岩波ホール 28人/192席
105歳になるオーストリア生まれでザルツブルグに住むマルコ・ファインゴルト。ユダヤ人である。
その彼のモノローグ。そこに時折、戦時下のニュースやヘイトメールなどが挟まる。
・オーストリアへのナチスの侵攻には市民は大歓迎だったことや当地の警察がユダヤ人狩りを率先して手伝っていたこと。戦後、オーストリアではナチス党員は裁かれる事なくむしろ優遇されていて、社会的に高い位置に着いていた。そしてユダヤ人への補償を嫌ってか帰国を望んではおらず、帰国を妨害するような施策を実施していた。これには驚いた。
・ホロコーストには囚人頭や管理者など多くの親ナチスが多くいた。彼らは差別意識を隠す事なく戦後も大手を振っている。ユダヤ人へのホロコーストは決してヒトラーやナチス党員の専売特許ではなく、歴史的なユダヤ人差別や迫害が底流にあった事も垣間見える。
その意味では彼の訴えは過去のものどころか、残念ながら今でも大きな課題である。
