えびちゃんさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

えびちゃん

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厳重に監視された列車(1966年製作の映画)

4.0

ものものしいタイトルだけどほのぼのドラマ〜!かと思いきや、しっかりばっちり戦争の暗い影が落ちていた作品であった。
駅員の少年の童貞喪失劇と同時並行して描かれるナチスドイツのチェコ侵攻、チェコとスロバキ
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はちどり(2018年製作の映画)

3.8

あー知ってる。知っているよ、この居心地のわるさ。
とりかごの中に入れられて、翼を伸ばせない。きゅうくつで、心まで縮こまってしまう。暴れてももがいても何も変わらない状況に焦って苛立って。なによりこの世で
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チャイニーズ・ブッキーを殺した男(1976年製作の映画)

4.5

命にかえても守りぬきたいものが、わたしにはあるかな。
自分の城であるストリップクラブを愛し、仕事を愛し、彼を取り巻くまわりの人々を愛し切った、お人好しのコズモ。ただ一直線に破滅へ向かっていく姿はものす
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写真家 ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと(2012年製作の映画)

-

ヘンクツ。皮肉屋。だけど悪態だって本気で言ってないのがばればれ。滲み出ている人の良さがチャーミングで憎めない。彼が笑うとこちらもつられてにっこりしてしまう。なによりライター自身が語る言葉が、心に直に響>>続きを読む

スイート・スイート・ビレッジ(1985年製作の映画)

4.0

はちゃめちゃよかった…。なんだろう、チェコ版『ダゲール街の人々』のような…アットホームで大らかでずっと優しい時間が流れていて幸せだった。魅力をうまく伝えられないけど、とにかく観て!
時代はまだまだベル
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BIUTIFUL ビューティフル(2010年製作の映画)

3.8

いつも思う。想えば想っただけ、報われればいいのに。
精神を追い詰める汚れた街にしがみつくように生きるウスバル。不法移民に仕事を斡旋し世話して食い扶持を得ている。濃いグレーもしくはアウトな生き方ながらも
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落穂拾い(2000年製作の映画)

-

ファーストカットから猫!最高!この時点で傑作です。
"落穂拾い"とは規格外で捨てられた野菜や摘みきれなかった果物、養殖場から流れ出た牡蠣など拾う人たちのこと。確かに間引きされて畑の端に転がってるスイカ
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ストレンジャー・ザン・パラダイス(1984年製作の映画)

4.0

むっちゃかっこいいなぁ!繰り返しだらだら観たい!ていうか間髪入れず2回目観てるけど…じわじわ良さが増すなぁ。
少しずつ変化していく3人の関係が良い。アホで不器用で怠惰な人間たちのじたばたするでも足踏み
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スラム砦の伝説(1984年製作の映画)

-

誰がなにやってるのかなんにもわからなかったけど、とめどない色彩の洪水をただただ眺めるというのもなかなか満足感がある映画体験だった。構図、色彩、美術、衣装が素晴らしい〜!突然知らない画家の美術館にぶち込>>続きを読む

ダゲール街の人々(1976年製作の映画)

4.0

なんだかんだと見逃していたけどやっと観られた!そしてもう良すぎた…。
パリのダゲール街に住む人たちの日々の営みのドキュメンタリー風作品。故郷はばらばら経緯もばらばらでダゲール街に寄り集まった人たちの日
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カノン(1998年製作の映画)

4.0

アー、サイアク。面白すぎた。サイアク。
前作カルネの後日譚…90分たっぷり嫌な気分にさせられた。ポスタービジュアルにATTENTIONって書いてあるな。
施設に預けられた娘への愛だけが生きる目的のおじ
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希望の灯り(2018年製作の映画)

4.5

この映画そのものがだいすきだった。画も音も映る人たちも。全シーン全部すき。
無機質に規則正しく棚が並ぶ大型スーパーマーケットの床をなめらかに優雅に走るフォークリフト。操作音さえ愛おしい。
従業員みんな
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欲望の翼(1990年製作の映画)

