ぶみ

ARGYLLE/アーガイルのぶみのレビュー・感想・評価

ARGYLLE/アーガイル(2024年製作の映画)
3.0
一流のスパイは、世界をダマす。

マシュー・ヴォーン監督、ブライス・ダラス・ハワード主演によるイギリス、アメリカ製作のスパイ・アクション。
人気スパイ小説『アーガイル』の内容が、現実のスパイ組織の活動と一致したことから混乱に陥る主人公となる作家等の姿を描く。
小説『アーガイル』の作者エリー・コンウェイをハワード、実在のスパイであるエイデン・ワイルドをサム・ロックウェル、小説中の主人公アーガイルをヘンリー・カヴィルが演じているほか、ブライアン・クランストン、キャサリン・オハラ、デュア・リパ、アリアナ・デボーズ、ジョン・シナ、サミュエル・L・ジャクソン等が登場。
物語は、冒頭、予告編にもあるようにアーガイルがリパ演じる美女とデヴィッド・ボウイの『レッツ・ダンス』で踊るシーンでスタート、その後、ギリシャの街をバイクで逃げる美女をアーガイルがミニ・モークで追いかけ、派手なカーチェイスを繰り広げるという、これぞザ・スパイ映画と言わんばかりのオープニングを見せてくれる。
ただ、本作品の肝はここからで、ロックウェル演じる本物のスパイ・エイデンが登場したあたりから、エリーが書く小説と現実世界が交錯していく展開となり、特に、そのキッカケとなった電車内でのバトルで、エイデンと架空のキャラクターであるアーガイルが頻繁に入れ替わるシーンは、まさにエリーの困惑ぶりを可視化したような映像であり、見どころの一つ。
そこからは、エリーとエイデンのバディムービー的な様相となるのだが、後半に至っては、想像の斜め上を行く目眩くような展開が待っているため、是非ここはその目で確かめてもらいたいところであり、ボーッと観ていると混乱すること必至。
また、前述したギリシャでのカーチェイスの時にCG感が強めだなと感じたことを筆頭に、以降、世界各国を転々としていくも、いずれも背景の合成感であったり、セットでの撮影が見え見えであったりと、奥行きのない映像が多めであったことから、キャストの豪華さに予算を持っていかれてしまったか、とも思ったのだが、現実なのか、二次元である薄っぺらい紙の上での虚構の物語なのかを曖昧にするため、あえてそういう映像にしているのかもとも感じた次第。
私的には、ハワードの童顔な顔立ちと、特に腰回りがふくよかな体型が好みであるため、彼女の様々な姿が堪能できただけでも良しとしたいところであり、とりわけ、終盤にあるアイススケートではなくオイルスケートからの荒川静香のようなイナバウアーは、もう笑うしかない。
ダンスミュージックを基調とした劇伴も悪くなく、ノリノリのテンポの中、各国で繰り広げられるコミカルに寄せられたアクションに、今までにはないスパイものに仕上げようとした気概を感じたものの、終始ガチャガチャしてメリハリが薄めに思えたとともに、ロックウェルが途中から宇梶剛士に見えてきた一作。

羊が吠える時が来た。
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