あつし

オッペンハイマーのあつしのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.1
「我は死なり 世界の破壊者なり」

去年の夏頃に"Barbenheimer"の一件で日本での公開が危ぶまれたが、無事日本で公開してくれたことに感謝しかない。

本作は、ネタバレ云々という考えはないと思ったので、あらかじめ本編やキャラクター解説、量子力学の知識なども予習して鑑賞に臨んだ。(NHKで放送された「映像の世紀バタフライエフェクト」という番組のオッペンハイマー特集も見た。)

誰もがオッペンハイマーが原爆を作るまでの過程がメインに描かれると思っていただろうが、物語の主軸としては、1954年の"聴聞会"と1959年の"公聴会"という、むしろ原爆を作った後のエピソードがメインでストーリーが進んでいったのも驚き。

共産主義の疑いや機密情報保持に関して、深く言及しており、スパイ映画的側面も強く、原爆を作るまでのエピソードはそれらに繋がる過去の出来事として据えられている。

"マンハッタン計画"と銘打って、天才科学者たちが一堂に会するの科学界のアベンジャーズ感あってすごい。
実際、ノーベル賞を受賞した優秀な科学者ばかりだとか。

"トリニティ実験"の爆破シーンは圧巻すぎた。

実は、1960年にオッペンハイマー自身が来日しているという事実もあるんだよね。

まさに"良心の呵責"をテーマに落とし込んだ内容で、原爆を作るうえで、科学者としての興味関心や、国を守るための大義を掲げながらも、結果として兵器を作り上げてしまったことに対する葛藤の描き方が絶妙だった。

キリアン・マーフィにかっこいいイメージなかったが、本作でイケおじのイメージが定着した。
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