えびちゃんさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

えびちゃん

えびちゃん

映画(669)
ドラマ(21)
アニメ(0)

銀河鉄道の夜(1985年製作の映画)

-

痛々しくて、ジンジンする。
子どもの頃、祖母が亡くなって火葬に行った時、おばあちゃんは星になったのよ、これからは天からあなたたちを見守ってくれるのよ。とおばさんに言われた。当時からそんなわけあるかいと
>>続きを読む

アレックス(2002年製作の映画)

-

トラウマを刻み付けられる作品とは聞いていて、心の準備をして臨んだものの、やはり心をズッタズタにされてしまった。2週間くらい前に観たのだけど、ずっと夜道が怖い。
もう少し深めたいな、とは思うものの、もう
>>続きを読む

家族を想うとき(2019年製作の映画)

-

本作を観ようとした日の朝、「最近楽しんでお仕事されていますか?えびさんには笑顔がいちばん似合いますよ」というメールを仕事関係者から拝受した。年末からアレコレ抱え込んでついに血尿が出たりと正直かなり落ち>>続きを読む

きっと、うまくいく(2009年製作の映画)

-

短期間に何人もの方に勧めていただいた本作、実ははじめてのインド映画。
やりすぎ演出や説明的なものが多いな、と一歩ひいて観ていたんだけど、最後の舞台の美しさと友情の美しさ、ランチョーの心の美しさにどばっ
>>続きを読む

ラ・ポワント・クールト(1955年製作の映画)

-

ヌーヴェル・ヴァーグの源流。最初は小さなさざなみだった。そのさざなみにたくさんの映画人たちが影響を受けてじっくり大きな波となっていったのかと思うとじわーんと胸にくる。ヴァルダの広く優しくでもドライなま>>続きを読む

セント・エルモス・ファイアー(1985年製作の映画)

-

女子大だったのでこんな青春が羨ましくて仕方ない!共学のみんなたちはこんな感じで男女入り交じってわいわいやっていたのか〜。女だけも楽しかったけどね、でもいいなぁ!
それぞれが障壁に立ち向かって、全力でぶ
>>続きを読む

薔薇の葬列(1969年製作の映画)

-

ウワーーすごい作品だった!アングラでアヴァンギャルドな世界。60年代のゲイクラブを舞台にオイディプス神話をなぞったとされるストーリー展開。オイディプスといったら近親相姦ですが、あぁそうくるのかーーと膝>>続きを読む

マッチ工場の少女(1990年製作の映画)

-

これは!つらい!!!!観た時ちょうど気持ちが少し落ち込んでいたので、主人公が、あれよあれよと転落していく様にお気持ち引き摺られ白目剥きながらの鑑賞になってしまった。
ふんだんな余白と限界まで無駄を削ぎ
>>続きを読む

ラッキー(2017年製作の映画)

-

突き抜けたような青空、何十年も前からじっと人々を見つめてきたような空高くそびえるサボテン、砂埃と乾いた空気。アメリカ南部に郷愁なんてあるはずないのに、何故かとても懐かしく感じる。
自然と目が覚めて、顔
>>続きを読む

マリッジ・ストーリー(2019年製作の映画)

-

冒頭からぼろっぼろに涙を流ししゃくり上げながらスクリーンと対峙した。どんなに歯車が噛み合っているように見えた夫婦でも、どこか許しがたい部分、絶対に許せない部分とかそんなものがあって。うまいこと折り合い>>続きを読む

象は静かに座っている(2018年製作の映画)

-

惜しいな、本当に惜しいな。厳しく美しい画、光と影、静謐で息苦しい長回し。でももうフー・ボー監督の作品を観ることが出来ないなんて余りにも惜しい。いくつかのカットは計算された光と影の美しさに絶句した。この>>続きを読む

下女(1960年製作の映画)

-

ブラックユーモアのセンスが光る傑作昼ドラだった。アンダーグラウンドを思い出させる悲劇の喜劇。はぁあ面白かった…。お家乗っ取りエンタメの原点にして頂点。
ところどころ監督のステレオタイプ男性像・女性像を
>>続きを読む

