迫り来る音楽と音響、畳み掛ける編集、圧倒的な迫力
今日も戦争が繰り広げられ核兵器をチラつかせる現代、ラストシーンでズラリと並んだ核ミサイルが暗澹たる気持ちにさせる
どうか使われることがないようにと祈らざるを得ない
そんな時代に今作が作られた意義は大きいと思う
広島や長崎の惨状は映されないが、黒焦げになった死体の幻想シーンに『作ってしまった』オッペンハイマーの苦悩が滲む
実験場から運び出される原爆を見送りながら『おいおい、本当に使うのか?』と言ってるようだった
核実験成功ではお祭り騒ぎとなるが、純粋に科学者としての知的興奮なのだろう、だがそれを人間の上に落とす選択、なんと人間とは愚かなのか…
戦争の終結を早めたのかも知れないが、脅すためなら日本近海の無人島にでも落とせば充分脅しになったはず
わざわざリトルボーイとファットマンの二種類の原爆を作り都市部に投下、実験として落としたとか思えない愚行だろう
見ていて楽しい映画ではないし、日本人として辛いし何回も見たいかは疑問、されど迫り来る映像表現、出演者の鬼気迫る演技は屈指の一本
やっぱりノーランは凄い