Hiroki

オペレーション・フォーチュンのHirokiのレビュー・感想・評価

3.7
最近謎にやる気を出しているガイ・リッチーの最新作。
北米のタイムラインだと『アラジン』2019/5→『ジェントルメン』2020/1→『キャッシュトラック』2021/5→『オペレーション・フォーチュン』2023/3とほぼ4年で4本。
しかもガイ・リッチーは自分で脚本も書く系(共同が多いけど)の監督なので脚本にも全て関わっているし、なんなら製作にも2作品は入っている。
さらに恐ろしいのはこの後ジェイク・ギレンホール主演『コヴェナント/約束の救出』が2024/4公開(北米以外はアマプラ配信予定)、2024年中にヘンリー・カヴィル主演『The Ministry Of Ungentlemanly Warfare』も公開(こちらも北米以外はアマプラ配信予定)。
さらにさらにTBAにアラジンの続編『Aladdin 2』とディズニーアニメ『ヘラクレス』の実写リメイク『Hercules』の2作品がある。
もー引退するのかというくらいの詰め込み具合。

『アラジン』後は『ジェントルマン』『キャッシュトラック』そして今作と原点回帰のような作風になっているガイ・リッチー。
来年の2作品も基本はスパイアクションモノみたいなので、ディズニー実写で一般層を狙い、それ以外は自分のやりたい(得意分野の)スパイアクションモノでニッチ層を狙うという感じなんですかね。
さすが戦略家。

上記の通りなので興収的にはイマイチ。
それにしても全世界で約0.5億ドル(約71億円)北米ではわずか650万ドル(約9億円)にしかみたない。
製作費が0.5億ドルみたいなのでBox OfficeBomb。
これガイ・リッチー人気の高い本国イギリスではアマプラ配信で映画館にかかってないのもあるみたい。
なので配信の利益でまた変わるかもしれないが。
それにしてもガイ・リッチー×ジェイソン・ステイサムで北米650万ドルはさすがに...
ちなみに最も興収が高いのはロシアの約0.1億ドル(約14億円)。敵の組織がウクライナだからなのか...

ということで本編ですが、最近目立っていた初期ガイ・リッチー特有の凝ったおしゃれ演出は控えめで、ブラックコメディが強調された王道のスパイ・アクションモノという感じ。
過去作でいうと『コードネーム U.N.C.L.E.』的なイメージ。
こちらも王道スパイ・アクションといえばの世界中を飛び回って各地の美しいロケーションを見せる演出も多数あり。
特にトルコは美しかった。

まー全体を通して悪くないのだけどなんというか華がない。
数多あるスパイ・アクション大作と比べてしまうとアクションの規模も小さいし、キャストを含めたゴージャスさも物足りない。
これポストクレジットでジョシュ・ハーネット演じるムービースターのダニーが撮影中に「爆発がショボい!VFX!」みたいに叫ぶシーンがあって、近年のアクションを揶揄している感じもあるけど。
まーでもこのタイプの映画はやっぱりそこを観に行くのでねー。
しかもじゃあ脚本に捻りがあるかと言えばそれも今ひとつ。
仲間の裏切りとか何か終盤で大きな仕掛けがあればそこで楽しめたのかもしれないが、そこはストレートに終わっていってしまった。

キャストもステイサムとガイ・リッチー作品常連のヒュー・グラントはさすが!
さらにコメディリリーフ的な立ち位置のジョシュ・ハートネットが良いスパイスになっている。
ただそれ以外が...
特に途中ずっと邪魔をしてくるモブから最後ラスボスになるマイク役のピーター・フェルディナンドとヒロイン的な役回りのオーブリー・プラザがいまいち。
ここにもうワンランク上のキャスティングができていれば全体の印象も変わったかも。
なんかでもこの華のないキャストは続編をやるための感じもする。
上記の『コードネーム U.N.C.L.E.』含めキャストを豪華にするとどーしても続編やるのが難しくなるので。ただ(『コードネーム U.N.C.L.E.』はアーミー・ハマーの問題が大きいと思うが。)
しかしこの興収的にどーなのだろうか?
続編やっても余程の事をしないと大ハネはないような...

まーでも結局ガイ・リッチーファンはもっとバッチバチに決めた映像が観たいし、ステイサムファンはアホみたいに相手を倒しまくる姿が観たいような気がするけど。

2023-65
Hiroki

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