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ARGYLLE/アーガイルのFrapentaのネタバレレビュー・内容・結末

ARGYLLE/アーガイル(2024年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

内容がすごくよかっただけに、ユニバース化という蛇足が本当に勿体無いなと思った。


個人的にユニバース化には良いとも悪いとも思っておらず、要は整合性が担保されかつ類似しない話を出して楽しませてくれれば良いと思っている。今作はキングスマンと世界観と共有していたようだ。これの何が悪いかと言えば、今作の叙述的なトリックやギミックがほとんどキングスマン一作目と同じなのである。例を挙げれば、ミュージカルのような軽快なステップで敵を一網打尽にしたり、洗脳による暴走、あとは靴底の刃物。どれも既視感がある。ついでに言えばキャストもサミュエルLジャクソンとソフィアプテラがかぶっている。そんな既視感の源と世界観を共にするのは、これ以上面白さが向上されるようなシナジーは期待できず受け入れ難いものがある。最後のエンドクレジットシーンはマシューヴォーンの心意気虚しく、彼の底の浅さが見えてしまったと思う。


実際は、最後のエンドクレジットだけいらないと思っただけで、監督の得意技である次々に襲う急展開が今作でも光っていた。
正直本人がアーガイルだったとは思わず、まさか作家が俊敏な格闘技を決める展開が起こるとは思わなかった。確かに怪しい点は何度か観られていて、どの伏線も巧妙に効いていた。先述した既視感のある靴底の刃物というギミックは、今回まさかのスケート乱闘という見せ場を作ってくれた。これはかなり観てて楽しいものだった。疾走感と爽快感溢れる戦闘シーンは今作ベストシーン。

また、サムロックウェルが今回も良い。悪い奴→良い奴に転換していくキャラを演じるにはピカイチだ。本当になぜあんないい役をいつもしてくれるのでしょうか。エリーの前で最初バカっぽく演じといて、実は愛していてそれを伝えたかっただなんて、なんて素敵な人なのでしょうか。愛されるべきキャラだ。
ブライスダラスハワードは今作で初めて好感を持てたかも(というかキャサリンゼタジョーンズと勘違いしてた。ブライスは比較的最近の俳優だったようだ)。主人公としてカッコよくなっていく様がハマり役だった。マシューヴォーンはあらゆる人をかっこいい主人公にさせるのが相変わらず上手い。
そしてヘンリーカヴィル。スーパーマンぶりの御姿だが、ヘンテコな髪型が面白い。なんというか、スーパーマンやってた男が変わり者演じるだけでメタ的に面白い。最後のシーンアホそうで好き。


エンドクレジットシーンだけが本当にいただけないのだが、それを除けばだいぶ好き。しかし、伏線張りもいいのだが、若干この監督はその病魔に取り憑かれているような気もしなくもない。まあでも結局面白ければなんでもいい。ギミックの引き出しの少なさは伏線の巧さでカバーしてくれ!
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