人生の節目を切り取り、美しく繋げると映画になる。どこか既視感があるなと思ったらダニー・ボイルの「スティーブ・ジョブズ」だった。
時間を上手に使った演出がとてもインテリジェンスで面白いが、なんでもない市井の人々それぞれの想いを細やかに描写しているのがまた良い。
恋愛は心の一番へたくそな部分を露わにする。あの人もこの人も生きている。みんな同じ時間を過ごしているわけではない。
一番印象的だったのが、東京オリンピックあたりの描写。世のドラマが目を背けてきたコロナ禍の景色をきちんとした意味を持って描いていた。
マスクをし、消毒をし、世の中が変わったことをボヤく、今みても既に懐かしい風景となっており、私たちがいかに異常な数年を過ごしたかを思い知らされた。
