ミーハー女子大生

戦場のピアニストのミーハー女子大生のレビュー・感想・評価

戦場のピアニスト(2002年製作の映画)
3.9
【あらすじ】
第二次世界大戦におけるワルシャワを舞台としたフランス・ドイツ・ポーランド・イギリスの合作映画。
1940年、ドイツ占領下のポーランド。
ユダヤ系ピアニスト、シュピルマン(エイドリアン・ブロディ)は家族と共にゲットーへ移住。
やがてユダヤ人の収容所移送が始まり、家族の中で彼だけが収容所行きを免れた。
食うや食わずの潜伏生活を送るある日、遂に1人のドイツ兵に見つかる。

【感想】
差別・残虐なシーンは戦争映画としてよく描かれてると思うけど、主人公に全く共感できない。

主人公は有名なピアニストなので色々な人が命がけで助けてくれる。
なのに、こいつはたいして礼も言わない。
その命の恩人たちが、自分をかくまったせいで殺されても何もしない。
自分1人だけが逃げ出して、残った仲間達は命をかけて敵を反撃しては殺されて…と毎日何人も仲間が目の前で殺されていくのに、助けにも行かないし、見てるだけ。

匿ってもらっている部屋に食べ物を運んでくれる男を紹介されても、なぜか偉そうな態度。
その男がしばらく食べ物を持って来なかった時は、これまた偉そうにタメ口でなぜ来なかったんだと文句を言う。
結局その男が裏切って裏でリークしたことにより居場所がバレてしまい、助けてくれた夫婦は殺されて主人公だけ逃げて生き残り、また他の人を頼って助けてもらう…。
その都度、その都度、たいしたお礼も言わないので共感できない。

そして主人公は常に食べ物を探して彷徨ってるシーンばかりで、観ていて少々飽きる。
せっかく前半は戦争の残酷さや、人種差別の悲惨さが描かれているのに、後半はなぜか食べ物を探して彷徨ってる。
しかもやせっぽちの体型なので、別にそんなに食べなくていいんじゃない?とも思ってしまう有様。

自分はムービープラスで見たのだが、ピアノのある廃墟でピクルスの缶詰を開けようとしてウロウロしている時のシーンで、急に敵に見つかり、お前は何だと聞かれてピアニストですと答え、着いて来いと言われて隣の部屋に行くとグランドピアノがあって弾くという流れだった。
唐突な流れだな~と思ってたらwikiで見ると、このシーンの内容はまず敵がピアノを弾いていて、それを覗いていた主人公が見つかってしまい、自分はピアニストだと答えるというシーンだと書かれている。
映画版とは違うの???

よく分からないけど、この敵はいい人で、結局主人公を匿ってくれて、食べ物を運んできてくれるようになった。
なのに、またここでも主人公は、パンをもらってもジャムをもらっても缶切りをもらっても、お礼を言わない!
最初に食べ物をもらった時なんか、渡された瞬間に大砲かなんかの音が鳴って、お礼も言わず「今の音は何ですか?」とか言いやがる…
これだけみんなからよくしてもらってんだからそろそろお礼を言いなさい!!!と思ってしまう(笑)

そしてその廃墟の屋敷から敵が撤退する日、その恩人は軍服のコートを寒いからといって主人公に与える。
そこで主人公は「なんとお礼を言ったらいいか…」とは言うものの、お礼は言わない(笑)
言えよ!!!(怒)

そして、別れ際に「戦争が終わったら何をするのか?」と聞かれ主人公は「またラジオでピアノを弾くつもりです」と答える。
そこで名前を聞かれて、敵の恩人は「覚えておくよ」と言って笑顔で去る。

そして戦争が終わり、敵の軍隊が全員捕えられている場所があり、そこを通った主人公の仲間が「俺たちは音楽家だ。お前らは俺たちから楽器を奪った!」みたいな罵声を浴びせる。
するとあの時の恩人が近寄って来て、「君は、シュピルマンというピアニストを知っているか?俺は彼を助けた。彼なら俺を助けてくれるかもしれないから彼に伝えてくれ」と言う。

それを聞いたシュピルマンは、仲間と一緒に収容所に行くが、恩人の名前を聞いていなかったので誰だか分からないと言う。
そしてなぜか仲間だけが収容所の中へ入るが本人は外で待っていて夕日を眺めて黄昏ちゃってる…。
いやいや、名前知らなくても顔は覚えてるでしょうに。
そんで結局、その恩人を助けることは無く、シュピルマンはまたラジオでピアノを弾く仕事に戻って幸せに暮らしましたとさ…という話。

エンドロールでは、その恩人が収容所で死んだということがテロップで流れる。
結局、自分を助けてくれた人が全員死んだのに、自分だけ生き残った。

制作者側が客に感動して泣いてほしいんだろうと思われるシーンは特に無いけど、戦争の背景を知るためには観ても損は無い映画。
泣きたいとかいう理由で観たら全然違う作品だと思う。
ちなみにピアノのシーンはそんなに無い。
題材はいいのになんか色々もったいない作品。

ストーリー 4
演出 4
音楽 4
印象 4
独創性 3
関心度 4
総合 3.9

48/2023