のんのん

The Son/息子ののんのんのネタバレレビュー・内容・結末

The Son/息子(2022年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

昨日が公開初日だったようだ。ファーザーも暗かった。こちらも、予告のヒュージャックマン観るだけで泣きそうだわーと思っていた。母親はローラダーン。

さて、実に実に暗闇の中にいるような映画だった。17歳の息子はただの思春期では片付けられない心の闇を抱えて生きている。

原因は、両親の離婚なのか、父親が他の人と結婚して赤ちゃんまでいることなのか、そんなの本人にも誰にもわからない。

父親役のヒュージャックマンが、息子に言う。自分がお前ぐらいのときは、母親も病気で父親は仕事で家にいなくて、大変だった、、とかなんとかかんとか、、、それに比べてお前はいったい何が辛いんだ、、とかなんとかかんとか、、、

親ってそう言っちゃうのかなぁ。わたしも息子が反抗すると、こんなに恵まれてるのに何が不満なのだ!と思ってしまうけれども、自分だって、なんとなく闇の中を生きているような人生だなぁと思うこともある。

別に衣食住に困らないから幸せってわけでも無いのだ。いや、幸せだと感じなければいけないのはわかっているのだが、それでも辛いときもある。

自分の父親に言われて嫌だったことを息子に言ってしまい、全くこれでは、嫌いだった自分の父親と一緒じゃないか!と悩むヒュージャックマン。(ヒュージャックマンの父親がアンソニーホプキンスだった。ファーザーと大違い。)

わかります。わたくしも母親の嫌なところに似てきますの。どうしてなの。

そもそも、命を繋ぐ意味としては子どもを産むのも大切なのかもしれないが、わたくしのような、ただ年齢だけいってしまった人間には、子育てって荷が重すぎるのである。

自分も子どもなのに、自分も心に闇があるのに、それなのに別の命を育てる?ちゃんちゃらおかしいわい。

そうだけれども産んでしまった。仕方ないのでなんとなく子育てしたが、子育て大成功!とは言えない。普通に育ったようには見えるけれども、決して天使のような子ども達では無い。

「自分の親を尊敬し、大好きです!自分も強く優しく賢く育ちました!」と自信を持って言える人もいるだろうが、世の中そんなに良い人ばかりじゃないと思うし。いや、良い人に見せてるけど、心の中は意地悪かもしれないし。

あーはははは。こうやって書いてみると、わたくしの心は大層荒んでるでは無いか!いけないいけない。

小さいとき、太陽のように笑っていた息子が苦しんでいるのって辛いですわー。

精神科の医師に、入院させた方が良いと言われたのに、連れて帰った両親。どうしてその選択をしたの?とも思うけれども、自分が当事者になったらどうするかわからない。

ローラダーンと離婚して、美しい妻と再婚し、かわいい赤ちゃんがいるのに、ちゃんと元妻と向き合って、別れた息子を大切にする父親はまあまあ良い人だと思うけれどもね。

離婚したら知らんぷりの男性だってたくさんいるはずですからね。

でも、もうそこでは無いのよね。心の病気なのだもの。親では治せない。海の底にいるような息子をどうやったら救えるの。やっぱり暗闇の中にいる映画だ。

最後のヒュージャックマンの演技、思い出しただけで涙が込み上げる。
のんのん

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