想像以上に面白かった。
3時間ほぼ会話劇。普通ならダレそうなのにテンポの良さと音楽で最後まで引き付ける辺りはさすがノーラン監督。
これまで同様、時系列もいじられてる。
前評判通り、登場人物や当時の時代背景を知ってないと「?」になる場面も多い。それでも見ちゃうからやっぱり凄い。
第二次世界大戦、冷戦、赤狩り…本作はオッペンハイマーを通してアメリカの歴史を紐解いていく映画でもある。そこら辺もアメリカでウケた理由の一つなんだろう。
原爆への描写に関してはどう描いても賛否はあるんだろうけど、自分は真っ当に感じた。
広島・長崎の状況を描いていないって批判もあったけど、ノーランの作風だと描かないと思う(ダンケルクとかもそうだったじゃん)。
被爆で顔が焼けただれていく女性をノーランの娘が演じているという情報も見かけたけど、それが本当ならそうしたところにもノーランの意志みたいなものも感じられる。
オッペンハイマーを演じたキリアン・マーフィーの演技も素晴らしかったし、アカデミー賞での振る舞いが話題となったロバート・ダウニー・Jrもさすがの演技力。
ストローズの存在によってオッペンハイマーの人物像もより多面的になっていた。後、フローレンス・ピューもカメレオン俳優だね。
期せずして世界を変える発明をしてしまった男の功罪。
オッペンハイマーがプロメテウスならヘラクレスは誰だったのかな。