けーはち

大麻と金と宗教~レバノンの“ ドラッグ王 ”を追う~のけーはちのレビュー・感想・評価

3.5
TBS製作、説明的タイトルでTVの1h特番感あるもののTBS中東支局長・須賀川拓の体当たり取材が凄いドキュメンタリー。カルロス・ゴーンが逃亡先の邸宅を吹っ飛ばされたベイルートの事故が記憶に新しいレバノンだが、広島原爆の約1/20規模の爆発の責任を問われた政府は新型コロナの流行もあり大ピンチ。そこで医療用大麻を認可し財源にする法案が上がる(現在では晴れて合法化された)。本作ではレバノンの裏の一大産業となる大麻流通・栽培の実態調査、さらに大麻農園主や、元締の麻薬王への取材を敢行する。シーア派の武装組織ヒズボラが力を持つ地域で「麻薬産業やってるぜ~」とは言えない建前と裏腹に、大々的に広がる大麻畑、羊を放ち雑草を食わせる牧歌的な光景、ナンバープレートのない売人の車、白亜の豪邸など、かなりシビれる実態が報告されている。麻薬王は流石に顔を出さないが、売人は気さくに取材に応じ、乾燥大麻山積みの倉庫を見せてくれるカルチャーギャップが面白い。