柏エシディシさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

柏エシディシ

柏エシディシ

映画(2010)
ドラマ(63)
アニメ(0)

テルマ&ルイーズ(1991年製作の映画)

4.0

4K版にて。
最高ですね。問答無用の傑作。
"女性の映画"隆盛の近年においてその存在感が改めて大きくなってきていたテルマ&ルイーズ。
このタイミングでのリバイバルの必然。
そのテーマの先進性と今なお色
>>続きを読む

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

3.0

才能はありながらなかなか世間に受け入れられない純文学作家セロニアス"モンク"エリソン。
エージェントからは「君の作品は黒人っぽくないから」などと言われてしまう始末。
やむない事情により、ステレオタイプ
>>続きを読む

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

3.0

「ケイコ目を澄ませて」が本当に素晴らしかった三宅唱監督の新作。
「ケイコ」は本当の意味で「見る」という事はどういう事か考えさせられた作品だったが、本作は目で見えるものだけでは推し量れない人のそれぞれの
>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.0

これは見事な映画だ。
フランスの雪深い山荘で男が転落死し、はじめは事故だと思われたが、やがて人気作家の妻の犯行が疑われる。
裁判を通して夫婦の秘密や確執が明るみになり、"真実"が錯綜する。
そして、裁
>>続きを読む

籠の中の乙女(2009年製作の映画)

3.0

ヨルゴス・ランティモスの名前が日本の映画ファンに最初に認識された作品じゃないかな。
「哀れなるものたち」からの復習編。
冒頭から何の説明もなく、ある家族の日常が淡々と映し続ける。
が、この家族どこか…
>>続きを読む

ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)

2.0

昨年劇場で見逃してしまったヤツ。
実在のエクソシスト、ガブリエーレ・アモルトをラッセル・クロウが演じたホラー映画。
ヴェスパに跨って颯爽と走るラッセル・クロウのスチールのカッコヨ面白さとSNSでの局地
>>続きを読む

宇宙大征服(1968年製作の映画)

3.0

アポロ月面着陸の前年1968年公開、人類初の有人月面着陸計画を描いたヒューマンドラマ。
当然、まだアポロ計画成功前であるから、宇宙船の外側の映像も無く、宇宙服や月面の描写等の考証も怪しい地味な作劇だが
>>続きを読む

コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)

4.0

原題はQuiet Girl
彼女の行く末に希望と祈りを込めたような邦題も素敵だ。
家族や姉妹たち、学校。たくさんの人達に囲まれていても何処にも自分の居場所がない。
黙り込む事で自分を守ってきた少女が、
>>続きを読む

ブレイキング・ニュース(2004年製作の映画)

3.0

「ジョニー・トー漢の絆セレクション」にて。
ぃやぁぁ〜、面白いよねぇ。
「大事件」と画面一杯に出るタイトルロールの笑っちゃう程のカッコ良さよ。
冒頭の路上での銃撃戦。ワンカットの迫力。香港映画全盛期の
>>続きを読む

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.0

アリ・アスターの新作。
最近個人的に観た映画ではウェルズ「審判」、スコセッシ「アフターアワーズ」を想起させられた所謂"地獄巡りツアーもの"の系譜。
近年だと「アンダーザシルバーレイク」とかが好きかなー
>>続きを読む

エル・スール(1982年製作の映画)

4.0

エリセ31年ぶりの新作に向けて予習復習。
以前は、なんだかわからないな、「ミツバチのささやき」の方が好きだな、なーんて思っていたのだが、あらためて、こんな終わり方だっけ?すごい!ってなった。
ビクトル
>>続きを読む

瞳をとじて(2023年製作の映画)

4.0

ビクトル・エリセ、長編としては31年ぶりの新作。
映画好きを名乗る以上、観ないという選択肢はない。
そして、こちらの過剰な思い入れを越えて想像以上に"映画の映画"であった。
早くも2024年ベスト級の
>>続きを読む

燈火(ネオン)は消えず/消えゆく燈火(2022年製作の映画)