4.0

わりと序盤から涙腺ぶっこわれてるのかと思うほど泣いた。ウォン・カーウァイってこんなにおもしろかったっけ…?このまま映画終わらないでなんて思いながら観てた。そんな感覚久しぶり。
人生はままならない。みん
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東京物語(1953年製作の映画)

3.8

せ、せつない〜〜〜!肉親に対してドライになってしまうのはわかるんだけど、あんまりじゃあ〜。
尾道から独立した子供たちに会いに東京へ旅行に来た老夫婦、ってだけでも泣けるのに。子供たちが厄介者扱いしても、
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追風(2007年製作の映画)

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わたしたちは気づいていないだけで、見守ってくれる人に支えられている。
エドワード・ヤン監督の遺作。未完の短編アニメーション。
これぞヤンヤンとばかりの長回し。(適切な表現かはわからない。アニメで長回し
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カップルズ(1996年製作の映画)

4.0

久しぶり!!元気にしてたみたいだね。みんな『牯嶺街少年殺人事件』の頃から大人になって…でも中身は全く変わらない小悪党のまんまだね。また会えて嬉しいよ。……いや??もっと大人になりなよ!!

と声をかけ
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彼らは生きていた/ゼイ・シャル・ノット・グロウ・オールド(2018年製作の映画)

4.0

牧歌的なバグパイプの音は出撃の合図だった。
軍服を脱ぎ捨てれば、彼らはみんな善良な民間人。イギリス人もドイツ人もみんな変わらない。
戦争の映画はいつも言葉に詰まってしまう。戦死しても帰還しても地獄。英
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秋刀魚の味(1962年製作の映画)

4.0

なんとはじめての小津監督作品。はずかしー!
いいねぇ。しみじみいいなぁと思わされた。人間はひとりぼっちだねぇ。
戦争を経験したあと、がむしゃらに働いて家族を養って、伴侶を喪って子は独立する。残された自
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スピリッツ・オブ・ジ・エア(1988年製作の映画)

4.5

狂おしいほど好きだと思った。美しいディストピアは現実離れしているのに、メッセージにはものすごく現実的な痛みがある。
人によって大なり小なりでわたしのは小粒かもしれないけど、"夢の落としどころ"の苦々し
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アンナ・カリーナ 君はおぼえているかい(2017年製作の映画)

4.0

もうだめだ、涙で前が見えん。もうすっごく良かった…。スクリーンに映るアンナ・カリーナを観るアンナ・カリーナ、なんて夢のようだ。踊る彼女をずっと観ていたい。ううう涙が…。
ヌーヴェル・ヴァーグ期のアンナ
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ファイナル・カット(2012年製作の映画)

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"映画好きのための映画"ってよく耳にするキラーワードだけど、この作品こそ相応しいのではと思う。✳︎個人の感想です。
ただいまEUフィルムデーズで青山シアターをDLすれば無料で観られるぞ!
さまざまな映
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希望のかなた(2017年製作の映画)

4.0

とても幸せな映画だった。シリアスな要素もカウリスマキの手のひらに温められてこねられてわたしたちの中に眠る偏見のかたまりをやわらかくする。ひと握りの優しさの寄せ集めは、ひとりの大きな希望にかわる。
物の
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タゴール・ソングス(2019年製作の映画)

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やさしい作品だった。インドの詩人、タゴールを巡るドキュメンタリー。インドとバングラディシュの国歌でもあるベンガル人のタゴールの詩と歌は、彼が亡くなった今でも歌い継がれる。詩の解釈は人によってさまざまで>>続きを読む

オズの魔法使(1939年製作の映画)

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恥ずかしながらこの歳まで内容を存じませんでした。こういう作品を小さい頃から観て育つとファンタジー好きになるのかな、そして豊かな情緒を育みそうだよね。
80年前だし!と言い聞かせても、今だったら倫理的に
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ラ・ジュテ(1962年製作の映画)

