唯さんの映画レビュー・感想・評価

唯

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プロミス(2001年製作の映画)

4.3

子供の時から敷かれている分断思想。
まだ善悪の判断がつかない時代に教え込まれる恐ろしさ。
彼らにとって、世界はあまりにも狭い。世界を知ることすら許されない。

宗教もまた凶器となり得る。
信じることに
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ロリータ(1962年製作の映画)

3.5

問題の根本解決をすべきなのに、目の前のストレスからその場しのぎ的に逃げることばかりを優先してしまう哀れな我ら。

そりゃあこんなに酷い仕打ちを受けたら、妻・シャーロットの錯乱も当たり前だよね。
再婚相
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ソフィーの選択(1982年製作の映画)

3.5

ソフィーとネイサンの歪んだ依存関係は、戦争の後遺症でもある。
友人スティンゴを含めた3人は、本来ならばただの親しい友達同士のはずなのに、○○人という属性で向き合うことを余儀なくされる。
ネイサンは、ユ
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春のめざめ -名作ブロードウェイ 再集結の舞台裏-(2022年製作の映画)

3.5

出演者と役柄がオーバーラップすることによって、作品に更なる深みを生んでいる。
そうした背景を知ることが出来るのは、ドキュメンタリーの豊かさでもあるが、15年の時を経て当時を振り返る形であることが大きい
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逃走迷路(1942年製作の映画)

3.2

「金田一少年の決死行」的な、冤罪を晴らすためのロードムービー。
タフな精神力、強靭な肉体、行動力、頭の良さ、何としてでも潔白を証明したいという揺るぎない想い、運の良さがないと、こうした話は成り立たな
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舞台恐怖症(1950年製作の映画)

3.2

年増の女性が若い愛人をそそのかすって、ヒッチコック作品でのあるある設定な気が。
その対立キャラクターとしての純情な若い娘が巻き込まれる構図なのだが、女は歳を取るに連れて恐ろしくなって行くということか(
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青髭八人目の妻(1938年製作の映画)

2.7

マイケルが7回も離婚しているのは、やはり金があるから。
全て金で解決できてしまうので、離婚も自由にできるよね。

それなのに、一目惚れして今日にでも結婚したい!となるのが凄い。
結婚を繰り返す人って、
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裏窓(1954年製作の映画)

3.9

他人の生活を覗きたいという願望は、誰しもが秘めて持っているものだよね?あなたもよね??とえぐい程に問い掛けて来る。
殺人事件にまつわる話なのだけど、あくまで覗きの視点のため、重苦しさがなくライトでコミ
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深夜の告白(1944年製作の映画)

4.2

ロードムービーの様な、行き場のない男女の逃避行劇。
男女の間に完全に対等な関係など存在しない。
秘密の共有は絆を固くするが、そのゴールは破滅しかあり得ないというのもセオリー。

二人の間で本物の愛情な
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見知らぬ乗客(1951年製作の映画)

4.2

頼んでいないのに勝手に交換殺人を実行されるとか恐怖でしかない。
殺人トリックの話に興じるのは、誰もそれを現実として捉えていないからだ。
架空の話だということを当たり前の前提としているのに、そこが人とは
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ダイヤルM(1998年製作の映画)

3.0

マイケルダグラスって何でこんなに気持ち悪いのだろう。。


グウィネスは可愛く美しい

何故オリジナルと設定を変えたのか。
普通、妻の浮気相手に妻の殺人を依頼しないでしょう。
オリジナル版は非常にスマ
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ダイヤルMを廻せ!(1954年製作の映画)

3.7

愉悦のために殺人を企てたかの様な、得意げで余裕綽々と殺人論を語るトニーが薄気味悪い。
犯人には、完全無欠のトリックもさることながら、するりするりと交わしていく論弁術が必至である。

こうした犯人主体の
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レベッカ(1940年製作の映画)

3.7

母親代わりと自称する相手からいじめられているのに依存関係を断ち切れないのは、自己肯定感が低くて尽くし過ぎてしまうから。嫌われることを極度に恐れているから。
マリアンは、そうした依存関係を引き寄せてしま
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レベッカ(2020年製作の映画)

3.4

メイドや執事が意地悪するってダメだよね、仕事として金貰ってんだから。
そんな使用人はクビにすれば良いけど、それは前妻への敗北を意味するために出来ないのがもどかしい。
誰にでも愛されて完璧で美しかった前
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椿姫(1937年製作の映画)

3.9

気品と余裕の溢れるマルグリットを演じるグレタガルボがひたすらに美しい。
社交界の華として振る舞い続ける彼女だが、一人になればただの女というギャップがまた可愛らしい。

スペックだけは高いがクール過ぎる
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グランド・ホテル(1932年製作の映画)

3.8

「グランドホテル。人々が来ては去ってゆく。何事もなく」

ホテルは密室でプライベートな空間の集合体であるから、群像劇として成り立つよね。
一流の高級ホテルなわけだけど、金持ちだけでなくそれに仕える者や
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ブロードウェイ・メロディー(1929年製作の映画)

3.5

歌や踊りが盛り込まれるものの素朴なミュージカル映画である。
パフォーマンスが観客を圧倒するためにあるのではなく、市井の人々と共に楽しむためにある、というスタンスが素敵。
わちゃわちゃごたごたしているが
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つばさ(1927年製作の映画)

3.9

途切れずに続く音楽は非常に単調。
変調を加えながらも基本は同じメロディーと拍子が続くので、戦争という暗い題材を扱いながらもどこか前向きさがある。
ゲーム音楽の様な雰囲気さえするので、戦争に送り込まれた
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失われた週末(1945年製作の映画)