3.0

消えゆく香港のネオンサイン。
ネオン職人の夫を亡くしたばかりのメイヒョン(シルヴィア・チャン)はその失意からまだ立ち直れずにいた。そんな折、ふと訪れた夫の工房に寝泊りする若者との出会いを機に、夫のやり
>>続きを読む

愛にイナズマ(2023年製作の映画)

3.0

正直、ちょっと苦手な石井裕也監督作品。
今回は松岡茉優と若葉竜也目当てで鑑賞。

監督によるオリジナル脚本という事だが、コロナ禍における自身のモヤモヤや混乱をそのままぶつけてきた様な、やや散漫な印象な
>>続きを読む

M3GAN/ミーガン(2023年製作の映画)

3.0

昨年映画館で見逃してしまった一本。
安心安定のブラムハウス。丁度良い面白さ。
AIロボットの暴走ものとしては割と定型を出ない作劇なのに、フツーに面白い…のが興味深い。
ミーガンの男前なキャラクターや、
>>続きを読む

緑の夜(2023年製作の映画)

2.0

イ・ジュヨン目当てで観に行ったら、相手役はなんとファン・ビンビン。
小規模なインディーっぽい韓国映画になんで?と思って調べたら、最近いろいろあった様で…、異国から流れ着いた土地で男に抑圧される女性とい
>>続きを読む

小悪魔はなぜモテる?!(2010年製作の映画)

4.0

「哀れなるものたち」を観たら無性に観たくなっちゃったシリーズ第2弾。
なんだかなぁ〜な邦題はともかく、エマ・ストーンが可愛い映画不動のNo.1だと思う本作。
大好きな一本で、いつでも観られる様にスマホ
>>続きを読む

マリア・ブラウンの結婚(1978年製作の映画)

4.0

「哀れなるものたち」劇中、客船で出会い主人公ベラのメンターの様な役回りとなる老婦人が素敵だなーと思っていたら、「マリア・ブラウンの結婚」のハンナ・シグラではないか!と。
驚くと共に嬉しくなった。
マリ
>>続きを読む

ストップ・メイキング・センス 4Kレストア(1984年製作の映画)

5.0

惹句に躍る"The Greatest Concert Movie of All Time"は誇張ではない。
日本一のビッグスクリーン、池袋gdcsのIMAXレーザーGTで鑑賞。
まさにonce in
>>続きを読む

エグザイル/絆(2006年製作の映画)

5.0

「ジョニー・トー漢の絆セレクション」にて。
円盤も持っていて飽きる事なく何度も観た一本ながら、この度初めての劇場鑑賞。
自分の人生の10本には入ってくるであろう特別な映画と改めて確信。大好きな一本。
>>続きを読む

エレクション 黒社会(2005年製作の映画)

4.0

「ジョニー・トー漢の絆セレクション」にて。
香港ノワールの傑作中の傑作。
やっぱり、めちゃくちゃ面白い。
2年に一度行われる香港最大の犯罪組織の会長"選挙"
伝統を重んじ人望もあるロクか。
実力は十分
>>続きを読む

白日青春 生きてこそ(2022年製作の映画)

3.0

気骨の人、アンソニー・ウォン。
「淪落の人」に続き、香港の底辺で足掻く様に生きる、声なき声を代弁する映画。
香港という街の変化は、立ち場の弱い者から飲み込んでいく。
その変化の波は、カウリスマキの映画
>>続きを読む

ドリーム 狙え、人生逆転ゴール!(2023年製作の映画)

1.0

快作「エクストリームジョブ」のイ・ビョンホンの新作がNetflixに!と思って喜び勇んで見はじめたら………微妙……面白くなかった。
所謂「がんばれ!ベアーズ」の定型スポーツコメディなんだけれど、「感動
>>続きを読む

彼方に(2023年製作の映画)

3.0

あまりにも壮絶な経験を前にして、人はどうそれと向き合えば良いのだろうか。
きっと答えなんてない。
フィクションであるのならば、本作の結末はやや拍子抜けなほど物足りないとすら思う自分もいるのだが、きっと
>>続きを読む

