大鳥涙さんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

大鳥涙

大鳥涙

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はなれ瞽女おりん(1977年製作の映画)

4.5

Amazon Prime Video
見逃していた篠田監督作。一流のスタッフとキャストによる佳作だと思う。
故郷に瞽女がいたので、物心ついたころから瞽女の厳しい人生は知っていた。しかし人間らしさとは何
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窓辺にて(2022年製作の映画)

3.5

ドロドロな痴話喧嘩を、爽やかにお洒落に撮って今泉節爆発。愛の形は様々だけど、結局皆んな彷徨っているんだなあ。
前半に携帯が入って中座することに... 何という悲劇!無念だ。

宮松と山下(2022年製作の映画)

1.5

波長が合わないのか、私が衰えたのか。残念ながら終始睡魔との戦いであった。
雰囲気のある画と音だけで、人の内面に迫るのは難しんじゃないだろうか。上手い役者のアップを見せて後はこちらに投げっぱなし。観るも
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ある男(2022年製作の映画)

3.5

宿命は変えられないが、運命は変えられる。多かれ少なかれ血筋や縁に縛られ、そこから解き放たれたい人は多い。魂の自由は幸せの象徴だ。それを求め、嘘に嘘を重ねてでも運命を変えようとする男が切ない。しかし物語>>続きを読む

土を喰らう十二ヵ月(2022年製作の映画)

3.5

食べることは生きること。そして、食べることは人と人を結びつけてくれる。現世を越えてまでも結びつけるその不思議。本作は説得力を持って教えてくれた。
一方で孤独に生きる絶対的な虚無感の向こうにも、何故だか
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西部戦線異状なし(2022年製作の映画)

3.5

Netflix
人間性が奪われ、武器の一つと化す兵士達が切ない。戦争に大義名分は無く、単なる殺し合いだ。その愚行の核心を、前線の悲劇に描いた。
直視し難いシーンも多いが、多くが知る古典をデジタライズし
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秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)

3.0

疲労がピーク、体調不良のためか、ピンと来なかった。
いつか再鑑賞します。

ノースマン 導かれし復讐者(2022年製作の映画)

3.5

On the sky to Tokio
ハムレットであり、スターウォーズであり、大袈裟な古典絵巻を映画にしたようだった。過度に誇張した表現は、伝説の様な昔を実感させて、物語を咀嚼させるには必要だった
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リフレクション(2021年製作の映画)

3.0

配信(Google TV)
見たくもない悍ましい描写に辟易とさせられ、レビューを書く気になれなかった。独創的ではあるが、僕は好きではない作風。

あのこと(2021年製作の映画)

3.5

On the sky from Singapore to Tokio
ダルデンヌ作品の意匠を感じつつも、もっと冷徹で突き放した描き方で、心底から怖かった。八方塞がりになった彼女ではあるが、倫理的には贖
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別れる決心(2022年製作の映画)

4.5

On the sky to Singapore
ラストコーションで鮮烈に記憶された湯唯が、今作でも難しい役どころを魅力たっぷりに演じて、ファンとしてはそれだけでも十分なのだ。加えてパクチャヌクの相変
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夜明けまでバス停で(2022年製作の映画)

3.5

怪作にして快作。安倍が名付けたかのような‘令和’の日本に対する昭和世代からの力強い檄だった。全共闘を経た世代は、実に懐深く、ペーソスに満ちた優しさを与えてくれる。それは、孟子が説いた浩然の気のように感>>続きを読む

ハケンアニメ!(2022年製作の映画)

3.0

Amazon Prime Video
ひたむきに頑張る清々しさを描いて、好感の持てる作品。アニメージュを購読していた頃は、劇場まで行って999、マクロス、イデオンも観たなあ。
閉塞感に満ちた現在の日
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千夜、一夜(2022年製作の映画)

2.0

青木研二の脚本がこんな風になるとは...
残念としか言いようがない。凡庸な長回しに余韻は残らず、これでは蒸発した身内への想いなど伝わるはずもないよ。
作り手への失礼は承知の上で、酷評せざるを得ないほど
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鑓の権三(1986年製作の映画)

4.0

WOWOW
学生時代に試写会に当たって観に行ったのを思い出した。日本最高峰のスタッフによる近松物は、実に豪華で美しく、それでいて無駄を省いて丹精な意匠だった。昔観た時の感慨に、間違いはなかったのだと確
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アイヌモシリ(2020年製作の映画)

3.0

Amazon Prime video
アイヌ民族の文化に触れる教科書のような映画。ちょっと一本調子で、生真面目な作りが受け入れ難く、理性的な理解で終わってしまった。美しい風景と少年の顔だけでは、観る者
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王女メディア(1969年製作の映画)

3.5

無茶苦茶な映画文法のようだが、アップと遠景の組み合わせは基本に忠実で、観ていて気持ち悪くならない。女の憎悪、怨念の情は、実はアジア的でもある。人の感情を映像に載せるパゾリーニは、やはり芸術だった。

愛のまなざしを(2020年製作の映画)

3.5

配信(youtube channel)
気になっていた心理劇をやっと鑑賞出来た。仲村トオルが杉野希妃に魅かれていく蟻地獄にはまっていく過程に、もっと丁寧な描写が欲しかった。だけど、愛は支配出来ず無理強
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戦争と女の顔(2019年製作の映画)

