マヒロ

モガディシュ 脱出までの14日間のマヒロのレビュー・感想・評価

3.5
(2024.23)
1990年、ソマリアの首都モガディシュにて、国連への加入に向けて外交に取り組む韓国大使館のハン(キム・ユンソク)だったが、同じくロビー活動中の北朝鮮に一歩先を行かれつつあり焦っていた。そんな中、政権に不満を持つ面々により反乱が巻き起こり市街地は戦闘状態に陥る。よそ者”として襲撃を受けた北朝鮮大使館の面々は追い出されて行き場を失ってしまい、敵対していた韓国大使館に助けを求めざるを得なくなる……というお話。

かつてモガディシュの街で実際に起きた内戦を舞台にした作品。『アルゴ』と似たようなところがあるが、似たような文化圏でありながら国境で分断されていがみ合っていた南北朝鮮が、危機的状況においてお互いを違う国の人ではなく同じ人間なのだと知っていくという展開が韓国の作品ならではという感じが良かった。それもあからさまに描くのではなく、例えば最初に食事を共にするシーンで、言葉には出さないが大皿を譲り合ったりする形でちょっとした歩み寄りを見せたりする辺りが上手い。
危険な市街を走るカーチェイスの場面も、銃撃から身を守る意外なアイデアも含めて緊張感溢れるシーンになっていて、エンタメ映画として非常によく出来ているなと思った。

ただ、正直「良く出来過ぎている」なと思うところがあり、社会派なテーマを取り扱いつつも良い話に仕上がり過ぎていて、何となく絵空事っぽい感じがしてしまった。北朝鮮との歩み寄りがメインテーマというのはわかるんだけど、その皺寄せなのかソマリアの人々が揃いも揃って嫌な奴か野蛮な奴しかいないという扱いなのも気になるところ。北朝鮮の人たちと同じようにソマリアの人も一枚岩ではないし、全員悪人ってことはないとは思うんだけど、そこら辺はあまり考えられていなさそう。まあ、そこまで丁寧に描いていたら軸がブレるってのはありそうだが、その上で若干モヤる。
面白い作品なのは間違いないんだけど、個人的にはもう少しドライなタッチの作品の方が好みかなという印象だった。
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