ころん

オッペンハイマーのころんのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.3
オッペンハイマーの半生を3時間で追体験する濃密な時間。
IMAXレーザーGTで観たこともあり、映像の迫力、低音を中心とした音の圧もすごく、とても刺激的な映画体験だった。

国のためにという建前で知的好奇心を満たしながら仲間達と研究していた時間はどれだけ楽しい日々だったのだろう。圧倒的な力を示せば争いはなくなると夢みたいなことを考えていたけど現実はそう甘くはない。人間はどこまでも愚かで自分を守ることしか考えていなかった。
原子爆弾が投下され現実を思い知り、水爆に反対意見を持つようになる。同時にスパイ疑惑をかけられるなど、自身の研究成果に苦しめられるだけでなく周囲の人々からも攻撃の対象となっていく。

ノーラン作品らしく複数の時間軸が同時に進んでいくけど、それらによるトリックや困惑させる演出は特になく、結末がわかっているからこそ観てて辛かった。時間の不可逆性がこれでもかと映されている。原爆についての映画というよりは人間の危うさ、人間が集まり集団となった時の怖さが印象に残る。
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