このレビューはネタバレを含みます
国を持たない民族クルド人の難民一家の物語。
埼玉県川口市にはクルド人の大きなコミュニティーもあり、建設の解体現場の主戦力として働いている人も多い反面、治安面の不安など社会問題化しているということを、地方都市に住む私は恥ずかしながら改めて認識しました。
父と妹弟を支える長女として、そしてコミュニティーの通訳としての役割を期待され献身的に応えるサーリャ。
家族4人ささやかながら、暮らしているなか難民申請が不認定となり、人生が一気にハードモードに突入。
ビザがないと、この国で生きる術を全て奪われる。
就労が許されない仮放免。
生活のための不法就労が見つかり、大黒柱の父親が入管に収容されていよいよ生活が崩壊。
思い描いていた大学進学への道も閉ざされ、進学のためにコツコツと働いていたコンビニのアルバイトもクビ、進学用の貯金も生活に消え、、、
生活のために試してみたパパ活もトラウマに。
身も蓋もなく厳しく切ない展開。
収容所のガラス越しで聞く父のクルド語の切なる祈り🙏
顔を洗い鏡の前で唱えるサーリャの決意にも似た祈りの眼差し
見事なまでの幕引きでした。
サーリャ演じるリナ・カーフィザデーが自然態で素晴らしい。父親、妹弟の演者も実際の家族だからこそ、とってもリアルな存在に感じました。
監督・脚本:川和⽥恵真
本作が商業映画の監督デビュー作とは俄かに信じられないほど、とっても素晴らしい作品でした。