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ボイリング・ポイント/沸騰のtkykのレビュー・感想・評価

3.9
寿司屋でホールのバイトをしている飲食店業の端くれとして、このレストランの様子の端々に「あるある」と感じた。 それと共に飲食業界に携わる人たちのプライドや業界のハードさをヒシヒシと感じた。
冒頭の開店前の検査で細かく指摘される場面からいきなり衛生管理の重要さと飲食店にかかる責任の重さが感じられた。その後も食材や料理、店の運営に対するこだわり、あらゆるトラブルがひっきりなしに描かれる。しかもそれを営業中の忙しない店内をワンショットで撮ることで見せている。それによって自分がその場にいて、ひっきりなしにイベントが降りかかっているような感覚になる。リアルタイムでシームレスであるからこそ、それらのイベントがスリリングであり、ストレスが積み重なっていく感覚にもなった。
本作は90分ワンカットが特徴であるが、それが賑わうレストランのカオスを効果的に映し出していた。
本作はアンディを中心にあらゆる人物の様子が映されるが、ある2人に関しては大きな闇を抱えていることが描かれている。それらが尻切れトンボになってしまったのは残念だった。
飲食業界の端くれとしてもっとプライドを持ってバイトしようと思った。
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