3.8

ドンが依存症に陥る一番の要因は、自己肯定感・自己受容感の低さにあることは言うまでもない。
作家になる夢に向けてもがくものの結果は得られず、現実逃避として酒を煽る。
そうしては酒に逃げた自分を責めて人生
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情婦(1957年製作の映画)

3.3

主人公弁護士のキャラが立っていて可愛い。
こちらの予想を裏切りに裏切る形での幕切れはお見事。

ショーガール(1995年製作の映画)

3.9

癇癪持ちのノエミの生き方がハードモード。
自ら生きにくくしている感が半端ないが、ショーガールとしてその階段を駆け上がって行く。

夜の世界に生きる者達にとっては、ダンスもセックスの一手段でしかない。
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娼婦ケティ(1976年製作の映画)

3.4

こんなに過酷な貧困下でも死を選ぶことなく、人々は懸命に生き延びようとしていたことに驚く。
現代と違って個人などないに等しく、悩む暇などなかったのだろうな。

貧困層の彼らには、情報を知る術がない。
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悪いことしましョ!(2000年製作の映画)

3.1

悪魔が誘惑の象徴であるならば、黒マントに斧よりも色気たっぷりの美女というのは合点がいく。

他者と比べて自分にないものばかり追い求めても、幸せは手に入らない。
まずはありのままの自分を認めることだ。
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オースティン・パワーズ(1997年製作の映画)

2.8

アメリカのコメディだと、ビジュアルいまいちな変人主人公が美女にモテる、という謎現象が起こるのが未だに納得いかない。
時代に追い付けない者は孤独に追いやられるというのは真理。

60年代は「フリーセック
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ローズの秘密の頁(ページ)(2016年製作の映画)

3.3

ただモテるだけなので相手にされない男達が勝手に怒り争うだけなのに、色情魔扱いされる不憫さたるや。
そもそも、結婚前の男女は見つめ合ってはならないって、じゃあどうやって結婚するのだよ、、
神父の執着ぶり
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俺たちニュースキャスター(2004年製作の映画)

3.3

完全なるホモソノリがまだ通用していた時代。
年齢に関係なく男ならばセクハラオンパレード。
ナンパも出来ない男なんか男じゃねえ!みたいな、女を口説くことが男を測る尺度になってしまっている。
女は抱けば言
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ベロニカ・フォスのあこがれ(1982年製作の映画)

3.5

ヴェロニカの、人からどう見られるかを常に気にしてしまう息苦しさ。強迫性障害なのでは?
本当はやりたくて仕方がないのに興味がないと言ったり、感情と身体と言葉がぐちゃぐちゃで自分自身を統率できていない。
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ブルジョワジーの秘かな愉しみ(1972年製作の映画)

3.2

不条理劇って長尺のコントだよなあと。
思い込みによるすれ違いだとかコントであるあるだし。

どこに場を移してもなかなか食事にありつけないという設定があるのだけど、そんなことを忘れさせる程に自然で、且つ
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小間使の日記(1963年製作の映画)

3.0

女中という立場でありながら、意思が強くてきっぱりと自分の意見が言えるセレスティーヌ。誇りを失わない高潔さが気高く映る。
セレスティーヌは使われている立場なのに、どこか優越感を纏ってさえいる。

主人は
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現金に手を出すな(1954年製作の映画)

3.0

大人の貫禄とは、並大抵の人間に出せるものではない。
冷静に淡々と仕事をこなして行く様は、いかなる状況でも余裕を感じさせるし、内心は違うのだとしても泰然自若と振る舞えてしまうのが凄い。

だけれど、女の
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オペラハット(1936年製作の映画)

3.0

嘘に罪悪感を感じ始めたら、それは恋!

自分のために声を上げてくれる人がいる喜びよ。
困った時に味方になってくれる人がいるか否かはそれまでの行動の結果。
人のために尽くした者ならば、必ずその情けは自分
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ファーストフード・ネイション(2006年製作の映画)

3.8

「善人対悪人の話じゃない。大企業に支配された国の話だ。土地にも牛にも人間にも企業は容赦ない。すべては利益のため。目先の利益を追求するためだ」

働くことの意義や目的も金の価値観も常識やモラルの基準や尺
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リッチー・リッチ(1994年製作の映画)

3.3

金で買えないものがあると既に悟ってしまうリッチー。
人とは違う生活の中で孤独や違和感や虚無感を感じる彼が友人を作ろうとするのだが、それを執事がお膳立てしてしまう。
金で買えないものを金で買おうとした、
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セールスマンの死(1951年製作の映画)

3.4

常に暗くて陰鬱とした表情を浮かべているところからして、そりゃあ人生仄暗くなるよなと。
愛する妻がいて二人の子供に恵まれて、十分幸せなはずだろうに、本人の捉え方によって不幸たらしめている。

母が夫のこ
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セールスマンの死(1985年製作の映画)

3.7

このお家、実は屋根や壁がなくて、セットです!これは虚構です!と主張している。
原作が演劇なので、演劇らしい会話劇。

現実を受け入れられず、過去と空想に縋るウィリー。
どこまでが現在の現実でどこまでが
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ニノチカ(1939年製作の映画)

3.3

ロシアとフランスの文化の違いの中で育まれる恋愛を描いた作品。
当時の時代背景を知っていればより楽しめるのだろうけど、知らなかった世界に心魅せられ、ときめく様はそれだけでこちらの心も綻ばせる。

鉄人の
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