とにかく主人公たちの情熱と圧倒的な音楽でゴリ押ししている作品だった。雑な部分がとても目立っていたがその粗さが主人公たちのキャラクターとマッチして気にならなくなっていたし、観終わった後にジャズを聞きたくなったのは本作の良い点だと思う。
本作の主人公は宮本大であるが実質的な主人公は彼の仲間の澤部と玉田であるように感じた。圧倒的な努力と才能と情熱を兼ね備えた超人的な宮本に対して澤部と玉田はそれらのいずれかが欠けている存在であり、そんな2人が宮本とジャズバンドを組むことによってプレイヤーとしても人間としても成長する展開が本作の醍醐味だった。
個人的には玉田に非常に感情移入できた。何か一つ真剣に打ち込めるものを求めていた玉田がジャズと出会い、圧倒的な才能の前に挫折しながらも死に物狂いで頑張る姿はストレートではあるが、非常に純粋であり胸を打たれた。そして才能の有無ではなく、必死に取り組む姿を必ず誰かが見守っている事を描いているのも感涙ものだった。
欠点としては前述の通り絵の粗さが目立っていた。特にCGになった途端に非常に違和感を感じたのは残念だった。
スラムダンクに続いて全く原作を読まずに鑑賞してみたが、スラムダンク同様に2時間の映画として上手くまとめられていたし、映画ならではの圧倒的な音楽で叩きのめす辺りに映画的な良さがあった。
