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オッペンハイマーのまるまるまるのネタバレレビュー・内容・結末

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

前半から詰めたサイズの狭い画が多くて、実験に向けてアップを多用しているが、窮屈な感じは一切感じず、オッペンハイマーの一人称で彼の心情がくっきりと伝わる。時折入るワイドな映像と、ただのフィックスのカットバックではなく、動きをフォローするカメラワークも完璧で、スリリングにギリギリ合わせてくるピントも観るものに緊張感を与えていた。映像はほぼ完璧と言っても良かったのではなかろうか。それゆえにロスアラモスでの成功演説までは素晴らしかったが、赤狩り以降の展開があまりにも有名な話で、名誉回復までの結末がわかっているだけに、というか、ロバートダウニーJr.演じる個人的感情からオッペンハイマーを追い込む男の執念の描き方が入り込めなかったのもあり、いたずらに長すぎて正直辛かった。そもそもあの視点は必要だったのかな〜なんて考えてしまうが、ノーラン自身はもしかしたら人間には好奇心という罪と感情的という危うさの二つの側面持つ生き物の特性があることを描いていたのかも、、、。でも本当、ノーランだからこの長く平坦な映画をダイナミックに魅せきれている。カット割や美術や構図は勿論のこと、今回も編集と音が完璧だと思う。この卓越した映像センスには毎回脱帽。
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