3.5

どこまでも重苦しく救済の光が見えない悲劇に、怫鬱とした気分で映画館を出た。現在のロシアがオーバーラップする。只ひたすら暗い。民族性は遺伝子に書き込まれていくのかも...
作風は違うが炎628を想起した
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ヘルドッグス(2022年製作の映画)

3.5

原作物を映画化するのが得意の原田作品。今作は成功だったなあ。
エンタメに徹して、ノワール+アクションを描いて、率直に面白かった。肩で風切って映画館を出るのは、今の息苦しい世の中で何と嬉しいことか。「ホ
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死刑にいたる病(2022年製作の映画)

3.0

脚本は面白い。おそらく原作が良いのだろう。しかし演出は陳腐で、既視感満載の画とカメラワーク、眼を覆いたくなるようなショッキング映像を繋げているだけ。観客は爪が剥がれる映像を見たいわけではないと思う。そ>>続きを読む

ストーリー・オブ・マイ・ワイフ(2021年製作の映画)

3.5

この舌を噛みそうな名前の監督は、前作「心と体と」を観てからちょっと注目していた。案の定今作も、映画ならではの表現で、フィルムの質感の中に曖昧な男と女の関わりを描き、なかなか見応えのある作品であった。摘>>続きを読む

さかなのこ(2022年製作の映画)

3.5

横道世之介のテイストを予感して観に行ったら、刹那さは消されて、思いの外ファンタジーに寄っていた。天真爛漫を絵に描いてような主人公が、周りに支えられ励まされ幸福に包まれていくとともに、周囲の人々も幸せを>>続きを読む

グッバイ・クルエル・ワールド(2022年製作の映画)

3.0

タランティーノばりのクライムサスペンスなのだが、何処かウェットなところは日本を感じる。大森と北野の違いは、そのウェット感をシンプルに表現できているか否かだと思った。
社会性を持たせようと詰め込み過ぎな
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キングスマン:ファースト・エージェント(2020年製作の映画)

3.0

On the sky to IST
荒唐無稽なキングスマン。気品に欠けていたので減点。
ラスプーチンは期待以上の怪僧だった。

ワン・セカンド 永遠の24フレーム(2020年製作の映画)

3.5

On the sky to IST
見逃していたので、機内とはいえ早々に鑑賞できて嬉しい。
今作の根底に根付くヒューマニティーには、張芸謀ならではの優しさが溢れる。文革はドラマチックに過ぎるが、彼が撮
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スペンサー ダイアナの決意(2021年製作の映画)

3.5

On the sky to IST
息が詰まる様な閉塞感が、ダイアナの心象を伝えている。ほぼ神経症と言える人の心理を、画と音楽にしようとする試み。ちょっと一本調子なのが残念だな。

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

3.0

好評なので、封切り間も無くに鑑賞。
何とも不穏な恐怖を感じるジョーダン・ピールらしい作品で、ジャンルも単一に括られるものではないかな。一方、結構こけおどし的な中身に長時間も相まって、観終わって疲労感が
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ルシアンの青春(1973年製作の映画)

3.5

スターチャンネルex
先の見えない暗闇で、何の希望も持てず無為に生きる青年が、その無機質な姿を僅かながら変えることで堕ちてゆく。賢く振る舞おうとしたようには見えず、何かに導かれるままに行動した結果だっ
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わたしは最悪。(2021年製作の映画)

3.5

倫理観が異なるのでとても共感は出来ないものの、主人公の不安定な気持ちの持ちようは、伝わって来たように思う。周りから生かされている人生の不思議に気がついたようで、でもやっぱり自己本位だったり。
北欧らし
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マイスモールランド(2022年製作の映画)

4.0

クルド難民が不法に日本で暮らす悲劇を描いて、実に切ないドラマのはずが、何処か瑞々しい気持ちの良さを感じる。ティーンエイジャー達の前進しようと見つめる眼差しが、その原動力で、本作品の魅力だ。現在の日本で>>続きを読む

鬼火(1963年製作の映画)

3.5

スターチャンネルex
日曜日の朝からこんなものを観てしまった。虚無と焦燥感に包まれるモーリス・ロネ。ルイ・マルは何時もラストに余韻を残す。今作も鮮やかに終わった。

コレクティブ 国家の嘘(2019年製作の映画)

3.5

Amazon Prime Video
国家の嘘を正面から暴いて、面白いドキュメンタリーだった。一人称で語らない国家権力など、信じられる筈もない。これはルーマニアだけの話ではなく、今の日本にだって、多か
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セイント・モード/狂信(2019年製作の映画)

3.5

Amazon Prim Video
英国では高評価だった怪作。エクソシストのようで、奇跡の海のようで、仮面ペルソナのようでと、次々と映画の記憶が甦る。宗教の欺瞞が社会問題化して久しい昨今、狂信から悪魔
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あなたと過ごした日に(2020年製作の映画)

3.0

ある家族のドラマ。全くピリッとせず、凡庸であった。あの大袈裟なクライマックスを見せられては興醒めだな。医師としてマクロな視点で人々に尽くす姿が、社会の安定に繋がらないのが、失礼を承知で記せばいかにもラ>>続きを読む

グレイマン(2022年製作の映画)

3.0

Netflix
荒唐無稽とも言えるアクション大作を配信で、65型のdisplayで観る。映画ファンとしてこれで良いのだろうか?と自問しながらも、一気に観た。何も心に残らないが、世の喧騒を忘れて楽しむ。
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