ぶみ

アステロイド・シティのぶみのレビュー・感想・評価

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)
2.0
1955年、忘れられないあの夏の7日間。

ウェス・アンダーソン監督、脚本、ジェイソン・シュワルツマン、スカーレット・ヨハンソン、トム・ハンクス等の共演によるドラマ。
1955年、アメリカ南西部にある砂漠の街、アステロイド・シティを舞台とし、ジュニア宇宙科学賞の祭典が開かれようとする中、巻き起こる騒動を描く。
主人公となる戦場カメラマンをシュワルツマン、その義父をハンクス、街に住む女優をヨハンソンが演じているほかジェフリー・ライト、ティルダ・スウィントン、ブライアン・クランストン、エドワード・ノートン、エイドリアン・ブロディ、リーヴ・シュレイバー、ホープ・デイヴィス、スティーヴン・パーク、ルパート・フレンド、マヤ・ホーク、スティーヴ・カレル、マット・ディロン、ホン・チャウ、ウィレム・デフォー等々、アンダーソン監督作品らしく、チョイ役も含め挙げ出したら枚挙にいとまがないほどの豪華メンバーが登場。
そんな中、事前にキャストだけはチェックしていたところ、マーゴット・ロビーはわかったものの、ジェフ・ゴールドブラムがどこに登場したのかは、流石にわからず。
さて、監督の前作『フレンチ・ディスパッチ(以下略)』で、完全に置いてきぼりとなったこともあり、今度こそは、と臨んだ本作品、結論から言えば、やはりダメ。
箱庭的世界観を筆頭に、対照を基調とした特徴的な画角、ポップな色合いにモノトーンとの使い分け等々の映像テクニックに加え、とにかく情報量の多い会話の嵐や、登場人物の多さは前作とほぼ同じテイストと言えるものであり、劇中劇とした話自体が全く理解できず。
もちろん、アートだと形容されることの多い監督であるため、考えてはいけないのかもしれないが、以前も書いたように、美術館に入っても立ち止まることなく出口まで辿り着いてしまう私の脳は、よくわからない映像を眺めるだけで素直に面白いと感じることができる構造になっていないのを、あらためて実感した次第であり、これは最近で言えば、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督『DUNE/砂の惑星』やダニエル・クワン、ダニエル・シャイナート監督作品である、口に出して言うのも恥ずかしくなる通称『エブエブ』が、映像、音楽は文句なしなのだが、観る側の思考を排除した「見せられる」という受動的な作風に対して面白いと感じなかったのと同じ。
合わない監督だと思いながら、次こそはと思って観たものの見事に打ちのめされたとともに、唯一ロビーを判別できたのが救いだった一作。

目覚めたければ眠れ。
ぶみ

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