大鳥涙さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

大鳥涙

大鳥涙

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福田村事件(2023年製作の映画)

4.0

現在に置き換えても良い。戦時中でも通じる。ハンナ・アーレントが述べた‘悪の凡庸’の本質を観たように思う。後指さされても堂々としている東出のように在りたいものだ。
日本の劇映画では久しぶりに、本気の咆哮
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プレステージ(2006年製作の映画)

4.0

Amazon Prime Video
3D映像を使わずに多様な空間表現を駆使出来るノーランだが、更に凄いのは時間軸を変換させる巧さを作品に忍び込ませていることだ。だから一回の鑑賞ではモヤモヤ感が晴れず
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ウーマン・トーキング 私たちの選択(2022年製作の映画)

3.5

最近増えてる実話ベースの物語。とんでもない世界が、未だ未だ世界中にあるということ。貧弱なようだが、相応に成熟している日本を思い、ちょっと安堵する。
と思っていたら、芸能界が...

CLOSE/クロース(2022年製作の映画)

3.5

レオの表情が雄弁にドラマを語るんだけど、何せフランス人のマインドが私と違うためか、ストレートに感情移入できず残念。丁寧に、じっくりと、少年の心の揺れを描いていたと思う。もっと遠景も入れて欲しかったかな>>続きを読む

エリザベート 1878(2022年製作の映画)

3.5

有名なエリザベートの苦悩を、現代感覚で軽やかに切り取って描写した。クライマックスなんて、昨日あそこで撮ってきたよとでも言えそうな画だ。現代の女性像と容易に重ね合わせられる、このスタイルが興味深い。デジ>>続きを読む

戦慄の絆(1988年製作の映画)

3.5

クローネンバーグ繋がりで新作に関連して久方振りの鑑賞。
真っ赤な術衣を纏った外科医の印象が兎に角鮮烈なのだが、物語は自我のあり方を描いているようで、でも曖昧に何となく誤魔化されていく...

クライムズ・オブ・ザ・フューチャー(2022年製作の映画)

3.0

クローネンバーグの作品って、何か意味ありげな隠喩を含んだ設定と語りなんだけど、後々良く考えると実は浅はかでスカスカなんだよなあ。肉体とメタルの融合、痛みが導く快感と芸術性みたいな荒唐無稽なものを、圧倒>>続きを読む

病院へ行こう(1990年製作の映画)

3.0

WOWOW
何度か観た薬師丸ひろ子主演のコメディを再鑑賞した。未だ未だ野暮ったい女優で、滝田洋二郎なら、もっとコケティッシュな魅力も出せたように思うけど... まあ当時の風情かなあ。間男のラストにこの
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エドワード・ヤンの恋愛時代 4K レストア版(1994年製作の映画)

3.5

近代都市では個の自由があり、整備されたインフラの下、束縛されない生活が謳歌出来る。でもこれは錯覚で、所詮人どうしの繋がり無しで生きていけないのが社会。その時、実だけを通して繋がるのは危うく、虚も交えな>>続きを読む

帰れない山(2022年製作の映画)

3.5

期待に期待を重ね、敢えて機上でもスイッチを押さず、スクリーン鑑賞まで待った。スランダードサイズの画面に映る山々は最高に美しい。でもキメキメの画が続いて、まるでMVみたいな気がした。かつて白井佳生さんが>>続きを読む

ミッション:インポッシブル3(2006年製作の映画)

3.5

Amazon Prime Video
洋上の橋の上での戦闘シーンが出色のアクションだった。最新作のMIまで続くドラマの原点を見る作品。
ランボルギーニが...
夏の1週間でMIシリーズを逆回転させて、
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リボルバー・リリー(2023年製作の映画)

3.0

シノプシスは面白いのに、あまりに荒唐無稽な意匠と、それを補えない緩いアクション演出にガッカリした。綾瀬はるかにパンツかスリット入りのスカートを履いてもらって、軍人に蹴りを入れるぐらいして欲しいものです>>続きを読む

ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル(2011年製作の映画)

3.5

Amazon Prime Video
レア・セドウがクールビューティーなアサシン役で、この作品以降ずーっと推しなのだ。本作はBMWも格別かっこいいのだ。演出のイマイチ部分を補うサイドメニューを楽しむM
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ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション(2015年製作の映画)

3.5

Amazon Prime Video
MIを最新作からリバースして観る。お話が繋がっているのね。スクリーンと違って、ストーリーや人間関係に目が行きやすい。
この監督は高所や閉所が大好きなんだと確認した
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過去のない男(2002年製作の映画)

3.5

Amazon Prime Video
予定調和的なストーリーだが、ラストは幸福感に包まれる。北欧の透明な空気が映像をシャープにして、フォトジェニック感が抜群だ。

コントラクト・キラー(1990年製作の映画)

3.5

MIとかインディとか観ていたら、こんなミニマルな世界に触れたくなるもの。贅肉をそぎ落として、ある男の心理をコミカルに追う。こんな得体の知れない話から、そこはかとなく立ち上がる人の哀れや幸福が伝わり、ド>>続きを読む

裸足になって(2022年製作の映画)

3.5

虐げられる女性の咆哮を描くと何処か独りよがりな意匠になりがちだが、本作は美しい創作ダンスにに昇華させて心に響く。芸術は世界を変えることが出来るということ。途中のドラマ部分が雑な感はあるが、中々の佳品。

ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023年製作の映画)