サバイビング・デザイアー(1991年製作の映画)

-

ハートリー作品のベストヒロインは、メアリー・ウォードで決まりでしょう。ヘルシーだけどコケティッシュな彼女はシーツを纏っただけなのに女神のよう。あの聡明でセクシーな目でまっすぐ見つめられたら誰だって恋に>>続きを読む

キッド(1984年製作の映画)

-

しょっぱなからまごうことなきハル・ハートリー監督作品。どこをどう切り取ってもハートリーの息遣いというか鼻息を感じる。
ゴダールを思いっきり意識しているのがバチバチに伝わってきてにんまり。ド初期なのにす
>>続きを読む

NO SMOKING(2019年製作の映画)

-

いつだって細野さんはわたしたちをはらいそに連れて行ってくれる。ここは最後の楽園。
最高にチャーミングでユーモラス。スクリーン越しにClose To You。Choo Choo Gatta Gotとたく
>>続きを読む

息もできない(2008年製作の映画)

-

ヒリヒリする。呼吸が浅い。胸がつまって押し潰されそうに苦しい。圧倒的な力強さと、凄惨な人間の業、少しの弛緩も許さない展開に足元がぐらぐら揺らぐ。
暴力ってものは振るったり、受けたりすると一気にハードル
>>続きを読む

失くした体(2019年製作の映画)

-

体から切り離された手と、厳しい運命に翻弄された持ち主の追憶を辿る。
『Roma/ローマ』同様、音がすごく良くて振動を一身に受け、とても没入できたのでNetflixではなくぜひ劇場で観て感じてもらいたい
>>続きを読む

BPM ビート・パー・ミニット(2017年製作の映画)

-

彼らは憤っていた。公表されないエイズ新薬の治験結果、政府の対応、セクシュアリティ差別、副作用が酷い治療薬、進行が止まらないHIV/エイズ、死の恐怖に。
かつての自分たちのように知識がないために罹患して
>>続きを読む

アイリッシュマン(2019年製作の映画)

-

マーティン・スコセッシが40年経て新たに紡いだ、ロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノ、ジョー・ペシ、ハーヴェイ・カイテル、4人のラスト・ワルツのようだった。ルーツの響きがたちこめ、粒ぞろいの個性をぶつ>>続きを読む

レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ(1989年製作の映画)

-

サイコーに面白かった!終始シュールな笑いが冴え渡っていてもう1から10まで全部まるごと大好きだった。ばかばかしいのに愛おしい。こういう淡々としているけど平和で質の良いコメディをずっと観ていたいよ。
>>続きを読む

ひかりのまち(1999年製作の映画)

-

画用紙に映したような、涙で滲んだようなざらざらした画が優しい。マイケル・ナイマンの音楽も冷え冷えとした気持ちをあたためてくれるようでとても沁みた。寒くて寂しい夜だけど、冷たい雨が寄り添って癒してくれる>>続きを読む

アンナ(1966年製作の映画)

-

アンナ・カリーナは大学生の頃から本当に大好きな女優さんで、どの角度から見ても嫌味なく軽やかでヘルシーな可愛らしさの虜。素顔だってメガネ姿だって、アンナに恋せずにいられない!アンナ・カリーナの魅力がみち>>続きを読む

セックスと嘘とビデオテープ(1989年製作の映画)

-

すごくよかった!!のに!感動や沸き立つ思いを言葉にできないこのもどかしさ。人の心の機微を静かな情熱をもって描かれているというのに、語彙が、表現力が、わたしには足りない。今年観た旧作の中でトップクラスの>>続きを読む

WEEKEND ウィークエンド(2011年製作の映画)

-

目線を辿るカメラワーク、たまらなく好き。彼らが歩幅を合わせて歩いた道のり。彼らがそこで他愛無く、でも探り合うようにお互いを知り合った窓辺。傍目には奇異に映っていたかもしれない。知りもせずホモだとも罵ら>>続きを読む

