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『Moffie(原題)』に投稿された感想・評価

GreenT

GreenTの感想・評価

3.0
1981年、人種隔離政策下の南アフリカで、徴兵された青年のお話です。

16歳のニコラスは、徴兵制度で2年間、ブートキャンプに行かなくてはならない。無口で内向的なニコラスは、他の男の子たちのマッチョさや残忍な教官などが肌に合わないが、大人しく目立たないようにしている。

面白いのは、こういう環境で若い男の子たちが集まると、必ずガキ大将みたいのがいじめを始めるじゃないですか?ニコラスは「英語を喋るヤツ」ってことで目を付けられる。

他の子が喋っているのはアフリカーンス語ってヤツらしく、全然わかんないんだけど字幕観てると “best” とか英語そのまま使っていたり、 “fuck” “motherfucker” なんてのはまんま英語だったり、要するに英語と現地の言葉が合体した言語なんだろうな。で、「多言語主義」だったらしく、他の子同士はアフリカーンス語で喋ってて、ニコラスに話かけるときは英語で喋る。

ニコラスはどうも、軍隊に入って自分がゲイであることに気づいたらしい。お父さんにポルノ雑誌もらっても嬉しそうじゃなかったから、自分でもわかっていたのかも知れないけど。しかし南アフリカではゲイはご法度らしくて、見つかったゲイの子たちはボコボコにされ、みんなの晒し者になって「moffie! moffie!」と罵倒される。moffie とは、faggot(ホモ野郎!みたいなゲイを蔑む言葉)って意味らしい。

ゲイってバレるとWard22と呼ばれる精神病院みたいなところに送られ、治療と称して薬物の実験台にさせられたりするらしい、って男の子たちがウワサしているんだけど、後で調べたら、この頃の南アって、ゲイでも徴兵から省かない、だけど軍隊に来てからゲイだからって理由でWard22に送るということをしていたらしい。

「〜らしい」って連発しちゃうけど、この映画はいわゆる戦争映画でありゲイ映画なんだけど、どちらもすっごい淡々としている。銃撃戦も肉片吹っ飛ぶ爆撃もないし、ゲイ・セックスもない、すべてが「ニュアンス」ってやつ。すっごい「アート映画」っぽい。あと、人種差別も描かれるけど、それも淡々としている。だから「ああ、多分こういうことなんだろうな」って感じになっちゃう。

原作を書いた人も監督も、南ア出身のゲイの男性で、この映画で描きたかったのは、ゲイに対する弾圧をしたり、アパルトヘイトをしたり、そういう差別や偏見に満ちた政府のために従軍させられる若者の気持ちなんじゃないかって感じがした。

iMDb には、「監督のオリバー・ハーマナスって人は有色人種なんだけど、この映画は特に白人の若者たちに焦点を当てた」って書いてあって、それも興味深いなって思った。南アって特に、少数派の白人が大多数の有色人種を支配する国だったと思うんだけど、そんな国で有色人種として育って、だけど敢えて「支配階級である白人の男の子たちは、どんな気持ちだったんだろう?」って思ってこの映画を作ったのかなあ。

過酷なブートキャンプとの対比で、オフの時ニコラスが仲良くなった男の子と『シュガーマン』の歌を歌ったりするシーンは、初々しくていい。

シュガーマンのドキュメンタリーがめちゃくちゃ面白かったので「あ!シュガーマンだ!」って思った。やっぱ南アでの人気は相当なものだったのね。
CHEBUNBUN

CHEBUNBUNの感想・評価

3.5
【黒澤明『生きる』をリメイクしたオリバー・ハーマヌス監督が描く群の中のネズミ】
黒澤明『生きる』のリメイクがもうすぐ公開される。日本では、脚本を手がけたカズオ・イシグロが注目されているが、実は監督は南アフリカ出身でそれがより一層このリメイクを異様なものにしている。そして、この南アフリカ出身の監督オリバー・ハーマヌス監督がいかに難しいテーマを丁寧に、そして大胆に描いてきたかはまだ日本では知られていないように思える。人種差別と同性愛嫌悪を公言している男が、実は同性愛者で、その葛藤が暴力性を生み出していることを描いた『Beauty』は、思わず背筋が凍ってしまうような場面の連続で強烈な作品だった。

『Moffie』でも同性愛をテーマしていると小耳に挟んだので観たのだが、これまた強烈な作品であった。

青年は兵役のため、列車に乗り込む。狭い車内で、ゲロを吐く者、騒ぐ者、酒を飲む者入り乱れる。しかし、列車が停まると、一斉に男たちが窓から身を乗り出し、罵声を浴びせる。青年は窓の外を覗く。そこには黒人男性がいた。アパルトヘイトの時代。ターゲットとなった黒人は、白人たちによる罵声の餌食になったのだ。仕舞いにはゲロ袋を投げつけられてしまう黒人。青年は傍観者として見つめるしかなかった。

しかし、傍観者であった彼は当事者になりかける。兵役中は、ひたすら訓練を繰り返す。ようやく訓練が終わると、兵士たちは部屋で殴り合いをしたり、上下関係を見せつけるようなマウントを行ってくるのだ。青年に攻撃的な眼差しが注がれる。しかし、ここで自分が同性愛者だと分かると大変なことになってしまう。青年はひたすら沈黙し、目の前を生きる。思索・回想すること以外はほとんど聖域がない状態で彼はひたすら耐える。

絶景、美しい音楽を対位法として用いて息苦しさを増幅させる演出が特徴的となっている。

『Beauty』の場合、自身の同性愛を否定するように加害に走る男を描いていたが、本作では内に閉じ込めておく男が描かれている。まさしく、蝶番な関係となっている作品であった。どちらもびっくりするぐらい怖いシーンがある。『生きる LIVING』ではどんな、驚きのシーンを入れてくるのか楽しみである。