TaKeiteaZy

イノセンツのTaKeiteaZyのレビュー・感想・評価

イノセンツ(2021年製作の映画)
4.7
団地に引っ越してきたら、子供達がサイキックめいてきてだんだん収拾つかなくなる話!

お見事!すっげーわ!例の如く欧州作品なので、決して騒がず散らかさずの作りなのだけど、この「一歩足を踏み入れた瞬間ずっと、ゆっくりと、首絞められてる感じ」の味付けが絶妙過ぎる。イノセンツ=無垢だから、もし子供達が洒落にならないパワーを身につけたら、ということなんだろうけど、そんなチャチなテーマを安売りせず、かつ説明もせず、でも完璧に劇中から逃がさない作りには感服だし、めちゃくちゃ静かなのに食べ物も飲み物も口に運ぶいとまを与えないこの緊迫感。相当なやり手だぞこいつわ。

心のどこかでスキャナーズみてーにいつ頭が爆散したりするのかとか思ってたけど、そんな必要無かったわ、充分怖い、とにかく不穏でミクロな世界の一コマを、ここまでやり切るとは。そして何より、欧州映画特有の「自分で色々補完してね!」というピザの耳みたいな部分がうめえうめえ。あれは何?どういうこと?のギリギリの大事な部分が自分の中で好きに彩れる作りになってんだよなあ。良い作品でした。ここまであんまり血を出さず、目を背けたくなるように作るの、相当難しいはずだぞ。

これはあくまで小さな点で、その周りに拡がる広大な物語は、あなたの好きなように、ていう映画、マジで大好き。結構前に見て今も心に残っている人魚の映画、「ブルーマインド」くらいの良い作品でした。普通超能力なんてテーマにするんだったら、もうちょっと悪ふざけしたくなるぞ。ストイックやなあ。
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