異端の鳥(2019年製作の映画)

-

絶望に次ぐ絶望の世界。ひとすじの救いの光さえ、瞬く間に遮断されてしまう不条理。少年はただ家に帰りたかっただけ。戦争や政治的な時代の渦に飲み込まれ、うす汚く邪悪な大人たちに搾取され、心を奪われてしまった>>続きを読む

CLIMAX クライマックス(2018年製作の映画)

-

もちろんドラッグをやったことはないのだけど、自分でも予想以上にフィットしたというか完全にキマってしまったよう。またすぐもう一度観たい。
序盤のダンスシーンは人体をもってした芸術の可能性を目の当たりにし
>>続きを読む

ぼくのエリ 200歳の少女(2008年製作の映画)

-

真っ白な銀世界に皮肉なほど美しく映える真っ赤な血。いじめられっ子のオスカーと訳ありのエリ。内に暗いものを秘めた2人が打ち解け心寄せ合うのに時間はいらない。ふたりにしかわからない、昔の秘密の暗号で「血の>>続きを読む

鬼が来た!(2000年製作の映画)

-

なんて骨太な映画なんだろう。悲劇であり喜劇でもあり、でもやっぱり悲劇である。これだけの力強い作品を作り上げようとするその気概に襟を正さずにはいられない。
我々日本人が正面から見るには受け入れ難い面も多
>>続きを読む

ケス(1969年製作の映画)

4.0

1969年当時からケン・ローチはケン・ローチなんだね。来たるべき絶望に備え観ていたけどやっぱりまんまと絶望した。何者にも偏らず媚びないローチの突き放したかのような描き方はむしろ弱者に対する優しさなんだ>>続きを読む

ピクニックatハンギング・ロック(1975年製作の映画)

3.7

最近お気に入りのテーマである神隠しもの。1900年オーストラリア。ハンギング・ロックと呼ばれる岩山にピクニックへ出かけた女学生たち。少女3人と教師1人が行方不明になってしまう。
軽々しく触れてはならな
>>続きを読む

誰も知らない(2004年製作の映画)

-

この作品、邦画だけどえびちゃん絶対好きだと思うよ、と言われて今さら鑑賞。好き、かな?いくつか観た是枝監督作品のなかでは好きかも。でもよくわからない。切なくてやるせなくて苦しかったけど、心動かされる、ま>>続きを読む

断絶(1971年製作の映画)

3.8

カーレースをモチーフとした作品でありながら、ストーリーに大きな起伏はなく淡々としたロードムービー。しかし冒頭から心掴まれっぱなしで半泣きで最後を見送ったのは、わたしが主演のジェームズ・テイラーを心から>>続きを読む

赫い髪の女(1979年製作の映画)

4.2

17歳、高3の夏休み。塾を抜け出し駅の書店でパステルカラーに銀の箔押しが美しい装丁の『ピース・オブ・ケイク』(ジョージ朝倉著)を購入した。もともとジョージのやさぐれ中学生の青春群像劇『ハートを打ちのめ>>続きを読む

ジョーカー(2019年製作の映画)

-

人の仮面を脱いだジョーカーに経験したことのない、ぶりんぶりんの鳥肌がたった。
今この時代だからこそ響く、とは思わない。どの時代を生きたって高い共感が得られるだろう。むしろそれを意識して作っているとさえ
>>続きを読む

ベニスに死す(1971年製作の映画)

3.7

タジオのお顔そのものがお耽美で人類みな見惚れてしまうんでなかろか?あの三白眼の瞳に見つめられたら、おのれの醜さが浮かび上がってきて我が身が消滅してしまいそう…!
貴族のヴィスコンティ監督、上流階級の描
>>続きを読む

(秘)色情めす市場(1974年製作の映画)

4.0

声に出して読みたくない日本語(とか言いながらも、あっちこっち会う人に「いま、まるひ しきじょう めすいちば のDVD借りてるの」とベラベラ言いまくってた)。生まれて初めての日活ロマンポルノ。圧倒。傑作>>続きを読む