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オッペンハイマーのモのネタバレレビュー・内容・結末

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

やっと観れました。ノーランらしく時系列ごちゃ混ぜだけどモノクロとの描きわけでわりと見やすかった(この分け方はつい最近他作でも見たね)。180分もある大作なのに驚異的な引力で集中を切らさずにいられる、個人的に間延び感を本当に全く感じなかった。後半にかけては特に投下までのアプローチとなるトリニティ実験や投下後のシーン、国民と同じようにラジオでその惨状を聞き知るオッピーなど嫌悪感の走る場面も多く、直接的には描かれていないにしろ要素で日本がどんな姿だったのか頭の中で描け過ぎて自分がしっかり日本人なのだと思い知った。オッペンハイマーという人物は物理学者の第一人者であることに加え政治的な面においても秀でていたことがよくわかる。この作品では彼を英雄でも罪人でもどちらに寄ることもなく中立の立場で描いており、この件の擁護ではないけど科学者たちの扱いを見ていると、専門機関以外は純粋にある物事を追究することを主としている人たちは政治とは分離した立場に置くべきだとつくづく思うよ、難しいんだろうけど。彼はあまり感情に大きな起伏のないタイプに見えたので、聴聞会で詰問され当時の場面を思い出すような爆発の光線と心に荒波が立つように彼の後ろに据える棚がガタガタと震える演出で、苛立ちやどうしようもなさを表現していたのが印象的だった。あとピューちゃんの身体を張った演技についてはあそこまで必要だったとは思わない。そこ以外でも十分、一役買ってくれていた。で、助演男優賞の彼は顔を見る度にどうしても授賞式での姿が浮かんでしまって、俳優を役で見ればいいとわかってはいても複雑な感情がちらついてしまうものだね、かなしい。あとアインシュタインとのやりとりがかなり好きだった。
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