Hiroki

沈黙のパレードのHirokiのレビュー・感想・評価

沈黙のパレード(2022年製作の映画)
3.8
原作は好きなのに映画化されても映画館で観たことないシリーズ。

東野圭吾のガリレオ長編シリーズの第5弾。映画だと2つテレビSPでやっているので第3弾。
今作は最初に情報が出た時に相棒役がまた変更になり新木優子になると言われていて辟易していたけど、実際は柴咲コウが戻ってきたという時点で勝利!(新木優子はテレビSPでした。)
内海&草薙(北村一輝)がめっちゃ出てくるだけでファンは歓喜!

まー原作の方は相変わらずの悲しくも美しい物語です。ガリレオの長編はいつもそうだけど。
今作の映画の方も多少簡略化はされているが基本は原作の通り。

オープニングからこれでもかと被害者の生前の輝いていた姿とそれを見守る周囲の人々をエモーショナルに描いていく。
序盤はオリエンタル急行のシステムを使いながら、その人々が犯行にうつすまでの感情を追うオリエンタル急行前日譚スタイル。
もう1つの軸が草薙。彼がかつて捕まえたが無罪判決で野に放たれた殺人鬼が再び事件を起こし、さらにその被害者が殺人鬼を殺した事により精神的に追い詰められる草薙。そしてその姿を見つめる湯川と内海。
被害者家族の慟哭。
被害者の恋人の慟哭。
被害者の恩師の慟哭。
被害者の周りの人々の慟哭。
草薙の慟哭。
湯川の慟哭。
誰も表に出さずに心の中で咽び泣きながら物語は進んでいく。

そして中盤にわかる真実。
問題はここの部分が少し軽い。
真犯人がわかる謎解きと真犯人の動機が少し雑な印象。
なんなら別に元の人が犯人で良かったのではみたいな。
原作を読んだ時はそんなに感じなかった記憶があるのだけど...
さらに終盤でもう1つ反転してシン真犯人がわかるという仕組みなので、余計にそう思うのかもなー。
ガリレオ長編シリーズは1作目の『容疑者Xの献身』が完璧すぎてそのイメージが薄いが、トリックよりは人の感情にフォーカスしたシリーズ。
なのであまり小細工せずにもっと被害者の周囲の人々や草薙の感情にフォーカスして描いても良かったかもね。

なにしろ被害者の周囲のキャスティングが岡山天音、田口浩正、酒向芳、吉田羊、檀れい、椎名桔平と演技派が集いまくっている。
まーこの人たちと北村一輝の対決だけでも面白いでしょ。
そこをもっと探って欲しかった気持ちもある。

あとこの『沈黙のパレード』というタイトルは改めて素晴らしいなー。
沈黙が連鎖していく。パレードのように連なって。しかし騒がしい連隊ではなくそれは静寂。
やっぱり東野圭吾すごいなー。

原作の方は次の『透明な螺旋』まで刊行されてますが次回作はどーでしょーねー。
興収も30億円超えてて悪くないのであり得るかなーとは思うけど。
まーやるとしてもまた内海さんでお願いはしたいですねー。

2023-58
Hiroki

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