係長心得

マイスモールランドの係長心得のネタバレレビュー・内容・結末

マイスモールランド(2022年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

国を持たない民族クルド人の難民一家の物語。

埼玉県川口市にはクルド人の大きなコミュニティーもあり、建設の解体現場の主戦力として働いている人も多い反面、治安面の不安など社会問題化しているということを、地方都市に住む私は恥ずかしながら改めて認識しました。

父と妹弟を支える長女として、そしてコミュニティーの通訳としての役割を期待され献身的に応えるサーリャ。

家族4人ささやかながら、暮らしているなか難民申請が不認定となり、人生が一気にハードモードに突入。

ビザがないと、この国で生きる術を全て奪われる。

就労が許されない仮放免。

生活のための不法就労が見つかり、大黒柱の父親が入管に収容されていよいよ生活が崩壊。

思い描いていた大学進学への道も閉ざされ、進学のためにコツコツと働いていたコンビニのアルバイトもクビ、進学用の貯金も生活に消え、、、

生活のために試してみたパパ活もトラウマに。

身も蓋もなく厳しく切ない展開。

収容所のガラス越しで聞く父のクルド語の切なる祈り🙏

顔を洗い鏡の前で唱えるサーリャの決意にも似た祈りの眼差し

見事なまでの幕引きでした。

サーリャ演じるリナ・カーフィザデーが自然態で素晴らしい。父親、妹弟の演者も実際の家族だからこそ、とってもリアルな存在に感じました。

監督・脚本:川和⽥恵真

本作が商業映画の監督デビュー作とは俄かに信じられないほど、とっても素晴らしい作品でした。
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