ジョン・バティステ:アメリカン・シンフォニー(2023年製作の映画)

3.0

昨年の来日公演、仕事で行けなかったのが本当に悔やまれるジョン・バティステ。
つい最近まではジャズ界隈で知る人ぞ知るぐらいの立ち位置だったのに、すっかり今やポップスターの趣きだ。
彼のグラミー受賞前後と
>>続きを読む

アクアマン/失われた王国(2023年製作の映画)

3.0

面白かった。ちょっとアホっぽいけれど、コミック映画ってこんなモンで良いんじゃない?本来。
紆余屈折、迷走しつつここまできたDCEUも、やっとここにきて「ザ・フラッシュ」といい、良作が作られてきたのに店
>>続きを読む

街のあかり(2006年製作の映画)

3.0

より温もりを感じさせる物語の印象が多い新世紀以降のカウリスマキにおいて本作は、ヘルシンキの張り詰めた冷気がスクリーン越しに伝わってくる様な、初期の作品を思わせる映画。
カウリスマキが撮ると、他の映画監
>>続きを読む

雪山の絆(2023年製作の映画)

3.0

イーサン・ホークの「生きてこそ」と同じ1972年ウルグアイ空軍機遭難事故を題材にしたサバイバルドラマ。
観ているだけで息が詰まりそうなリアリティ。
夢の様な体験を味合わせてくれるのが映画ならば、決して
>>続きを読む

バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト(1992年製作の映画)

3.0

デジタルリマスター版にて。
配信にもなく、なかなか観れなかった作品なので劇場公開は嬉しい。
ニコケイ/ヘルツォークのリメイク版が大好きなんですが、オリジナルのこちらも、イイ!(というより、まったく別の
>>続きを読む

審判(1963年製作の映画)

3.0

カフカを原作としたオーソン・ウェルズの不条理劇。
銀行員のジョゼフKは、身に覚えない罪で警察の訪問を受ける。しかし、その罪状は誰も説明出来ないし、してもくれない。
訳も分からず裁判に出頭し、弁護士を訪
>>続きを読む

ラスティン:ワシントンの「あの日」を作った男(2023年製作の映画)

3.0

1963年、キング牧師のあまりにも有名な演説の舞台となり、人種差別撤廃運動の象徴となっていくワシントン大行進の実現に大きく貢献をした運動家バイヤード・ラスティン。
浅学のためその人物名と功績を知らなか
>>続きを読む

過去のない男(2002年製作の映画)

3.0

「真夜中の虹」と骨子はほとんどおんなじプロット。ただ初期の頃のカウリスマキの作品にあったひりつく様な呵責無さは明らかに後退して、新世紀以降のカウリスマキ映画は、確かな人々への信頼と慈愛が率直に表現され>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.0

先行上映にて。期待以上の傑作。
誤解を恐れずに言えばヨルゴス・ランティモス作品の中では最も判り易く開かれた作品。でも、18禁。モザイク無し。
単純にめでたしめでたし……で終わらせない最終章の顛末が、も
>>続きを読む

欲望の翼 4Kレストア版(1990年製作の映画)

4.0

最近リマスター版スクリーンで掛けたばかりじゃない?と思ったら、2017年だから5年も経ってるじゃないか…
4K対応劇場じゃなかったせいもあるけれど、4Kの恩恵は実感出来なかった。
マギー・チャンのオミ
>>続きを読む

アリ・ウォンの魔性の女になりたくて(2022年製作の映画)

4.0

「BEEF」エミー受賞おめでとう記念に。アリ!おめでとう!
Netflix配信開始時Filmarksに無かったのでレビュー出来ず、今回再見。
しかし改めて、彼女のその後の離婚発表を知ってから観てみると
>>続きを読む

伯爵(2023年製作の映画)

3.0

パブロ・ラライン。相変わらずヘンな映画撮ってて面白い。
悪名高き独裁者(しかし国内では今なお一定数の支持者もいるという)ピノチェトが、実はフランス革命ごろから生きてきた吸血鬼だったという設定のダークコ
>>続きを読む