人生には救いがない。
アンデス山岳地帯で犬と羊とリャマと暮らす先住民族アイマラの老夫婦。
都会に行った息子は戻ってくることもなく、周囲に人家はなく、自給自足で生きる老夫婦が唯一外に頼るものがマッチで、そのマッチの手持ちが底をつくところからは、遅かれ早かれいずれ起こったであろう悲劇が連続して容赦なく降りかかる。
人間にも運命にも見放された2人の行く先は。。。
日本にも過疎地域があり、万国共通抱える問題かもしれない。
生きることは美しく残酷であることを突き付けられるが、
それでも下ではなく上を目指すところが、これまでの生き方を否定していないということなのかな。
最初は少しぼんやり観てしまうが、マッチのくだりからは目が離せなくなっていき、涙こそ出ないが心に鉛の様なものが沈み込み。
無音のエンドロールで席を立つ人もいなければ、終わった時もすぐに立ち上がる人もいなかった。
監督は処女作にして遺作になってしまったとのこと。(34歳の若さで残念です。)
本作、元は岩波ホール上映作品だったのが、閉館によりK'sシネマが上映を引き受けたと読みました。岩波ホールセレクトらしい考えさせられる作品でした。