3.5

007はゴージャスな欧州、MIはスマートな米国と感じていた。今作も変わらず、アクションはよりダイナミックとなり、長編ながら息もつかせない。欲を言えばスマートなスパイ・サスペンスの部分が足りなかったかな>>続きを読む

サントメール ある被告(2022年製作の映画)

3.5

ドキュメンタリー畑出身らしい新鋭の大変な力作なのだが、あまりに画が単調過ぎて、物語の深みにハマっていけないきらいがある。
打破困難な人種や性差による壁を描き、さらに切っても切れない血の連鎖(キメラ!)
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

4.0

作家が抑えなく心情を吐露すると、新進気鋭が撮ったような軽やかな意匠になることが多い。本作もそんな感じかな。
宮崎駿は躍動感と寂寥感がハーモニーを奏でるところが好きだった。今作は音が外れている部分もあっ
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インディ・ジョーンズと運命のダイヤル(2023年製作の映画)

3.0

レイダース失われた聖櫃は、その後量産されるこのジャンルの作品の原点だった。あのクライマックスの荒唐無稽ながらも圧倒的な迫力と爽快感が忘れられない。
本作にはそんなカタルシスが無かった。残念だなぁ。

Sun and Concrete(英題)(2023年製作の映画)

3.0

On the way from Munich
微妙なティーンエイジャー達が、ふっと悪に染まっていく。ブレーキの効かない暴走列車のようだ。列車の燃料たる家族背景が何とも切なく、かつて暮らしたベルリンの街
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ハンナとその姉妹(1986年製作の映画)

4.5

On the sky to Munich
アレンの作品で一番好きだ。機上で見つけてつい観てしまった。
幸せに溢れるラストが素晴らしいなあ。

最悪な子どもたち(2022年製作の映画)

3.5

On the sky to Munich
虚と実の境界が不明瞭になっていく瞬間がある。真を実存に求めた時、本作の主人公たる少年の眼が雄弁だった。
カンヌ映画祭「ある視点」部門の受賞作なので、是非劇場公
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ヴィレッジ(2023年製作の映画)

3.0

Netflix
陰湿な地方の風土を描く作品は、古今東西で制作されてきた。その系譜に環境問題を落とし込んでいるようだが、雰囲気描写に流されて説得力に欠ける。この監督の何時もの作風で、散漫なドラマだと思う
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カード・カウンター(2021年製作の映画)

3.5

贖罪をテーマに、シュレーダーが描く硬派なドラマ。この人の世界はずーと変わらないなあ。ちょっと一本調子になっちゃうところもあるけど、端正な画造りは好感がもてる。

遙かなる帰郷(1997年製作の映画)

3.6

Amazon Prime Video
やっと観れた!公開から何年経ったのかな。
フランチェスコ・ロージって、初期の作風からどんどん変わっていく。晩年は優しく柔らかくなっていく。人の顔のアップを堂々と撮
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

3.0

睡魔に襲われレビュー出来ず。情け無い。きっと良い映画なんだろうけど、五感を研ぎ澄ませて見始めないと駄目なんでしょう。
いつか観なおそう。

怪物(2023年製作の映画)

4.0

不寛容な社会に幸せは訪れない。作り手の優しさが孤独な魂に寄り添い、自由へと導いてくれる。仄かながらも希望を感じさせる脚本に拍手。晩年の坂本龍一が求め与えた博愛が、作品に乗り移ったかのようだ。

EO イーオー(2022年製作の映画)

3.0

21世紀の「バルタザールどこへ行く」。耳障りな音や映像の点滅は、人間の嫌な面を直感的に感じさせ、デジタル時代の演出らしいなあと思う。尤も、私は好きではないけど。
EOは愛らしく、愚かな動物の筈のロバが
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未来を生きる君たちへ(2010年製作の映画)

3.5

WOWOW
暴力の連鎖を自己犠牲で断ち切ろうとするが、その壁は途轍もなく高い。性善説と性悪説がせめぎ合うストーリーにハラハラしつつ、でも意外とラストは甘かった。
未見だったスザンネ・ビア監督作品。もっ
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TAR/ター(2022年製作の映画)

4.0

骨太なドラマを堪能できた。まさに「盛者必衰の理をあらはす」の意をTARの生き様に描き、それはまた我々も程度の差こそあれTARになりうる戒めでもあった。今やケイト・ブランシェットは大女優だ。今年の観るべ>>続きを読む

時の翼にのって/ファラウェイ・ソー・クロース!(1993年製作の映画)

3.5

Amazon Prime Video
ロードムービーに代表される魂の放浪はヴェンダース作品の核心で、それは実存主義に立脚していると感じている。ベルリンを見つめていた天使たちが、地上に降り立って人間にな
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情事(1960年製作の映画)

3.5

Amazon Prime Video
学生時代は全く解らなかった愛の不毛だが、今回も決して理解したとは言い難い。けれども、寒々とした地中海の風や、表裏一体の人の世を想起させるラストの構図なんかから、絵
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せかいのおきく(2023年製作の映画)

3.5

這いつくばって生きる人々が、それでも苦渋な人生を笑い飛ばして、遂には小さな幸せを引き寄せる。力強い生き様を、敢えて声高に叫んでいない脚本と、未だ若い部類に入る役者3人の演技に拍手だな。
笠松則道の静謐
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死刑執行人もまた死す(1943年製作の映画)

4.0

Amazon Prime Video
解りやすい表現主義の演出で、ナチスへの怒りを示した。ユダヤ人のフリッツラングが戦時中に撮った意義は大きく、史実と異なっていても、伝わるメッセージに説得力がある。こ
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