Omizu

小さなからだのOmizuのレビュー・感想・評価

小さなからだ(2021年製作の映画)
3.7
【第74回カンヌ映画祭 批評家週間出品】
女性監督ラウラ・サマーニのデビュー作。イタリア・アカデミー賞のダヴィッド・デ・ドナテッロ賞で新人監督賞を受賞した。

20世紀初頭のイタリア北東部、死産したアガタは奇跡を起こす聖地があると聞き北へと目指すという物語。

大傑作!という程ではないが、デビュー作らしい瑞々しさを感じる秀作。ミニマルながらも海辺や雪景色を美しく映し、衣装もリアリティがありつつも美しい。

女性が直面する困難と危機を描きつつ、女性の連帯、更にはマイノリティとの共鳴も描く。『ナイチンゲール』を思い出した。

またアガタは漁師の妻であり、水の女である。それがラストの「マール(海)」に効いている。

アガタはここではない場所で再び娘と再会を果たし、そしてリンシュもまた救われたのだ。

この世の果てのような雪の中の教会は素晴らしく美しい。リンシュの流す涙、アガタの満たされたような笑顔が切ない。

デビュー作にして既に語り口を確立してみせたラウラ・サマーニ監督の今後に期待!

ちなみにリンシュを演じた方は女性ではあるようだが、写真を見る限りジェンダーレスな雰囲気の方のようだ。この俳優さんにも注目したい。
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