片に納まるほど軽くない。だけど、断片を見て分かった気になる。あるいは分かろうともしない。そ>>続きを読む

泣き虫しょったんの奇跡(2018年製作の映画)

3.5

前半はまあまあ好きだけど、後半が嫌い。

子どもの頃からプロ棋士を目指し、夢破れ、再び挑戦する話。

好きなことを仕事にしたいがために、競争して同じようにそれが好きな人たちを蹴落とさなければならないの
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二十日鼠と人間(1992年製作の映画)

4.1

重い。苦しい。

知的障がいを持つ怪力男と、その相棒の話。時は世界大恐慌の頃、場所はアメリカの大農場。

社会ははみ出しものを作り、はみ出しものは社会の中で嫌われ、無視されるか殴られる。そんな社会が嫌
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サーミの血(2016年製作の映画)

4.0

最悪の悲劇。苦し過ぎる。

遊牧民族サーミの少女が外の世界に憧れる話。

蔑まれる民族に自身が属しているとき、そこから離れ、蔑む側に入っていくというのはどういうことなのか。

蔑まれることを憎みながら
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静かなふたり(2017年製作の映画)

3.8

好きな雰囲気なんだけど、観終わった後、「ん?」ってなった。

年の差が40才くらいある男女の出会いの話。

もう一回観たら何か分かるかもしれないけれど、話としては感じるものは無かったかな。

客追い返
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寝ても覚めても(2018年製作の映画)

4.0

おもしろかったけど、よく分かんなかった。

突然消えた恋人に顔がそっくりな男を好きになった女の話。

なんだかリアルじゃない。文脈が合わない断片の貼り合わせの世界。これは夢か。

そんな中で、倒れたポ
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きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)

4.0

さみしさを感じた。

男2人と女1人、微妙なバランスを保つ3人の話。

愛おしいものが、いつか、多分そんなに遠くない未来に消えてしまうんじゃないか、そんなさみしさを描いているのか。

「誠実さ」の話で
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未来よ こんにちは(2016年製作の映画)

4.3

独特な魅力がある映画だった。

仕事も家庭生活も充実した壮年期が終わりに差し掛かった女性高校教師の話。

生きて行くことは喪失して行くことなのだろうか。慣れ親しんだ場所から1つひとつ立ち去ることなのだ
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判決、ふたつの希望(2017年製作の映画)

4.3

とてもイヤな思いで泣きそうになったし、とても感動して泣きそうになった。

キリスト教徒のレバノン人と、レバノンで働くパレスチナ難民の裁判の話。

裁判で明らかになるのは、どのような正義で、どのような悪
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ノクターナル・アニマルズ(2016年製作の映画)

4.2

とてもおもしろい。

元夫が書いた小説と、二人の過去と、今の自分の話。

これは復讐と後悔の物語だと思う。

ラストがいい。

きっと、いい日が待っている(2016年製作の映画)

4.0

楽しい話ではないけれど、なんか楽しかった。

病気の母親と離れて養護施設に入れられた兄弟の話。抑圧からの脱出計画。

宇宙飛行士になる夢と『2001年間宇宙の旅』で編むアクションが良かった。ラストも好
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彼らが本気で編むときは、(2017年製作の映画)

3.8

おもしろかったけれど、所々ベタ過ぎる設定が気になった。

母親に置いていかれた少女と、叔父とその恋人の擬似家族の話。

毛糸で編んで造形するというところがいい。でも、それに悲しみや諦めを詰め込まなけれ
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祝福~オラとニコデムの家~(2016年製作の映画)

4.3

とても魅力的な映画だった。

姉と弟と頼りない父と、別れて暮らす母の家族を映すドキュメンタリー。

いら立ちが充満。でも嫌悪感は覚えず。自分ならどう寄り添うか、自然とそういう目線になった。そういう目線
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あえかなる部屋 内藤礼と、光たち(2015年製作の映画)

3.8

永遠に完成しない未完成を観た、という感じ。

内藤礼の姿を映さない内藤礼に関するドキュメンタリー。

撮影の途中で内藤礼に半ば拒絶されて、おそらく製作開始前のイメージとは全く違うものが出来上がったのだ
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沖縄スパイ戦史(2018年製作の映画)

3.8

正直言って、物足りなさを感じた。

沖縄戦で少年や市民が戦争に関わった事実を振り返り、現在の沖縄あるいは日本で起きていることを見つめるドキュメンタリー。

ゲリラ戦部隊の元少年兵の証言がとても貴重。市
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大人のためのグリム童話 手をなくした少女(2016年製作の映画)

4.0

この世界になかなか入り込めなかった。

悪魔と契約してしまった父に売られた娘が逃げる話。

筆による描画(?)のアニメーション。独特な映像表現。僕には結構取っ付きにくかったけど、ハマる人にはハマるので
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さよなら子供たち(1987年製作の映画)

4.2

静かに悲しい。

ナチス・ドイツ占領下のフランス。修道院の寄宿中学校での話。

思春期は気に食わないことばかりだが、たいていのことは時が解決してくれる。

そんな思春期に、時も解決できぬ出来事が少年の
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望むのは死刑ですか 考え悩む"世論"(2015年製作の映画)

3.8

考えるキッカケにする作品。

死刑制度に関する討論型世論調査のワークショップの様子を映すドキュメンタリー。

死刑制度の是非は日本に住む我々に課せられた重要な問題だと思う。しかし、日本の行政は死刑制度
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パターソン(2016年製作の映画)

4.3

好きだ。

バス運転手で詩人のパターソンの話。

幸せが詰まっている。こんなふうに毎日を生きればいい。

ペンギン・ハイウェイ(2018年製作の映画)

4.0

おもしろかった。若干の物足りなさも残った。

研究好きな小4男子の不思議探求の話。

無限や果て、獲得と表裏一体の喪失など、哲学的なテーマを扱う大人のアニメだと思う。

おっぱいへの探求がもう少し効い
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詩季織々(2018年製作の映画)

4.3

泣いた。

立ち止まって懐かしいものを思い出す短編集。中国と日本の監督によるアニメーション。

一人旅の最後に実家に寄った翌日、中高生の頃よく映画を観た街で観た。およそ30年振り。そんなシチュエーショ
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悲しみに、こんにちは(2017年製作の映画)

4.1

とても美しい映画だった。

親と死に別れ、おじさん夫婦に引き取られた少女の話。

少女の感情の振幅がとても美しく描かれていると思う。そして、悲しい、という感情に震えた。