4.0

なんだこれめっちゃおもしろい!!!SF苦手かつ多動のわたしでも30分弱ちゃんとソファに座っていられた…!
第3次世界大戦後の崩壊したパリが舞台。ストーリーはもう12モンキーズまんまなんだが、動画でなく
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女は女である(1961年製作の映画)

4.0

いやーーーー最高。大好き!
アンナ・カリーナのウィンクからの"FIN"にキュンが爆発。
ゴダールのセンス良いところがみっちり凝縮されていたんでないかな。ミシェル・ルグランをこんなに無駄に、贅沢に使える
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マルタの鷹(1941年製作の映画)

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黄金の鷹をめぐる欲望のぶつかり合い。
心理戦にハラハラ、面白かった。わたしは単純だからほいほい人の言うこと信じちゃうけど、探偵スペードは鼻っから依頼人の言うことなど信じず、信じたフリで自分に有利な方へ
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軽蔑(1963年製作の映画)

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一度目が醒めてしまえば、あなたを軽蔑する…。
ゴダールがストーリーを大事にしているとは驚き!7,8年前にDVD購入してこのたびようやくシュリンクを切るに至ったんだけど、まんまと好きな作品になってしまっ
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モダン・タイムス(1936年製作の映画)

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たまには明るい映画でも。
誰も傷つけない笑いの応酬、そして沸き上がる感動のラストシーンにいま時代が欲しているのはこういう作品ではなかろうかと思う。BSPナイスよ!
1930年代、諸産業が目まぐるしく活
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炎628(1985年製作の映画)

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第二次世界大戦中、白ロシアでナチスドイツによる無抵抗の民間人虐殺の様子を少年の目を通して共有していく。人間の顔貌って、恐怖と憎しみであんなに変化するものなのか…。絶望につぐ絶望。『異端の鳥』や『動くな>>続きを読む

カルネ(1994年製作の映画)

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父ひとり、娘ひとり。馬肉屋の狂った親父と狂わされた娘。行き過ぎた愛が引き起こす破滅。娘を取り戻すためならなんでもできる!
ノエちゃんはじめの一歩ということだけど、ノエちゃんたるスタイルや哲学がぎゅむぎ
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宮本から君へ(2019年製作の映画)

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シリアスなんだか笑っていいんだかわからない2時間を過ごしながらも、やっぱりアッツイ涙が、頬を、首筋を伝っていくのを感じながらエンドロールの宮本を見送った。
夏に物凄い勢いで原作漫画を読んだ。あの頃感じ
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私たちはどこに行くの?(2011年製作の映画)

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レバノンの過疎村で起こるイスラム教とキリスト教の宗教対立。男たちの愚かなる諍いを、なんとしてでも止めるべく立ち上がった女たちの悲喜交々。
男たちの争いのあとさきに、女の悲しみがある。夫や子供を宗教対立
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ミッドサマー(2019年製作の映画)

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ひとりで観て良かった……!ひとりで映画観るのさみしいなと思うことも稀にあるけど、今日ほどひとりで観て良かったと思うことないだろな。
期待値を上げ過ぎてしまったのか、自分の感情が迷子である。おもしろいと
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海がきこえる(1993年製作の映画)

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もうずーーーっと昔だけど、かつて付き合っていた人に『海がきこえる』素晴らしい作品だから観て!とのことだったので借りてみたものの、ヒロインのリカコのわがままが無理すぎて開始早々に観るのを辞めてしまった。>>続きを読む

山の焚火(1985年製作の映画)

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凄いものを観てしまった。自然の美しさと気高さ、山に暮らす人々の質素な営み、飾りようのない素の人間の湿度、映るもの全ての質感があまりにも生々しくてスクリーンから目を離すことが出来なかった。観終わってもず>>続きを読む