ボギーパパ

死刑にいたる病のボギーパパのレビュー・感想・評価

死刑にいたる病(2022年製作の映画)
3.4
劇場2022-32 TJ横浜

白石和彌監督作。
この監督も以前書いた吉田恵輔監督と並び、作品の冒頭部、導入部の描き方が素晴らしい。
多くを語らず、語らせず、俯瞰したような視点で淡々と進め、それでいて観客にシチュエーションやキャラクター、人間関係を理解させる。毎度のことながら今作もこの技がしっかり展開されており、すっと劇中に身を置くことができる。その上になんとも言えない不快感、猜疑心、不安などのザワつくテイストが降りかかる。

そして本作は兎にも角にも阿部サダヲだろう。彼の目だ、、、空虚な、落とし穴のような、落ちた先は闇しかない穴のような瞳に吸い込まれる。抗えどストンと陥ってしまい抜け出せないアリ地獄の穴のような瞳。このおよそ人間が持つ感情のかけらもない空虚な穴を表現するのはすごい事だと思った。

また違った意味でガンちゃんもすごい。出てたのわからなかったくらい気配を殺した演技は良かったのではないか(^^)

そしてあの痛い表現の数々。観ていて力が入ってしまうほどの表現は邦画にしてはすごいレベル!
ただ、全体ストーリーは私にはあまり響かなかったのが残念。ちょっと無理があったかなぁ、、、
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