このレビューはネタバレを含みます
【あらすじ】
ベストセラーを記録した乾くるみの小説を実写化した、異色のラブストーリー。
恋愛下手の大学生と歯科助手の出会いを描く「Side-A」、遠距離恋愛を経て彼らの関係が終わるさまを追う「Side-B」の2部構成でつづられる。
ラスト5分でラブロマンスからミステリーに転じる作風に意表を突かれる。
バブル真っただ中の、1980年代後半の静岡。
友人から合コンに誘われ、乗り気ではなかったが参加することにした大学生の鈴木(松田翔太)は、そこで歯科助手として働くマユ(前田敦子)と出会う。
華やかな彼女にふさわしい男になろうと、髪型や服装に気を使って鈴木は自分を磨く。
二人で過ごす毎日を送ってきた鈴木だったが、就職して東京本社への転勤が決まってしまう。
週末に東京と静岡を往復する遠距離恋愛を続けるが、同じ職場の美弥子(木村文乃)と出会い、心がぐらつくようになる。
【感想】
この映画にトリックがあるという事だけ知って観ました。
小説は未読です。
前半はファンタジー、後半はホラーもしくはリアルな現実世界をこれでもかと突きつけてきます。
前半のファンタジーをぶち壊しまくります。
印象的なところはいくつもありますが、
前田敦子は松田翔太の名前の呼び間違えで、二股に気づきます。
前田敦子はデブに対して名前の呼び間違えをしますが「タック」と誤魔化します、デブは気づきません。
前田敦子はおそらく松田翔太の前ではタバコを吸う事が出来ません。
デブの前では吸えます。
女性の計算高さが非常に非常に自然に出ています。
しかも、それがいやらしくないんです。
あるよね〜と見てしまいます。
彼女は松田翔太が本当に好きだった、これは間違いない。
だからこそ、精神も身体も傷ついた。
傷ついた彼女は次に付き合う相手は、浮気しない、浮気できない、自分が完全にコントロールできる、それでいて金はある男、つまり絶対に自分を傷つけない男を選んだのだ。
この動機がものすごく説得力がある、前田敦子は非常に説得力がある。
彼女の仕事は「歯科助手」です。
資格もいらない仕事。
デブは実は富士通に内定が決まるくらい優秀な男です。
ここら辺のディテールが実にリアル。
わかるんですよね。
映画を観ていて、観覧者は必ず2つツッコミを入れます。
前田敦子の様な可愛い子がデブを好きになるかっ!あるわけないだろ!
デブが痩せただけで、あんなにカッコよくなるかっ!骨格が違うだろ!
この二大ツッコミを後半のリアルパートで、完全に回収しています。
だからこそ、だからこそです。
前田敦子は最後にどちらを選ぶのでしょうか?
わからないのです。
どちらを選んでもしたたか。
本当にわからないのです。
だからスリリング。
だから、トリックはバレても全然面白い映画です。
原作未読で鑑賞でしたがとても楽しめました。
この映画は人物像など深いところまで考える映画ではなく、トリック一本勝負を楽しむ映画。
登場人物の感情を捉えて感じて…という見方がいつもは好きだけど、この映画はそんな難しい映画ではない。
シンプルな仕掛けで素晴らしい。
そして何より前田敦子の演技がすごい。
この映画にとってもハマっていた。
あのうさんくさいぶりっ子演技がいい味を出している。
特別美人ではないが独特の存在感がある。
彼女は今後素晴らしい俳優になると感じた。
元々特にファンではないが、元AKBだからと言うだけで叩いている人はそのうち恥ずかしくなると思う。
そう思わせてくれるほど素晴らしかった。
軽いノリで楽しめる良い映画です。
80年代をリアルに過ごした世代の方はそれだけでも楽しめそう。
ストーリー 3
演出 4
音楽 4
印象 3
独創性 4
関心度 4
総合 3.6
13/2024